ランチの前に
「決めた?」
「分かんない」
「分かんないじゃないよ、君が昼飯前に何か喉乾いたって言ったんだよ」
「そうだっけ。あ、これにしようかな」
「何でそんなでかいのにする? 今日のランチ、結構頑張って予約したんですけど」
「だって喉乾いたんだよ」
「忘れてたくせに」
「店員さーん、オーダーしたいんですけど。どうも。このクリームソーダ一つ」
「抹茶セット一つ。何、その目」
「いやいや、だって自分で言ったでしょ、ランチの前なのにって」
「抹茶セットにしたかったの」
「ふーん」
「ねえこっち見ないで端末いじんのやめてよ、いやこっち見ながらもやめてよ」
「どっちなの」
「何かヤなのよ」
「ほら見てみて、さっきのやつ」
「水族館て照明暗いから、古い携帯端末だとめちゃくちゃぶれるよね」
「そっちが記念写真撮りたいって言うから撮ったのに」
「顔がほぼほぼクラゲみたい、白くてブレてる」
「あーあ、ちゃんとしたカメラ持ってくればよかった。せっかく二人ともそれらしい格好してんのに。観光地ででかいカメラ持ち歩く体力を計算してしまったからな……」
「まぁね、母星だとその辺の壁に頼んだらデータ送ってくれるけど、ここだとだいたいまだ手動だよね」
「あ、クリームソーダこっちです、ありがとうございます。そっちが抹茶セットね。はいどうも」
「これカタログでめちゃくちゃ見た。実物こんななんだ、へー」
「ここで記念写真撮る?」
「いいけどまた薄暗いから写らないかも」
「写るでしょ、どうせ元々はクラゲみたいなもんでしょ。あ、痛っ、どこ蹴ってんの、ねえ。せっかく着てる服、ランチ前に破らないでよ」
「ハイハイ。じゃ、いただきまーす」
お題的な。AとBの会話文だけで一、二ページ。
AとBを書き入れるのが引っかかって、何となく省略。




