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転生怠惰譚~ゆるゆると生きてたい~  作者: おばあさん
第一章~転生して良くも悪くもめんどうくさい~
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七話 〃 ―③

「あ、貴方は……」


「――しんぷさん」


 僕たちが振り向いた先。

 そこいんは、にこやかな(?)顔の神父さんがいたのだった。

 彼は遊ぶ子供とシスターたちを眺めながら、説明してくれた。


「修道服は、なるべく体のラインが出ないように作られていますから、見た目ではその女性の本当の体の線が分かり辛いのです」


「は、はあ。なるほど。それはどこも共通なのですか?」


「そうですね。ですが、徹底的にラインが出ないようにしているのは我が教会だけかと」


「どーして?」


 神父さんは、彼らしからぬ熱を込めて語った。


「脱いだら凄い――その真価はやはり脱がなくては発揮されません。この素晴らしい海のある街に建つ、我が教会だからこその持ち味なのです」


「「な、なるほど……」」


 教会って、そういうことを考えて修道服を作ってるんだ。

 へえ~。


「まあ、私の趣味です。意見をゴリ押して作りました」


 良い笑顔でなんてこと言うんだこの人……!


「いい仕事しますね、神父さんは」


「ぐっじょー」


「いやいや、それほどでもありませんよ」


 ニコニコと、オールバックの男前と柔和な翁が笑いあうその様は、なんかこう、僕にも分かるぐらい雰囲気が怪しかった。

 僕? 僕は素晴らしい子供オーラでそんなのないよ。


 そんな雰囲気を察知してきたのかは、分からないけど。


「――そこの三人、頭を冷やす」


 バシャンと、顔に冷たい水を引っ掛けられた。

 あは……僕もでしたか。


「…………カナリアか」


「…………カナリア、です」


 いつもの口調に加えて無表情でやってきたのは、聞いての通りカナリアちゃんだ。

 彼女はいつも通りの格好に、袖を肩まで捲って、カーゴパンツをひざ下まで捲っていた。

 そして、青紫の髪は一つに束ねられて、頭に乗っていた三角帽子はいつの間にか可愛らしい大きな麦わら帽子に変わっていた。

 騎士らしく浜辺を巡回していた彼女は、少しだけでも海の気分を味わいたかったのかな?


「麦わら帽子。良いじゃないか」


「……ルミナスさんに、かぶせられました。……巡回するなら、海っぽくしろ、って」


 ああ、なるほどね。

 確かに、ラフな格好とはいえど騎士が歩いてたら変な気分だ。

 うん、いい。

 一つに纏められた髪もいい味出してる。

 超似合ってる。


「カナリアちゃん、かわいい」


「……ふふ……ありがとう」


 微笑む姿が、なんとも可愛らしい。


「ふむ……カナリア様は、海には入らないのですかな?」


 そんな中、黙っていた神父さんが臆せずにそんなことをカナリアちゃんに問うた。

 カナリアちゃんは少しだけ困った顔をしながら、いつも以上にたどたどしく言った。


「っと、その……あまり、肌……見せるのが苦手、で」


「おや……それなら仕方ありませんね。――」


 神父さんは深く一礼すると。


「では、私はこれで。子供たちの様子を見に行かなくては」


 そう言い残して、もう一度軽く会釈をしてから立ち去った。


「……隊長、私の話、した?」


 キョトンとした顔になったカナリアちゃんの問いかけに、お父さんは首を横に振る。


「いや。だがまあ、彼は神父だ。色々と聞いてるか、敏いんだろう、そういうのに」


「……そう、ね」


 さっきの会話で一体、どんなやり取りが行われたんだろう。

 何かがあったんだろうけど、それにしてはやけにアッサリとしていて、よく分からない。

 ただ、カナリアちゃんの水着姿を拝むのは難しいかもしれない、ってことだけは分かった。


 神父さんの自身のことは一先ず置いておいて。

 彼の残した言葉を思い出して、カナリアちゃんはお父さんに言った。


「……隊長も、こんなとこで鼻の下伸ばすなら、巡回したらどうですか」


「いやいや。ベルを見ないと」


「私が、見ますから」


「あー……」


 お父さんはなんとなく嫌そうだ。

 でも、僕としては男二人よりカナリアちゃんと一緒の方がいい。


 チラリとこちらを見てきたお父さんに、「いってらっしゃい」と手を振った。


「ほら……ベルも、言ってる」


「はぁぁ~。しょうがない。見て回ってくるよ」


 よいしょと立ち上がったお父さんはカナリアちゃんに僕を頼んだ。

 そして軽く僕の額を小突いてから、見回りに出て行った。


 と言っても、シスターさんたちの所に真っ先に向かってるから、下心が見え透いている。


「……隊長……またあの人は……」


「みんな、おとうさんのことはしってるの?」


 呆れ果てた様子がカナリアちゃんからひしひしと伝わってきたので、僕は彼女に尋ねる。

 薄らと汗を滴らせながら、カナリアちゃんはこくりと頷いた。


「私みたいな、部隊長格は、みんな。……隊員は、女の子を含めて、ほとんど知らない。……表面は、至って普通、だし」


 あー。

 お父さんは上手く隠せてるのか。

 僕はどうしようもない気もするけど、一応見習わなければ。


「だから、私はベルが、おっぱい魔人であることも、知ってる」


「えっ。おとうさんが?」


「そう」


 まさか身内に密告されるとは……。

 カナリアちゃんは『一部の人しか知らない』と言うけど、それでもショックだよお父さん。


「……落ち込まないで。私は、気にならないし」


 ふわっと、カナリアちゃんに抱えられる。


「……ふふ。あまり大きくなくて、ごめん、ね?」


 柔らかい彼女の肌と、小さな胸の感触が背中に伝わる。

 物足りないなんてことは一切ない。


「おっぱいにおおきさのゆうれつナシ」


 それがおっぱいであれば、僕は等しく満足だ。

 ただし、“無い”のと“筋肉”は、流石に厳しいかもしれない。

 その点、カナリアちゃんは大きくないけどしっかりおっぱいしてるからモーマンタイ。

 っていうか、ノーブラなのが気になってしょうがないよ僕は。

 騎士団の女性はノーブラ主義なの?


「流石」


 クスクスと笑われながら、僕はカナリアちゃんに寄りかかる。

 ロザリーちゃんより強い彼女の方が断然やわこいのは、種族の差ってやつなのかなあ?


「汗、くさくない?」


「ぜんぜん」


 首を横に振って、カナリアちゃんを見上げる。


 首筋から、鎖骨。

 鎖骨から、僅かな胸の谷間へ。

 するりと入り込んでいく汗の粒。

 臭いなんて気にならない。

 寧ろ良い匂いだし、何より危ない色香がある。


 んー、至福。

 あ、そうだそうだ。

 どうせだし、あの話を持ちかけておこう。


「こんど、けーじみる?」


「……いいの?」


「いーよ。どーせだし」


「……ふふ、嬉しい」


 バレてるならしょうがないしね。

 “女の子好き”も増えてるけど、おっぱい魔人に比べれば大したことないから。


「じゃあ、今度、私が午後に非番の時――」


 ニコニコとしていたカナリアちゃん。

 しかし彼女は言葉を切って、途端に険しい顔つきになってしまった。

ロリコンでも出たのでしょうか。

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