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ブランド店に飾られて/出立の日

ブランド店に飾られて


 お目が高い、それは千疋皮です。希少な皮を用いたコートです。

 そのドレスは、新雪のごとき美しさの姫が内職で製作したものです。

 お足元のガラスの靴は、サイズが各種揃っています。

 反物は、鶴の羽製品で、防水加工済み。恩返しシリーズの中ではイチ押しです。

 購入希望ではない? 商品の売り込みでしたか。

 おや、スパンコールが美しいバッグですね。失恋人魚の鱗は大抵消えますが、消えぬうちに特殊加工を施した、と。貴方がスカウトすると、新たな恋で実体を取り戻す人魚が多い、成程。

 偶然ウェディングドレスの所望がありましてね。そうした加工も可能で? では詳しい契約を。結局人間が一番強かですな、王子様。


出立の日


 目一杯、着飾った。

 村の皆が刺繍したドレスは、細かなレース編みの縁取りも美しい。

 村で一番美しい娘は、勉学の道具や知恵を隠し持ち、ドレスの内側に針も糸も刃物も、何もかも収納した。

「竜への生贄じゃないんだから大丈夫」

 仲間に謝られるたび、そう答える。

 竜帝と呼ばれる荒くれ者は、先年、大陸を平定した。本人の意思は不明だが、部下達が、各地から人材を招集している。様々な条件の、様々な人を。一つの村から必ず一人以上を召し上げると。

 だから、本当は出世の機会だ。

 学者ではなく、高官の花嫁役の枠なのが嫌なだけで。

 絶対に学者枠に移行する。笑顔の下で計算して、娘は美しい衣装で出立した。

第七十回のお題「服」

#Twitter300字ss @Tw300ss

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