表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でヤバい妹になった私は生きるためにあがく  作者: ノーネアユミ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/20

18 冬はつとめて

 エピソードタイトルは「春はあけぼの」と迷いました。

 投稿時期が夏だったら「真夏の夜の夢」にしていますね。


 一瞬前まで大好きな人達と一緒だったのに、今の私は暗い部屋でたった1人。


「ふざけるなぁ」


 ここはお屋敷ではない。ただの独身者用アパートだ。

 私はそう理解すると同時に声を上げてしまった。


 あそこまで良い感じに進んで、結果がこれ?

 せっかく結婚したのだからここからイチャイチャラブラブする予定だったのに!

 何もない現実に引き戻されるなんてエエエ!



 ある意味最悪のタイミングじゃん。


 スマホの充電は残っている。まさかと確認したら前日までしっかり仕事をしていた。


(現実に戻ったんだ)


 あの世界は夢だったのだろうか。



 時間は早朝。

 カーテンを引きガラッと窓を開けて冷たい空気に身をさらす。

 今は頭を冷ましたい。



 カラカラ向かいのアパートの窓がほぼ同時に開いた。


「うわぁ」


 知らない男性が叫びを上げている。私と同じように。

 目が合ってしまった。


「‥すみません」


 男性はすぐ謝る。

 私も頭を下げて急ぎ窓を閉めた。どっちも悪くないけど恥ずかしい。




 顔を洗って簡単な朝食を用意する。


 料理なんて久しぶりだ。昨日もやったはずだけど、感覚としては3年ぶり。

 食パンをトーストし、インスタントみそ汁にお湯をそそぐ。


(この程度で料理したって思うんだから、お嬢様はまったく‥)


 自分で自分にツッコんでしまう。

 パンとみそ汁を合わせるのは初めてだったけど、台所にあるのを見つけたら飲まずにはいられなかった。


 3年ぶりのみそ汁は体にしみこむ。

 トーストにぬっていたマーガリンさえなつかしかった。

 向こうではずっとバターだったから。


(こっちではバター買ってないんだよね、高いから。物価の違いとか混乱しそう)


 現実に意識がうまく合わない。



 3年ぶりに食器を洗い、3年ぶりに出社する。

 今日は少し早めに家を出た。

 冷たい空気を吸いこむ。これはこれで気持ちが良いんだよね。


 角を曲がったら、あやうく男性と鉢合わせそうになっちゃった。

 現実世界は人口密度が高すぎるよ~


「すみません」


 謝れば、彼は先ほど目が合った人だ。



「こちらこそすみません、あ、さっき見られた方ですよね」


 顔を合わせて笑い合う。

 優し気な雰囲気の人だ。


「恥ずかしい。変な夢を見たせいかぼーっとしてしまって」

「あ、私もですよ。今日のは異世界で3年過ごしました」


 珍しい体験は誰かに話したい。夢って言えば聞き流してくれるだろう。



「奇遇、ですね。自分も異世界の夢見ました。27年も生きたなんて信じられないでしょうが‥」

「27年! 信じますよ~すごいですねえ」

「はい、赤ん坊から大人まで。まだ混乱しています」


 まさか同じような境遇の人がいるとは。しかも27年って。そりゃあ混乱もするだろう。

 あ、27歳と言えば‥


「ロータスと同い年じゃん」


 彼はピキッと動きを止めた。


「なぜ、その名前を」

「え、夢の中に出てきた人ってだけですよ~気にしないで下さいアハハ」


 初対面の人にする話じゃなかった。

 私は手を振って足を速めようとする。


 どうせただの近所の人だ。

 打ち明け話をする関係ではない。



「待ってください‥マリーゴールド」



 最後の方はモゴモゴしていたが、それでも静かな朝である。

 声ははっきり私へ届いた。


「何でその名を知っているんですか?」


 ぎこちなく振り返った私に彼は顔をほころばせる。



「夢の中に出てきた自分の恋人です。その、あなたと雰囲気が似ていて」


 私は気がついたらスマホを取り出し、彼に近づいていた。


「連絡先、交換しません? 私、小金井万里って言います」

「は、はい! 自分、蒲生蓮です。よろしくお願いします!」




 物語は、続くのかもしれない。




 ご愛読ありがとうございました。

 連続投稿チャレンジの条件も満たせたし自分としては恋愛物に仕上げられたのでそこそこ満足しています。

 感想やリアクションいただけたら幸いです。


 2026/2/24 日刊ランキングコメディー完結部門で2位になれました! 応援ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ほう……そう来たか! という落ち。 お相手はそんな久しぶり過ぎて日常生活(職関連や人間関係)を覚えているのだろうか? まぁ、こちらの2人もタグ通りハッピーエンドになると思っときます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ