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瓜科の化石
裏庭で邪魔な草や石を取り除いていたら、妙な石が出てきた。ただの石にしては、模様と蔓があり、丸い瓜科の実のようだ。土に埋まり化石になったような。
しかも、叩くと内側から応じる音がする。気になって工具で縁を叩く。石ははらはらと崩れていく。
内側からは、言い知れぬ、老婆の泣くような声も聞こえ出す。──口惜しや、愛しい貴方。今しも息絶えそうな貴方に、喉が乾くならと最後に差し上げたのに。私を攫うに飽きたらず、この土地も実りも奪った。瓜を与えた私は裏切り者、百年千年悔いても救われぬ。
話が重すぎるので、石のまま近くの寺院で供養してもらった。
翌年、寺院の庭石となった石に、新しい瓜科の蔓が巻いた。
第八十九回のお題「石」
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