表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/232

それでも俺は覚えてない

「ねぇ、覚えてる?」

 覚えてない! ないない!

「覚えてるでしょ?」

 じわじわと、近寄ってくる。俺はすぐに、壁際に追い詰められてしまった。

「覚えてるくせに」

 覚えていると答えたら、どうなるのかを知っている。

「雪山で、あーんなに熱烈に告白してくれたくせに」

 知ってる、覚えてる。急な吹雪の中、何て綺麗なひとなんだ、って思ったよ。

 雪女なんだけど、いいの? って言われて、うん、って答えたんだけど。

 彼女に先導されて、無事下山できた、数日後。

 病院の看護師として、彼女は俺の近くに来てくれた。

 あのときはすごく歳上だったからって、見た目を俺に揃えてきた、のだと思う。

 あのときの、って確かめていいのか、ずっと悩んでいた。

 プロポーズの指輪だって、ちょっと雪の模様入りにしたし、結婚式用のドレスもそんな感じの予約をした。

 もしも、はっきりと、俺から言ってしまえば、昔話みたいに俺は始末されてしまうんじゃないだろうか。

 雪女の物語。

 もしも彼女の方から告白させたら、あのセオリーを崩せるんじゃないだろうか。

 明日は結婚式。

 彼女の目的が分からなくて、俺は、拗ねた顔をする彼女に、約束の言葉を口に出せない。

 出さないまま、ずっと行こう。できればずっと。

こちらもえぶりすたに載せて、こちらに載せ忘れ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ