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マヤにしてっ!  作者: 白沢 雄
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マヤが好き! 13

 慌しかった九月は過ぎ去り、十月が始まった。

 わたし達はそれからどうなったのかを、簡単に話すわね。


 平岩先輩によって、一応チナは正気に戻った。今は、マヤの屋敷で生活している。

 最初の数日はマヤの用意した部屋に引きこもっていたけど、今ではマヤにすっかり懐いている。チナの過去をどうでもいいと思っているマヤの非常識な価値観が、チナにとって居心地が良かったのだろう。

 前世からの因縁ではなく、改めて今のマヤを好きになったチナがマヤと一つ屋根の下に住んでいるのは、わたしとしては羨ましいというかチナとはいずれ戦わなければとか色々と複雑な気分だ。

 マヤの近所の人達は、親戚の娘か何かだと思っているようだ。まあ、同じ顔が並んでいたら、赤の他人とは思わないだろう。


 チナの家族については、心配ないと教えてくれたのはエフェメラさんだった。何でも父親は、とっくに姿を消しているらしい。

 超能力を手に入れたチナに報復されたのだろうか。それとも、彼を邪魔に思ったマヤの手にかかったか。

 まあ、あんなに酷い父親なんだから、誰に何されようがわたしの知った事じゃない。これ以上は考える必要は無い。


 美術部は、受験を控えた三年生から二年生の颯爽先輩に部長が変わった。前の部長が事件を起こしたので存続が危ぶまれたが、何とマヤの体育館の絵が展覧会で文部科学大臣賞を受賞したので、その実績に免じて首の皮一枚でつながった。マヤ自身は、部員じゃないけど。


 部長になった颯爽先輩は、正式な部員が三人しかいないので文化祭をどうしようか悩んでいた。なんでも美術部は、画廊喫茶店を毎年出していたそうだ。もっとも、去年のウエイトレスの制服を見せられると、画廊喫茶というよりはメイド喫茶だったんじゃないかと思ってしまう。

 部員ではないけど、一応賞を取ったマヤの絵は目立つ場所に飾る予定だ。

 ちなみに獣の姿の方は、あれから完全にコントロールできるようになったので心配はいらない。


 平岩先輩は、まだエフェメラさんの家に隠れていた。エフェメラさんから謝礼をたんまり貰っているとかで、生活には困らないらしい。指名手配されているとはいえ、未成年だからそんなに大々的ではないし、簡単には捕まらないだろう。

 時効まで何年かかるかは、知らないけど。


 ミツル先生は、かなり疲れていた。まあ、問題起こした直後にまた無断欠席を三人揃ってしでかしたら、頭も痛くなるだろう。問題を起こしたのもマヤなら、美術部を救ったのもマヤなので、先生としては対処に困ってしまうのもしょうがない。

 来年度は、まともな部員が入ってくるのを期待するしかない。


 エフェメラさんは、今も普通に学校に通っている。彼女の正体は、勿論わたし達しか知らない。クラスメートとは勿論、わたし達ともたまに昼食を共にしていた。

 もっとも、わたし達と一緒の時は他のクラスメートとは食事はしない。マヤは他の生徒達とは今でも全くそりが合わないし、第一マヤはエフェメラさんの秘密を平気で口にしかねないから、皆と一緒に居て貰うわけにはいかないのだ。

 今の所、エフェメラさんにとってマヤは親しいクラスメートといった認識のようだった。


 わたしとマヤは、チナとも一緒にドレスを自作するのが日常になっていた。

 実はチナは、その為だけに専門学校で仕立て屋の勉強をしている。そんなに飲み込みのいい方ではないチナだったけど、授業料を出してくれているマヤの期待を裏切らないように真面目に修行をして、今では独学で身に着けたわたしよりも上達していた。

 わたしは、マヤにはゴスロリを着せたいのだけど、チナはパステルカラーのフリフリをマヤに薦めていた。まあ、結論としては、マヤには何を着せても魅力的だという事になった。

 たまに揃いの服を着て屋敷のテラスでお茶会をするけど、その時はマヤを挟んだ両隣に座るのがわたしとチナの定位置になっていた。わたしは、マヤがつけているダイヤのイヤリングが見える左側に座る事が多い。


 わたしは、お母さんにも迷惑をかけたので、せめて中間テストの順位は落とさないように、マヤと付き合いながら試験勉強も怠らないでいた。それに部活動もするようになったので、一学期の時には想像もしていない程に忙しくなった。


 エピクリマ大陸の夢は、最近は見ていない。今のわたし達が知り合う切っ掛けとなった前世の記憶は、もうその役目を終えたのだと思う。

 とはいえ、特殊な能力が消えたわけではないし、マヤが破壊魔王の生まれ変わりである事に変わりはない。いつかまた新しい騒動が起きる事もあるだろう。その時は、その時だ。


 マヤと一緒なら、どんな事件もきっと楽しいと信じている。


終わり

 最初、この作品はとある新人賞に応募する作品でした。その時は『氷山』のくだりは実は『津波』でした。どうして津波をやめたのかは、皆さんお察しの通りです。

 実は新人賞に応募したバージョンでは、津波を急遽カットしたので殆ど事件が起きずに肩透かしに終っていました。結果として一事選考で落選しました。

 それに、やっぱりマヤと和美はわたしの好みのキャラクターですが、大多数の人には受けないようでもありました。そこで、敵になる筈だったエフェメラを味方にしました。更に、彼女が最初から登場するように出だしを二学期の始まりにしました。

 ちなみに、エフェメラの人格設定のモデルは、サイバーフォーミュラーというアニメに出て来たAI『アスラーダ』です。事務的な口調なのに人間臭いという矛盾を両立させていた名演技が良かったです。

 お気付きの方もいると思いますが、この作品の舞台は日本ではありません。それ所か地球でもないどこか別の世界です。

 震災で日本を舞台にしにくくなったという理由もあるのですが、通信技術の進化の速度についていけないのが、一番の理由です。最初は、昭和を舞台にする案もあったくらいですから。


 次回作については、タイトルとプロットしか出来ていない作品がいくつかあります。一つは『翼の抜けた天使』でもう一つは『ドラゴンジョッキー』です。具体的な形になるまで時間がかなりかかりそうです。


感想をいただけたら、うれしいです。

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