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きっと貴方に辿り着く
辺りは、真っ暗闇だった。
「好きに進むといい」
威圧的に、若い娘が言い放つ。足下に、白い帯のような、光の道が幾つも現れた。
行けと言われても、どれも特徴がない。何に通じるのか分からず、選べない。
娘は、斜向かいの道の上に飛び乗った。ついていきかけて、睨まれる。
「案内はここまでだ。私はどの道でも立派な猫又になる。だから迷わない。お前はいつも迷ってるな、弟分」
覚悟して、道を飛び降りる。どの道も貴方に届かないなら、新しい道を。
目を覚ますと、母猫の乳を飲んでいた。目の前の姉猫が誇らしげに尾を振る。少し二股。
ここに辿り着いたなら、きっと選択は正しかった。
猫は再び乳を飲み始めた。
第七十四回のお題「道/路」
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