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お姉ちゃんのシャツ

#ヘキライ 第18回お題、おろしたての思い出

 秘密がある。普段、羽織っているシャツは、お姉ちゃんのものだ。私が女子校に入るとき、白いシャツの手持ちがなくてお姉ちゃんのものを借りた。いつも、少しお姉ちゃんのにおいがする。

 修学旅行のとき、このシャツで歩き回り、雨に降られたので、新しいシャツを買った。意外と高い。おろしたてのシャツは糊がかたくて、ごわついた。同級生が、お姉ちゃんのシャツが入った紙袋を持ってくれた。途中、また降り出した雨で、新しいシャツは糊がなくなるほどぐしゃぐしゃになり、その頃乾いていたお姉ちゃんのシャツに着替えた。自由行動だったから、私たちは自由だった。

 家に帰ってから、お姉ちゃんが、旅行すると知らないにおいがついてるね、と言ったから、私はどきっとした。シャツは同級生に脱がされ、着せられ、また戻されたけれど、お姉ちゃんは知る由もない。

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