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異世界でヤバい妹になった私は生きるためにあがく  作者: ノーネアユミ


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19/20

19 おまけ 蒲生蓮の人生

 自分は目立たない人間だ。

 家でも学校でも誰からも気にかけられない。

 これと言った虐待は受けなかったが、親は弟ばかりをかわいがる。


 自分から友人を作るのも苦手で、社会人になってからは特に親しい人間もいなかった。

 趣味に生きるわけでもなく、家にいる時はいつも孤独。

 魂が少しずつ死んで行く感覚が大嫌いだったが、かと言って自分から人生を終わらせる勇気も出ない。



 そんな時に夢を見た。

 夢の自分も現実と同じように目立たなかったが、それでも友人が側にいる。

 モテない所まで再現されていのは残念だったが。

 

 いつしか、蒲生蓮とロータスの意識が溶け合う。

 学生になる頃には現実を忘れ、その世界だけに生きていた。



 そしてマリーゴールドと出会い、彼女に惹かれる。

 彼女と共に一生を歩もうとしていた時に、目が覚めるなんて。


 幸せから一気に現実に引き戻された時の絶望感は言葉にできない。



(また、ここから)


 窓を開けて叫んでしまった。


 すぐに後悔する。向かいのアパートの人と目が合ってしまうし。

 重い気を引きずりながら出社した。



 誰かとぶつかる。


「すみません」


 親しみが持てる女性だった。

 自分なんかとかかわらせてしまって申し訳ない。


「こちらこそすみません、あ、さっき見られた方ですよね」


 奇行を見られた人じゃないか。くそ恥ずかしい

 ロータスの記憶が色濃くて、笑顔をとっさに作れたのだけは良かった。



 彼女は雰囲気がマリーに似ている。親近感がわいたから、たわいない夢の話で盛り上がる。


(女性と仕事以外で話したのって何年ぶりだっけ)


 夢の中の経験だとして、まったく無駄ではないかもしれない。



「ロータスと同い年じゃん」


 彼女のつぶやきに動きが止まった。


「なぜ、その名前を」


(ロータスを知ってるだなんて、まさかまさか)


 同じ夢を見ていたとか?

 ありえない。非現実的だ。



「え、夢の中に出てきた人ってだけですよ~気にしないで下さいアハハ」


 女性は足早に立ち去ろうとした。

 行かないで、お願いだから。


「待ってください、マリーゴールド」


 『恋人』の名前を呼ぶ。

 声はかすれてしまったが、彼女は立ち止まった。





「不思議なことも有るものですね」


 連絡先を交換し、彼女とは仕事終わりに待ち合わせる。

 


「姉のサルビアが主役の小説なんだけど」

「読んだことはありませんね」


 食事をしながら知識のすり合わせだ。


「マリー嬢はニンジンのグラッセをいつも残していましたね」

「う、細かいとこ覚えてるね。ロータスは‥我が家のキッシュが好きだったよね。お魚とホウレンソウの」


 お互い夢の内容を言い当てて、確信する。

 万里さんは本当にマリーゴールドだった。



「え、蓮君27歳なの、年下じゃん」

「別に気にするほどじゃないです」


 そんなことより気になることがある。


「いや敬語使われたら意識しちゃうから」

「クセになっていまして」

「まあロータスだったらそっか」


 今の自分は、彼女からどう思われているのだろう?



「また連絡して構いませんか?」

「もちろん。今度はどこか遊びに行こうよ」


 勇気をふりしぼったはずなのに、万里さんの変事は軽く聞こえてしまう。

 ただの知り合いなのか、友人なのか、結婚を決めた相手なのか。


 店を出たら外はすっかり暗い。



「星は向こうほど見えないね」


 万里さんは残念そうだ。確かに向こうの世界の夜は暗く、星はたくさん見えていたっけ。

 世界が違えば星の配置も変わるのだろう。

 あの世界ではこちらの星座はなかったはず。

 


「おお、蓮君、オリオン座だよ! 3年ぶりに見たわ」


 彼女が無邪気に笑いかける。


「きれいだよね」


 本当にどう思われているんだ、一体。



 月や星がきれいは素で言ってしまう主人公でした。



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