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18話

「本当は、目的のダンジョンで何度も死にながら攻略するようなことをさせたくはなかったんですけどね」



 アレクは語る。

 その方法は不細工だと。



「古き良きとは言いましたけど、古いやり方なのは、事実です。今は挑むダンジョンよりも効率のいい狩り場で充分にレベルを上げて、目的のダンジョンでは死なずに一発クリアが主流だと、俺は思っていますから」



 だからこそ『強引』と彼は評した。

 たしかに、スマートではない。



「ただ、『花園』で死ぬ可能性をまったくの皆無にできるかと言えば、確約はできません。なにせ俺が実際に挑んでダンジョンレベルを測ったわけじゃありませんから。挑んだなら制覇するのが冒険者後期ころの、俺のこだわりですし」



 発言は、やはりいちいちとんでもない。

 けれど彼ならば本当にそうするのだろうと、ロレッタには思えた。



「明日、起きたら『花園』に向かいましょう。だから充分に休んでください。制覇依頼などの手続きは、今から俺が、代わりにやっておきますよ。ギルド長と話したいこともありますし」



 それは無理がある。

 通例、ギルドで依頼を受ける場合、受けるメンバー全員がその場にそろっていることが条件だ。


 これは『代わりに受けた』などという言い訳で、他者に無茶な難易度のダンジョン攻略を押しつけるやからが出ないようにする措置である。

 依頼によっては契約金や違約金が発生する場合もあるのだ。

 冒険者が無闇な損害を被らないようにするための、当然の措置であった。


 だが。

 アレクは言う。



「ギルド長とは顔見知りですし、うちの宿の事情もご存じですから。『駆け出し冒険者に最高のサポートを』というのも、うちの社訓の一つです」



 初耳だった。

 しかし、今までしてもらってきたことを思えば、そのような社訓があっても不思議はない。



「ですから明日は、目覚めたら真っ直ぐに『花園』へ行きましょう」



 ――という、手厚い支援を受けて。

 ひょんなことから。

 ロレッタは目標としていたダンジョンに挑むことになったのであった。

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