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転生怠惰譚~ゆるゆると生きてたい~  作者: おばあさん
第一章~転生して良くも悪くもめんどうくさい~
6/55

一話 〃 ―④

 そうしてあれから一ヶ月。


 僕はおもちゃのガラガラを浮かび上がらせることに成功した。

 怠惰な僕にしては珍しく真面目に取り組んで、どうにかここまでこぎつけて見せたよ!


 もう僕、天・才。なんつって。てへへ。


 もうこの調子なら半年あれば浮いて移動とか絶対できるよ。

 やったね! 歩く必要がなくなるよ将来。いえーい!


 ……落ち着こう。少し真面目に話そうか。




 あの不思議な“力”を感じ取ったその翌日のことだ。


 僕の部屋のベッドの柵のかどは、綺麗に丸められてた。


 ――のはどうでもいいとして。僕は自分の中にある力の行使と操作に、二日ほどの時間を掛けて慣れた。


 そしてまずはサヴァさんが使ったあの魔法を手本にして行使しながら、僕はなんとか魔法というものの仕組みを大雑把に理解した。

 ちょっとそれを説明しようと思う。


 魔法に大事なのは――。


 “基盤となるイメージ”。


 “燃料となる内にある力”。


 “発動の切欠となるモノ”。


 ――の計三つだ。

 補足で、最後の切欠って言うのは、具体的にはサヴァさんの言ってた≪ヒーリア≫みたいに、たぶん魔法の名前を口に出すこととかだと思う。これは別に、他のことでも大丈夫みたい。力を大量に使う、とかね。


 話を戻してと。


 先に述べた三つ全てが()()()()()()()()、魔法は発動するらしい。


 基盤となるイメージが脆弱だとダメ。

 イメージと自分の力の系統が合わなくてもダメ。

 切欠となるモノがその魔法に相応しくないとダメ。

 ……と、こう並べると魔法には制約ばっかりに見える。


 でも、逆に考えればそれさえ出来ていれば魔法は“創れる”。

 僕にしっかりと魔法のイメージが在って、僕の力がそれに適っていて、切欠をどうとでもすれば、もうそれだけでいいんだ。

 本を読む必要も、誰かから教わる必要も、もうないのである。


 イメージは十二分に出来ている。

 切欠に関しては、力をかなり多めに使えばそれが役割を果たしてくれる。

 問題だったのは僕の適正だけど……まあ、結果はさっき見たよね。


 僕には超常系統の魔法の適性があったようだ。

 こうしてガラガラを手を使わずに振って遊べるのがいい証拠だよね。


 そしてもう一つ、生命系統にも才能はある。初めに使えたからね。

 小さな怪我が出来る度に、何度かお世話になってる。

 魔法名の省略が力の消費によって可能だと気付いたのはその時のどこかだ。


 またちょっと余談になるけど。


 なんで二つも適性があるのか。

 と言うのは恐らく、僕自身の魂が超常系統適性で、両親から貰った僕の体が生命系統の適性だからだと思う。

 この力がどうやって生まれるのかが分からないからハッキリしないけど、たぶんそんな感じ。

 もしかしたら僕は結構、珍しいのかもしれない。

 ……ああ、ついでにもう一つ。

 自然系統だけど、どうやら僕には適してないみたいだ。火の一つも起こせなかったよ。




 ガラガラを右に左にと動かしながら、浮遊魔法(そのまんまだと切欠にならなかったから現在考案中)を確かめる。

 魔法の発動と維持、そして操作には力を消費するけど、体を動かしたような疲れはないからやはり動くよりも楽そうだ。

 ま、それも僕が浮けるようになってから結論付けることだね。


 実験を続ける。


 ……小さい物を動かす分には問題ない。

 でも、大きくなったり重くなるほど出力が必要になって、力の消費量が比例して大きくなる。

 けれど今の僕には量はおろか、出力も限られている。

 余り大きなもの、重いものは出力不足で持てないし、おそらく長時間の維持もできない。

 使ううちにこれらは大きくなるんだろうから、鍛錬あるのみなんだろうけど。

 ……それ以前にこの魔法自体に無駄が大きい気もするなあ。

 なんだろう。イメージが少し悪いのかな。どうするべきかな……。


 思考を続けながら色々と試行していく。


 それに夢中になっていると。


「ベルお坊ちゃま」


 と、渋い声が僕の小さな背中に届いた。


「あうっ!?」


 ビクリと体が跳ねる。

 集中力が途切れたせいで魔法が止まる。

 がらんとガラガラが落ちる。


 僕がゆっくりと振り返ると、そこにはいつも通りの姿で佇むサヴァさんの姿が。


 ……あっぶなーい。ガラガラが丁度僕の前にあって、サヴァさんの死角にあってよかった。


 まだ魔法に関しては誰にもバレたくない。

 理由は……特に、ない。

 強いて言うなら、その方がサプライズになるから、みたいな、ね?


「夕食の時間なので起こしに来たのですが、既にお目覚めでしたか。玩具は気に入りましたか?」


「あいっ!」


 思いきり頷いておく。

 気に入ってるのは確かだ。実験に丁度いいからね。


 サヴァさんはいつも通り静かに笑みを携えると、僕の方へと近づいてくる。


「では、移動しましょう。抱き上げますよ」


「あーい!」


 そして僕は、サヴァさんに連れられて夕食の席へと向かうことになる。

 魔法に関しては、少しの間お預けだ。


 ……その道中で、僕はふと思ったことがある。


 バレたくないなら、もしかしたらサヴァさんの出現を捉える魔法を考えるのが先なのかもしれない……なんて。


 それも含めて、この先は考えるとしようか。


 明日からね!

20141221_脱字修正

ちょっとえっちな絵とか動画見てる時に背後から来るの本当にやめてって思いますよね。

ヘッドホンしてたら更に気づけないから困ったものです。


次回も同時刻です。

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