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豆の話/私を選んでくださいね

豆の話


 公園内でバザールが開催されていた。

 カゴ盛りの野菜店、移動式サンドイッチ店などをひやかして歩く。

 ある一角では、コーヒー豆の瓶詰めを飾っていた。

 よく見れば、豆は一つずつ色が違う。焦げ茶、薄緑、黄、真っ黒。

 豆はつぶらな目で、こちらを見上げる。小さな口が一斉に開く。

 選んでー! 選んで選んで!

 店主が、試飲を一杯、紙コップにいれてくれる。うまい。香りは青空と、吹き抜ける風にぴったりだ。

 豆を買いたいが、彼らと目が合って、何となく選べない。

 店主おすすめブレンドを頼んで、ひいてもらった。ばいばーい、美味しいうちに飲んでねー。豆は達観しているのか、そんな声をあげて、粉になった。



私を選んでくださいね


「私を選んで」

 そうすれば外に出られる。体中に石を生やした娘が言う。牢に繋がれた男には、理由が分からない。

 訝しみつつ、男は翌朝、石と花のどちらが欲しいか問われ、石と答えた。花の方が、暗い牢では慰めだろうに。

 結局、花のように美しい領主の娘に懸想したと誤解されたため、牢に繋がれたらしい。

 石の娘と共に、城を放逐された。

 娘は別れ際宝石を寄越した。

「私は貴方を利用しました。話をでっちあげて」

 牢に繋ぐための疑惑から、娘の罠か。許されないことだが、なぜか娘の行く先が気がかりだ。

「安住するまで、見守らせてくれ」

「律儀で変わった方ね」

 計算の内か、石の娘は、選んだ男にそっと笑った。

第六十九回のお題「選ぶ」

#Twitter300字ss @Tw300ss

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