表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱骨少女は進化したい! ――強くなれるならゾンビでもかじる!――  作者: kimimaro
第三章 はるか下を目指して!
49/109

第四十八話 ゴーストを釣ろう!

『何を作っているのですー?』

「見ればわかるでしょ、釣り竿よ」


 森で拾って来た、とにかく丈夫で長い若木。

 それに木を削って作った小さな輪っかを取り付けると、そこに大蜘蛛の巣から調達してきた糸を通す。

 あとは虎の子のお肉を糸の先端に括り付けてやれば――


「どう? これで、ゴーストをおびき寄せられるわ」

『どうって、こんなのに引っかかるのです?』

「引っかかるわよ、確実にね」


 ニタッと笑う私に、精霊さんはさらなる疑問の念を送ってきた。

 やれやれ、どうやらこいつは気づいていないらしい。


「まあまあ。考えても見なさいよ、この森に居る他の不死族は全く襲われないのに、どうして私たちだけが襲われたと思う? 私だって死蝕鬼よ、見た目なら他のゾンビどもと大して変わらないわ。誠に遺憾だけど」

『そう言われれば、そうなのですよ』

「でね、さっきのデュラハンと話をして気づいたのよ。奴らは私たちが想像してるよりもずっと肉に飢えてて、しかも鼻が効くって!」

『言ってましたね、肉の匂いがするって』

「そう! だから、まず間違いなく肉に食いついてくるわよ! そうね、後は仕上げに――」


 大きくて白いぼろきれを、お肉の周りに付ける。

 さらに木の棒を入れて布地を軽く膨らませてやれば、これでよし。

 竿を使って持ち上げれば、その辺にいるゴーストが実体化したかのようだ。

 これで見た目の誤魔化しも効くだろう。

 あとは、釣りに出かけるだけだ!


「よーし、これで完璧ッ! ではゴースト釣りに出発ッ!!」

『索敵は僕に任せてくださいなのです! いっぱいいるポイント、教えるのですよー!』

「はーい、任せたわ!」


 意気揚々と、森の中へと戻っていく。

 こうして十分ほど歩いたところで、精霊さんから念が飛んできた。


『あの木陰に、ゴーストが二体居るのですーッ!』

「オッケー、さっそく釣りましょ!」


 竿を長く持って、すぐさまゴーストたちの前に肉入りの布を差し出す。

 すると二体のゴーストは、何の疑いもなく実体化して肉に食らいつこうとした。

 はいはい、食欲旺盛なことで。

 でも、二体まとめてはちょっと困るのよね。

 急いで竿を動かすと、ゴーストのうち一体を上手に引き離していく。


「食いついたわね……!」


 そのまま走り出して、ゴーストを誘い出す。

 すっかり肉の匂いに心を奪われたゴーストは、まったく疑うことなく私についてきた。

 実に素直ないい子だ。

 あとはこのまま、邪魔ものの少ない広い場所へと誘導して――


「ファイアーボールッ!!」


 竿を引いて餌を引っ込めると、代わりに魔法をくれてやる。

 いきなり肉が消えたことに戸惑うゴーストに、炎の塊が見事直撃した。

 もちろん、一発で倒せるようなことはない。

 こちらの攻撃に気づいたゴーストは、すぐさま反撃として風の刃を飛ばしてくる。

 でも、相手が一体ならばいくらでも対応のしようはあるのだ。

 私は風の刃が到達する前にその場を離脱すると、走りながら魔法を放つ。


 ――ファイアーボールッ!!

 ――ファイアーボールッ!!


 木陰から次々と炎の球をくれてやる。

 ゴーストは円を描くようにして進む私のスピードについてこられず、その場から魔法を撃ち返してくるのが精いっぱいだった。

 もちろん、そんなものが私に当たるはずもない。

 やがて下級とはいえ魔法攻撃を受け続けたゴーストは、ボロボロになっていく。


 そろそろ頃合いか。

 五発目のファイアーボールを当てたところで、私はあえて木陰からゴーストの前へと出た。

 するとゴーストは、私に食いつくべく一心不乱にこちらへと向かってくる。

 異様な絶叫を轟かせながら迫るその姿は、そこらの猛獣よりもよっぽど迫力があった。

 でもね――食べるのは私の方なのよッ!!


 実体化して、口を大きく開いたゴースト。

 私もそれに負けじと口を開くと、ゴーストが食いついてくるよりも早く噛み付いた。


「ウオオオオオッ!!!!」


 たちまち、ゴーストの口から耐えがたいほどの悲鳴が響く。

 頭が割れそうなほどのそれに驚きつつも、さらに歯に力を籠める。

 ここで一気に止めを刺さないと、逃げられて厄介だ。

 それにこいつ……おいしいッ!!

 相変わらず、高級なフルーツゼリーみたいで最高だわッ!

 もっと、もっとこの食感を味合わせなさいッ!!


「スオオオ……!」

「逃すか、もっとッ!!」


 最後のひと押し!

 ゴーストの残っていた部分を、非実体化されないうちに一気に吸い上げた。

 もともと薄っぺらかったゴーストが、さらに薄く小さくなる。

 やがて実体かを解除せぬまま中身を吸い尽くされたゴーストは、しぼんだ風船のようになってしまった。


「ああ、美味しかったッ!」

『……容赦なさすぎなのですよ! 一滴残さず吸い尽くすなんて……』

「当たり前じゃない! ああいうのは、全部頂くべきなのよ! 残しておいたって、誰も得しないんだしさ」

『……さすがシース、徹底的な合理主義なのですー』

「それ、褒めてるの?」

『も、もちろんですよ!』


 ずいぶんとまあ、焦った様子で答える精霊さん。

 こいつ、私のことを一体何だと思っているんだか。

 一本しかない大事な剣に宿っていなければ、今頃しばきた倒していたところだ。

 ま、悪気はないようだし……。

 ゾンビ解体の刑ぐらいで勘弁してやるとしよう。


「しかし、このやり方でも中級魔法はやっぱ必要ね。毎回これじゃ、魔力が持たないわよ」

『そうですね。暇がある時はしっかり修行するのです』

「りょーかい、よろしく頼むわ」

『そうと決まれば、さっそく呪文を唱えるのです! 出来るまでやりますよ! 勝利は努力の先に待っているのですーッ!!』


 いきなり燃え始める精霊さん。

 何だか、面倒な気配がしてきたわね……!

 熱血過ぎる精霊さんのせいで、物理的な熱すら帯びる剣に、私はイヤーな汗をかくのだった――。


いよいよ二万ポイントが近づいてきて、ちょっと驚いている作者です。

最初の出だしが遅かったので、ここまで伸びるのは予想以上でした。

これも読者の方の応援のおかげです、これからもよろしくお願いします!

まずは年間を目指して、毎日更新続けます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ