零話 転生!赤ちゃん生活はラクだね!
こっら文字数がグッ! と減りますよ! 三分の一ぐらい!
やあ、みなさんこんにちわ。ベルです。
ミルイニちゃんの加護を受けて、前世の記憶を持って無事に生まれてきましたよ。
養ってもらう生活に大変満足している、現在生後六か月の男の子です。
「ベル~。ご飯の時間よー」
おっと。どうやらご飯のお時間のようだ。
「あー!」
美しく綺麗でおっぱいおっきいお母さんの声に、僕は元気よく答える。
この時間が一番の至福。たまに揉むのに夢中で母乳飲むの忘れてすぐに終わっちゃうからそれに気をつけながら幸福を噛みしめてる。
「ベルはそろそろ離乳食も始める頃かしらねー」
……離乳食にそっぽ向いてたらしばらくはおっぱいかな? どうかな? そうだと言ってよお母さん。
☆
僕の昼食が終わって、と。
改めましてこんにちわ。
僕の名前はベルフェルミナ・ゴルドス・アーケディア。
アーケディア家の第二子であり、長男だ。
……愛称は奇しくも、前世の頃や女神様に教えたのと同じ『ベル』、もしくは『ベルフェ』だ。
ま、違和感がなくていいね。
「はーいベル。お母さんはどこかなー?」
「あー!」
「せいかーい!」
座る僕を見ながら家の中をあちこち移動してかくれんぼをしてくれているのは、僕のお母さんであるルミナス・クリア・アーケディアだ。
金髪碧眼に瑞々しい色白の肌。
二児の母であるとは思えない美しい容姿。
そして豊かなおっぱい。
とっても綺麗で優しいお母さんだ。
「ベル―! にあはどこだー!」
「あー!」
「せいかいだー! ベルすごいぞー!」
お母さんと一緒にもう一人、かくれんぼで遊んでくれている女の子がいる。
まだまだ拙い言葉で僕を褒める少女は、クローリア・プラツム・アーケディア。
僕のお姉ちゃんにあたる子で、五歳だ。
彼女のプラチナブロンドの輝きを放つ髪の毛と澄んだスカイブルーの瞳はキラキラと僕の目に焼き付く。
幼いながらも見て取れる美貌から表れる無邪気な笑顔もまた、華々しく咲いた花のようで見ていてとても心地いい。
ああ、そうだ。一応彼女の愛称を訂正しておくと、リアだよ。まだ舌っ足らずなんだ。
しばらくそうやって僕たちが遊んでいると、玄関に繋がる扉がゆっくりと開いた。
「おっ、楽しそうだな。なにしているんだ?」
そこからやって来たのは、リアよりやや薄い白金の髪をオールバックにした男前。
グレーのスーツをしっかりと纏った彼は、やや濃いめの空色を細めながら僕たち三人に笑いかける。
「かくれんぼ! おとうさんもしよ!」
「ベルがね、見つけるの上手なのよ」
「あー!」
「おお、そうか。じゃあ、お父さんも隠れるぞー」
ネクタイを緩めながらそそくさと隠れる準備をする彼は、言わずもがな僕の父だ。
クロードヴェル・グレイス・アーケディア。
この家の家主でもある。
なんか結構偉いらしいんだけど、その実はまだよく分かってない。
「よーし――さあ、お父さんはどこかなー?」
「あー!」
「お、すごいなー!」
「流石ねー」
「べる、すごーい!」
僕が隠れたお父さんを当てれば、それを褒めようとたちまちわっとみんなが寄ってくる。
そしてこれでもかというほど僕の頭を撫でていく。
お母さん譲りの、まだ薄い金色の髪がくしゃくしゃになる。
雨あられのキスや放してくれないハグなんかもしてくる。
首が据わったからと言って、ちょっと乱暴だよみんな。
もっと丁寧に、優しく撫でたりしてよ、もう。
なんともまあ、愛が深い家族だと、僕は翡翠の目で三人を見回す。
「あいー!」
そして、喜色の笑みでもって声を上げた。
ミルイニちゃん曰く、異世界転生。
常識や道理が、もしかしたら全く違うかもしれないし、全く同じかもしれない世界。
正直、生まれたばかりでこの世界のことはまだよく分からない。
けどまあ、家庭には恵まれたみたいだ。
異世界生活、ゆるゆると生きていこうかな。
お昼の十二時に第一話の第一部が更新されます。
以降は基本、一話分を四分割してます。理由は活動報告に記載します。
母乳ってそこまで美味しくないそうですね。でもまあ飲んでみたいです。