第二十六話 技を考える
でっきたー!!
マイホームの完成だッ!!
作業日数、だいたい三日。
素人の割に仕事が早いのは、疲れないことを良いことに、作業に励みまくった結果である。
スケルトンの身体って、こういう時にはホント便利だ。
動物の骨で木を削りだす作業なんて、人間の身体でやってたらたぶん筋肉痛で死んでるわね。
全体を見渡してみると、少し床が傾いてたり、三角のはずの屋根がいびつだったりする。
けどまあ、大丈夫だろう。
雨降らないし、地震が来たら建て直せばいいし。
重要なのはモンスターに対する防御性能で、そこだけはしっかりとしてある。
木を組み合わせて作った外壁の外に、さらに砦のように丸太を並べてがっしりと取り付けてあるのだ。
クレイジーボアの突進攻撃でも、たぶん壊れないんじゃないかな。
試してみたことはないし、試したくもないけど。
ふ、我ながらいい仕事をしたものだ。
言葉に表せない、何か達成感のようなものを凄く感じる!
これが、何かをやり遂げるってことなのね!!
どこかあったかくていい気分だわ、だけどちょっと……休もうかしらね。
体が疲れないからって、時間感覚が無くなりそうなほど作業に没頭するのはちょーっとまずかった。
連日連夜の作業で精神的にちょっぴりくたびれた私は、さっそく家のベッドで横になることにした。
そう、この家にはベッドがあるのだ!
ここ一か月もの間、まったく無縁だったあのベッドが!
ふっかふかとはいかないけれど、干し草をクッションの代わりにしてある。
外で寝るよりはずっとましな寝心地だろう。
家に入ると、部屋の奥に備え付けてあるベッドに飛び込む。
干し草の感触が、全身を柔らかに包み込んだ。
お日様の匂いをたっぷりと感じられる。
毛布一枚で石の上に寝てた時とは、大違いだ。
ああ、一時的に使うだけとはいえ家を作って良かった!
これがなかったら、ずーっと野宿生活だからね。
「スー……」
さてと、落ち着いたところで今後の課題を少し考えてみよう。
進化を目指すうえで、何よりも必要なのはより強力なモンスターの魔石か肉だ。
当然だけど、それらを得るためにはモンスターを討伐しなくちゃいけない。
現状、進化した私はこの階層のモンスターとそこそこ渡り合えていた。
でもそれじゃ足りないのだ。
普通に毎日食事をするぐらいでは、全然進化できそうな気配がしない。
ただのスケルトンだった頃と比べて、モンスターを食べた時の感覚は明らかに弱くなっている。
より強い魔物を倒さないといけない。
それが実感としてあった。
けどそうなると問題なのが、私の攻撃力の無さだ。
この階層のモンスターたちは、毛皮を纏っている種族が多い。
それに対して、私の軽い攻撃では圧倒的に力不足だ。
手数にも限度があるし、力を強くしたところで体重の都合がある。
どれだけ勢いよく斬りつけたところで、反動で私の身体の方が吹っ飛んでしまえば意味はない。
……はあ。
ホントはこういう時、魔法がしっかり使えればいいんだけどね。
人間だった頃は使えなかったから、そこまでしっかり学んでなかったのよ。
現状、私が使用可能なのは各種の初級魔法。
あと中級ぐらいまでは何とかなりそうだけど、それ以上は無理だ。
どうしたもんかなあ……。
どこぞの勇者みたいに、光の剣とか持ってれば話は早いんだけど。
武器も、いま使って居る鉄の剣以上の奴は早々手に入らなさそうだし……。
ズババババッて、稲妻の出る剣でもあれば……。
そこまで考えたところで、ふと思いつく。
そういえば、ゴブリンキングを倒した時に私、剣に魔力を通してたはずだ。
あの時は無我夢中でやったからあんまり意識してなかったけど、あれが解決策になるかもしれない。
魔法剣。
剣に魔力を走らせ、各属性の攻撃を纏わせるのだ。
聞いたことのない技だけど、やればできるかもしれない!
そうと決まれば、実践あるのみ!
いきなり変なことして剣が壊れても嫌だから、まずは木の枝を使おう。
家の外に出ると、落ちていた枝を拾って剣の代わりとする。
とりあえずは……そうね。
木の枝を使うし、ライトニングボルトからやるとしよう!
掌に集めた魔力を、剣に向かって流し込んでいく。
途端に、剣のあちこちから魔力が拡散し始めてしまった。
集中だ。
流れ出す魔力を、剣の表面にとどめる。
膜が出来ていくようなイメージ……であっているのかな?
とにかく魔力を剣にとどめて、少しずつ性質変換していく。
うわ、難易度高いわね……!
自分の身体ではない物質を介しているため、魔力コントロールの難易度が跳ね上がっていた。
少しでも気を抜けば、青いオーラが空中に四散してしまう。
く、負けるもんか!
とにかく集中だ、集中!!
瞳を閉じて、魔力の扱いに奮闘すること数十分。
さすがに魔力の残量が厳しくなってきたところで、枝の表面をバチッと火花が走った。
これだ、この青い火花だ!
間違いなく雷の力で引き起こされたであろうそれを見て、思わず拳を握る。
こういうのは、糸口さえつかんでしまえばあとは早い。
「カカカッ!!」
よっしゃァッ!!
二度目の火花が出た!
このやり方で、方法としては恐らくあっているみたいだ。
あとはそれをいかにして持続し続けるかだね!
威力も、このまんまじゃあまりにも低いし……要検討だ。
こうして、それからしばらくの間は余剰魔力が尽きるまで魔法剣の練習をしたのだった――。
なかなか日間上位に上がれない……ということで、テコ入れ策を検討中。
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