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化け物の城
城内の廊下は暗く、彼は行き来のたびに刺客に怯えた。悪意のある人や、それ以外のモノ達が面白半分に話しかけてきたり。
幼い彼の側に、尻尾を添えるのが仕事になった。
「君は強いな」
君は弱いから、守らなくてはね。
白い被毛の大型犬は、彼の話し相手にもなる。難しい話にも相づちをうつ。
育つうちに真っ当な為政者になる彼に、賛辞をおくる。
「黙っていたが、自分は、本当はこの城の古い怪異達の仲間なのだ。敬意を表して立ち去ろう」
別れの言葉を告げると、彼は慌てて引き留めてきた。
「君達はそれほど悪くない同居人だった、これからもそうだろう?」
どうかな?
渡された彼の上着を羽織り、闇にくるまる。
#Monthly300 @mon300nov
毎月300字小説企画第3回お題・おくる
 




