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異世界でヤバい妹になった私は生きるためにあがく  作者: ノーネアユミ


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13/20

13 ロータス 前

 本日はロータス視点です。


 自分は国境付近の男爵家に生まれた。

 長男だったのでいずれは家を継ぐと思い、経営術などを学んでいた。


 学校を卒業してすぐ戦闘がおこる。それは想定内だったが、まさか2つ下の弟が初陣(ういじん)で武功をあげるとは。


 弟は昔からなんでも器用にこなす奴だった。まだ学生だったが座学の成績も良く友人も多い。

 家督は次男が継いだ方が良いかと親が口にし出す。

 弟もその気になったことで自分の婚約が解消された。


 彼女は弟と婚約する。



 あの時はさすがにへこんだ。

 自分としてはヤサグレていたのだが、家族には気がつかれなかったようだ。


 気を使ってくれたのは寄り親である先代のダンデライオン伯。


「息子の補佐を頼みたい」



 俺は子供の時から仲が良かった若殿に執事見習いとして仕えた。

 広大な領地を支配する辺境伯家は仕事の量も種類も多い。男爵家を継ぐよりはるかに上回る経験を積むことができた。




 数年がたつと代も代わり、俺の肩書から『見習い』が消える。

 


 結婚を渋っていた我が主君だが、跡を継いでまで独身なのはまずいので嫁をもらうことになった。

 選んだのはサンフラワー伯爵家の次女。

 家格はこちらが上だが、あちらは名門だ。つり合いは取れる。


 サンフラワー家を指定したのは、妹姫がわがままな姉に虐げられている噂があったからだ。

 オリバー様は彼女をダンデライオン家に向かい入れることで、彼女を救い出したかったのだろう。



「初めましてダンデライオン卿、私はマリーゴールド・サンフラワーでございます。そしてこちらは姉のサルビアですわ」



 まさか姉妹両方がやって来るとは。

 しかも虐げられているのが姉で悪評まみれの方が妹だと、本人が暴露するとは思いもしなかった。



「どう思う?」


 いつもは切れ者のはずのオリバーが珍しく困っている。


「伯爵家を調査しつつ、2人の様子を見るしかないでしょうね」


 自分としてもそれくらいしか答えられない。



 姉のサルビア嬢が淑女であることはすぐに理解できた。侍女たちの反応も良い。

 だからと言って妹のマリーゴールド嬢も悪女と言うほどではない。

 せいぜい勉強が苦手なお転婆くらいだ。


 しかしサンフラワー伯夫婦は問題が多かった。長女への虐待は使用人からいくらでも証言が取れたし、領地は度重なる増税で疲弊している。



「1人は伯爵家に戻し、家を建て直させる」


 オリバー様は決断した。


 しかしどちらを帰すのかは悩んでいるようだ。

 伯爵にふさわしい能力を持つのはサルビア嬢だが、オリバーは彼女に惹かれている。

 妹君にも好感は持っているようだが、あくまで家族として接しようとしていることはすぐに分かった。



 マリーゴールド嬢の方がよく彼を見ていた。

 

 オリバーは自分から見ても色男だ。マリー嬢が心を奪われたのも当然至極。

 しかし本人は姉を虐げたことをとても後悔していて、貴族夫人の座を譲ろうとしている。

 婚約者を奪われた自分には考えられない。


 健気な姿に心が打たれた。できることなら力になりたい。


 マリーゴールド嬢の勉強には手を貸した。

 主人とサルビア嬢の仲が深まると共に、マリー嬢が仲間はずれにならないよう笑いかける。

 マリー嬢をサンフラワー家へ戻す話が持ち上がった時は同行を申し出た。


 オリバー様は笑って快諾してくれる。




 しかし王都の道すがら泊まった宿ではあわてた。


 自分が令嬢と同室になってしまったのだ。

 彼女としては知らない護衛兵よりは自分の方が良いらしいのだが‥それはつまり自分を男として見ていないことになる。



 既視感があった。ああ何度かした見合いだ。

 跡継ぎじゃなくても構わない令嬢はいるのだが、いつもうまく行かない。


「良い方なのですが‥生活が保障できなさそうで」

「使用人の方はちょっと。もっと頼りがいがあるお仕事の方が‥」

「ダンデライオン家のご令息と仲がおよろしいのでしょう? わたくしにご紹介いただけるかしら」



 そう言われ続けたおかげで25になった今も独身だ。



 プライドが傷ついて、ついからかってしまう。


「自分じゃなかったら誘われたとかん違いしますよ」


 彼女は顔を赤らめている。かわいらしい。

 それでも無防備なのは変わらなかった。翌朝、寝間着姿を俺に見せてくるなんて。


 自分に男として魅力がないのか。

 それともマリー嬢の奔放(ほんぽう)だった噂はまさか本当なのだろうか? 扉の外で1人首を振った。




 たどり着いた伯爵家は惨憺(さんたん)たる状態である。

 手を入れるのが遅れたら破産していただろう。それともこの夫妻なら違法な事業に手を染めるか。


 マリーゴールド嬢はボロボロになりながら、親から権力を奪い家を建て直した。

 俺は定期連絡の手紙で彼女の努力を報告し続ける。


 その内オリバーからは「婿に入ればどうだ」などと不躾(ぶしつけ)な返事が来るようになった。

 マリー嬢の思いも知らないで。



 伯爵家の婿は魅力的だが、彼女に自分は分不相応だ。

 見た目も能力も平凡だし金もそこまであるわけじゃない。

 そんな自分に何ができる?


 もっと力のある家相手の方がマリー嬢も幸せだろう。


 苦い気持ちにはフタをする。

 今はまだこのぬるま湯につかっていたかった。



 しかしそんなあいまいな状況は打ち切られる。



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