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オブラートに包む/ちょっとそこらのネコカフェへ

オブラートに包む


 オブラートに包んでしまった。何しろ急に出たのだ。隠していた本音が。

 会社の給湯室で、コーヒーをいれていたら、湯気が顎に触れた途端、口からこぼれた。

 慌てて、その辺の救護用品の箱からオブラートを取り出した。

 丁寧に包むと、手の中でかさかさ、本音が動いているのを感じる。

 普段は、自宅で専用のハーブティーを飲んでやっと出るくらい、珍しい本音。今は何かを呟いている。

 包んで包んで、何枚もオブラートを重ねて、ポケットに入れる。

 どうか帰宅するまで保ってほしい。

 願いも虚しく、オブラートはすぐに弾けとんだ。

「帰りたい!」

 数人の同僚が聞いてしまった。

「今日は早番にして、帰りなよ」



ちょっとそこらのネコカフェへ


 むしゃくしゃしたので、ネコカフェに寄った。かろんとドアベルが鳴ると、大型のネコ科動物が駆け寄ってくる。

「久しぶりだね」

 バリトンの美しい声が、楽しげに喉を鳴らす。

「店長が来ているよ」

 急いでワンオーダーし、飲み物を楽しむのもそこそこに、奥へ向かう。

 部屋一杯の大きなネコが、真っ白な長い体毛に多数の人間をはべらせている。

 ネコカフェだが、従業員が触ってほしいときだけ触れていい。

 許可を得て、もっふりとした店長に包まれると、まるで宇宙に浮かんでいるみたいだ。

 あちこちで、深いため息と健やかな寝息が聞こえる。店長のしっぽが寄ってくる。ゴロゴロ音のオマケ付きでよく眠れた。

第六十一回のお題「包む」#Twitter300字ss @Tw300ss‬

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