七話 〃 ―②
昨日、お預けしましたから、今回こそ、ね。
小走りで走り寄ってきたお母さんは、申し訳なさそうに笑った。
「ごめんなさい、見惚れてたわ」
長い金の髪をかき上げながら膝に手を付き、息を弾ませて肩を上下する。
前屈みで見せつけてくる、たわわに実った二つの果実もぷるぷると震える。
白色のビキニから、今にも溢れて出てきてしまいほうだ。
今までそれに気づかなかったことに僕は戦慄しつつも、改めてお母さんを見回す。
すらっと伸びる肢体のほど良い肉つき。
主張が激し過ぎるスイカップと、それが作る深い谷間。
三子持ちとは思えない腰周りの括れと肌の輝き。
水色の波模様が描かれたパレオによって背反する慎ましさと艶やかさ。
なんだこのお母さん。
これがお母さんで僕は許されるのか!?
ナイスおっぱいバディお母さんありがとう!
そして熱い抱擁をお母さんへ――。
「……おにい、おっぱいまーじん?」
ルナにジトッと睨まれ、ギクッ。
「あらあら」
「あー! ベルのエッチー!」
困ったように笑うお母さんと、指差しで糾弾するリアねえ。
ぐふっ……ごめんなさい。
でも、しょうがないじゃないか。
そんな惜しげもなく豊満ボディ曝してたら。
見てしまってもしょうがないじゃないかー!
というかお母さんなんだから見ててもいいでしょー!
その柔らかい胸の感触に、埋もれてもいいでしょー!
……ん?
お母さん、立ってても下からおっぱいが見えてるだと!?
こ、これが下乳っていうやつか……水着の作りか?
それともお母さんのおっぱいのせいか?
お、お、押し上げたい~。
ぼよんぼよんと押し上げたい~。
そしてあわよくば頭突っ込みたい~。突っ込んでみたいよ~。
「おにい」
「ベル」
「…………えっと。り、リアねえ、ルナ。かわいい。みずぎにあってる。とってもかわいい」
子供ながらに恐ろしい声音が背後から聞こえたので、僕はくるっと振り返ってぎこちなく笑った。
そして別の事実を用いて、今ある事実から目を逸らさせた。
「え、えへへー。ありがと!」
「……ありあとう」
リアねえは小さな胸を張って。
ルナはリアねえの後ろにサッと隠れて僕に礼を言った。
うん。改めて思う。
本当に年齢が惜しいなあ。
リアねえは少しずつ大人びて、女性的になってきてるけど。
あー二人にも抱きつきたい。
「リアねえ、ともだちは?」
「後で来るって!」
「そっか」
「ベル、エッチな目で見ちゃダメだからね!」
肯定しかねるので黙っておいた。
リアねえぐらい可愛くて綺麗だったら、見ちゃうかもしれない。
「リア、ベル、ルナ。お母さんはお父さんの準備を手伝うから、先に三人で浜辺まで行ってらっしゃい。リア、二人が海の中まで行かないようにしてね」
僕とルナは「はーい」と、リアねえは「はいはーい」と返事をして、三人で波打ち際まで走って行った。
ああ。桃源郷……また後で。
☆
「ベルくーん」
子供らしく砂で山を作ってお母さんを待っていると、ふにゃふにゃした声がした。
この声はおそらく、彼女だ。
「ロザリーちゃん」
「ああ! ロザリーだ!」
「ろざ……?」
「やっほ~」
お母さんより先にこっちにやって来たのは、ロザリーちゃんだった。
結い上げた紫の髪。頭の上にはサングラスが乗っかっている。
……のは、まあいいとして。
「隊長にお誘いされたので、来ちゃったー」
ひらひらと手を振る彼女は、少しだけ腕周りとかが日に焼けている。
そのうえ彼女の黒いビキニとホットパンツ姿は、この白い砂浜ではとても目立って見えるだろう。
歩く度に、水着がなくとも重力に逆らいそうなハリのあるダブルメロンが上下に勢いよく弾む。
ホットパンツから伸びる長い脚は初めて見るけど、意外と細身でスラッとしている。
お母さんとは違い、騎士らしいうっすらと見える腕や足の筋肉と、腹筋もまた味があっていい。
それでいておへそが小っちゃいのが、なんだかカワイイな。
「……あ。お腹は恥ずかしいからあんまり見ないで~」
「えー、カッコいいよー。腹筋」
「そうかなあ。カナリア隊長みたいな方が、私は羨ましいんだけどな~」
ペチペチとお腹を叩くリアねえに、ロザリーちゃんは複雑そうに笑った。
僕は僕の後ろに隠れたルナを撫でながら、ロザリーちゃんに尋ねた。
「カナリアちゃんは?」
「カナリア隊長はあっちで海に見惚れてる~」
彼女の指差す方を見れば。
そこには確かに、いつもの姿で海を眺めるカナリアちゃんが。
…………え?
なんで?
「み、みずぎじゃない!」
「カナリア隊長は、知らない人にはあんまり肌を見せたがらないからねー。腕ぐらいならいいみたいだけど」
勢いよく飛び出た疑問に、苦笑いしながらロザリーちゃんが答えてくれる。
膝をつきたくなるほど、ショックを受ける僕。
そしたら、ロザリーちゃんがギュッと抱き締めてくれた。
「わぷ」
「代わりに、私でガマンして~?」
ああ、うん。オッケーです。
全然、オッケーです。
うはーたまらないよこれ。
直の女の子の肌と、いつも以上に近く感じるおっぱい。
もう隠し立てなんかしないで揉んでやった。
「やんっ」
……弾かれるようで、けれどしっかり形が変わってく。
右に左に上下に、時には挟み込むように、持ち上げるように。
子供の手じゃあ入りきらない!
零れて落ちそうだこのおっぱい。
ならば、ええい!
顔も埋めてしまえ!
うぅっ、はわ~!
やわらか~い。
あったか~い。
いいにお~い。
ぽよぽよぽよ――最っ高。
――なんてやってたら、ぺチンと背中を叩かれた。
「まーじんしちゃ、ダメ」
「……ごめんなさい」
「あははー。ベルくん、ルナちゃんに怒られちゃった~」
愛しい妹に怒られちゃったら、我慢するしかないのでした。
いやあもう大満足だけどねえ!
☆
お母さんとロザリーちゃん、そしてカナリアちゃんの監視の下、海でちゃぷちゃぷと遊んでいると、人がぞろぞろ増えてきた。
最初は孤児院の子たちと、シスターさんたち。
そしていつもの恰好のままの神父さん。
他にも普通に遊びに来た人たちで、海は賑わい始めた。
色々とあって、僕はちょっと気疲れしてしまったのでお父さんの所まで戻ってきた。
「お、ベル。どうした?」
「はなしつかれた」
「はは、そうか。じゃあ、しばらくここで休んでおけ。冷たい水もあるぞ」
「そうする」
ぽてっとシートの上に座り込む。。
お父さんから水を貰って、それをくぴくぴと飲んでいく。
そうしながら、僕は何回初めましてを言ったのか数えてみた。
……うん。二回だった。
リアねえの友達と、孤児院の子たちだけだ。
ただどっちも集団だし、一気に話しかけてきたからすごい疲れた。
しかもほとんどが僕より年上の子だったし。
年下の子なんて片手の数ぐらいしか話しかけてこなかった。
ぼっちでも良いけど、それは流石に寂しいと感じた。
「そう言えば皆に魔法をせがまれてただろう。どうしたんだ?」
「こんどになった。きょうは、おおすぎ」
そうだそうだ。
リアねえの友達に魔法を使ってから、孤児院の子たちや全く知らない人たちにまでせがまれて大変なことになったんだ。
神父さんがどうにかしてくれたけど、その代償か、今度孤児院に行く用事ができてしまった。
それを愚痴ると、お父さんは苦笑した。
「まぁいいんじゃないか? ベルは同い年の子と全く遊ばないし、何より用事がないと家か教会にずっといるんだからな。友達の一人ぐらいは作れ」
それを言われると何も言い返せない。
確かに友人がいないのはこれから先不便……げふんげふん。
人生的にちょっとマズイのかものなーって思ったりもした。
でも、まだ五歳だし、ねえ?
それに最悪、僕は女の子を見てるだけでいいから。
そう、見るだけでいいし、それが大事。
――だから今は女の子の水着姿を見るのが超大事!
「あっちこっちのおっぱいがだいじっ」
「ベル、お前な……」
お父さんは呆れつつも、しかし何も言わない。
そりゃそうだよ。
目の前におっぱいあったら、誰だって見るよ。
お父さんだって、今までずっと水着の女の子見てたの、僕は知ってるんだから。
潮騒の音。
人々の楽しげな声。
そして可愛い女の子たち。
片っ端から僕を抱きしめに来てほしい。
「……それにしても、シスター達は本当に脱ぐと凄いんだな」
「……ね」
そんな中、お父さんの視線の先。
子供たちと戯れるシスターさんたちの姿が。
色とりどり、様々な水着姿の彼女たちは、総じて肌にシミ一つなく真っ白。
そして出るところはでて引っ込むところは引っ込んでる。
動き回るシスターさんたちの、跳ね回る双山と滑り落ちる僅かな汗が、修道女にあるまじき艶めかしさを放っている。
ドエロい修道女たちだ。けしからんね。
これは、修道服姿からは全く想像できなかった。
太ももの柔らかさなら、堪能してたんだけどなあ。
じーっと二人で見ながら、その疑問について考えていると。
「――それは、修道服のおかげですよ」
と、突然後ろから声が掛かった。
昨日おっぱい出さなかったのは、ミルイニちゃんが頑張ってたから。




