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初めての剣と
「初めてにしては上出来だな」
回廊で剣を振り回した子どもに、男はからりと笑った。
「その方をどなたと心得る!」
血相を変えて、従者達が駆けつける。
息を切らせた子どもは従者に抱きしめられ、男は自身の従者に囲まれていた。
「すまんな、その子が手習いをしたいというので」
「王! 隣国の姫がご挨拶にいらしたというのに」
「遊んだだけだ」
「騎士の国では男女問わず剣を持ちますが、知恵の国では違います!」
「知恵という剣は持つのだろう? ならば大丈夫さ。な、姫君」
先程不埒者を撃退した男に、真似をしたいと憧れた幼い姫君は、男を見上げて頷いた。
いつか自身と貴方を守ってみせる。知恵と剣で。
#Monthly300 @mon300nov
毎月300字小説企画第1回お題・初




