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猫はそこにいる/猫がいた

猫はそこにいる


 3の形に丸まって、扉の前から動かない。

 猫なので。猫なので!

 夜中にトイレに行きたがる人間が、無理矢理退かそうとするけれど、全身を石のように重たくして、床に張り付いて動かない。

 扉の向こうは百鬼夜行。最近あまり見ないタイプの、唐傘とかろくろ首とか、古い怪異が歩いている。廊下が異界化したとか通り道とかではない、純粋に迷子なのだ。

 だから猫又である先輩猫が、追い払っている。にゃうにゃう、わーお。

 飼い主は人間なので耳がよくない。

「何言ってるの?」

 ついに退かされて猫は怒るが、間一髪、廊下は静かで先輩猫しかいない。

 人間は目もよくないので、すぐ電気をつける。明るくなり闇はもうない。



猫がいた


 道端で三匹の猫に絡まれた。たまたま景品でもらった猫用のおやつがあるので、それで勘弁してもらおうとしたが、余計に揉める。おやつは二つしかないから。

 一人占めするはずのおやつを、分け合うのが気に入らないらしい。喧嘩して、一匹あぶれて、にゃあにゃあと鳴いている。

 一旦離れて、おやつを買い足す。戻ってくると、猫達は1、2、3の字になって眠っていた。さて、どの子がおやつを諦めた猫だろう。

 日陰からもう一匹出てくる。さらにもう一匹。4の字になって寝そべる。

 おやつを全員に差し出して、まだねだられるから逃げ出した。

 帰宅したら、浮気を疑う飼い猫の機嫌を取る。おやつはすっかりなくなった。

#Monthly300 @mon300nov

毎月300字小説企画第31回お題・3

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