205/232
真白き野原を統べるもの
夜更けに目が覚めた。窓の外では真っ白な兎が、雪の上を足跡もつけずに飛んでゆく。
追いかければ、自分の足跡もなく、足裏も冷たくない。
月の輝く夜だった。山並みは静かで、竜が二、三頭、翼を開いて飛んでいた。
兎はいつの間にか増えていた。彼らが駆けた先は広い野原で、竜や虎、鳥や魚が集まっていた。
勝負で勝った者が今年を統べるらしい。判定を任された。
雪の上、飛んだり跳ねたり踊ったり。難儀したが、兎を優勝者に選んだ。
兎は跳ねて大きくなる。竜と同じ大きさの、ふかふかした被毛の巨大な何か。皆、竜の一種らしい。人間はふかふか好きと言われた。
解散後、兎だった竜に家まで送られ、朝まで眠った。
#Monthly300 @mon300nov
毎月300字小説企画第13回お題・白




