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それは獣の

 巣穴に追い込まれた。

 野生の幻獣は珍しく、乱獲され、好事家の手に渡りがちだ。ネコ科に似た自分は、本当の親を知らず、美しい縞の大型獣の母に育てられた。ザラザラの舌で毛繕いされ、大事に育てられたが、兄弟も母も撃たれた。家畜を襲ったというが、冤罪なのに。

「見つけた」

 人間が巣穴に向けて言う。言葉が分かる。虎のようで、あらゆる言葉を理解する、世界を識る力を与えられた幻獣だから。

 幻獣は連れ帰られ、人のように手当てされた。人の目的は知らない。ただ優しい人の手、言葉掛けがあった。

 だが自分は獣だ。

 野生から救い出したつもりの飼い主の、喉を食い破り、逃走する。

 巣穴は空っぽのまま、風が吹く。

#Monthly300 @mon300nov

毎月300字小説企画第35回お題・穴

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