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手慣らし掌編の再録です。

初回掲載日:2017年 07月23日 21時00分

銀月の一族の番外編、ちょっと移動させました。

 首吊りだったという。あらかた片付けられた現場で、浩太はコートのポケットに手を突っ込んだまま立っていた。検死関係者はバンに戻り、ひとけはない。ふと、一歩、片足を地面に擦ってずらす。風が変わる。半分だけ、位相を変える。誰かの、繰り返した思考の流れが、ぬるぬると水に流れる絵の具のように、宙のあちこちを動いていく。息を整えて祓いをうたう。空気が清涼な山頂のものと入れ替わる。薄められきよめられる。そこに残れないものがどこへのがれるのかをあえては考えずに、簡易的に場を清めて、「菅ぁ! まだか!」車を出すという呼び声に、元の地点へ戻って、浩太は返事をする。桜の季節を生き延びられなかったもののことは、埋葬するほかの誰かが悼むだろうけれど。季節の境目は、境目だけあって、ときおり、ひとやけものがふと落ちる。

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