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めたぴょん
めたぴょんは、めためたと歩いた。フローリングはずいぶん前から埃が積もり、めたぴょんの足裏はザラザラになった。
飼い主が通ったところだけ、埃がよけて、サラサラした道ができている。
けれどめたぴょんは、飼い主のあとを歩かなかった。自分が歩くと、飼い主の足跡が消えてしまう。どんな小さな痕跡ですら、めたぴょんにとっては大切だ。
あの、ぴかぴかした流れ星の日に、下手くそな飛行で空から落っこちてしまっためたぴょんを、かくまってくれた人なのだから。
もう何日も姿を見ていない。
めたぴょんは、ちょっとだけ外を覗いた。紫陽花の葉の上に、自分にそっくりな、でも屋根を持った生き物が這い回っている。
飼い主、どこ行ったのかな。
めたぴょんは、飼い主を思い出そうとしたが、どんな姿かは描けなかった。
とりあえず、数日ごとに帰宅しては、めたぴょんのことなんて忘れてしまったような飼い主を、おかえりなさいといってらっしゃいで挟むことは、決めていた。
オノマトペとかをお題にした何かで書いてみたお話。
 




