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異世界でヤバい妹になった私は生きるためにあがく  作者: ノーネアユミ


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12/20

12 夜会の終わり

「探したぞ」

 曲が終わるとすぐそばに姉とオリバー様が来ている。


「王族へのあいさつはお済ですか?」

「王太子がサルビアを紹介しろとうるさくてな。逃げて来た」


 ロータスさんの問いかけで辺境伯は仏頂面に。

 そう言えばサルビアが見染められないよう必死になる話も読んだわ。



「マリーゴールド殿、次は私とも踊っていただけるかな」

「もちろん」


 礼儀としてオリバー様の手を取るが、つい隣に目が行ってしまう。

 ロータスが姉に手を差し伸べているから。


(ロータスさんはサルビアと踊れる方が嬉しいんだよね)


 そう思うとせっかくのイケメンとのダンスも楽しめなかった。



「私では不服でしたかな」


 オリバーが端正な顔で尋ねてくる。

 気を取り直して「いいえ」とほほ笑むと、顔をグッと近づけてきた。


(うわ、イケメンのアップ破壊力高!)


 一瞬恋心さえ忘れかけたぜ。私の耳に彼のささやきが流れこむ。


「ロータスを君に譲ろうか?」


 心臓がはねた。


(あ、今は辺境伯家から使用人を借りている状況だけど、我が家の専属にしていいってこと?)


 彼が自分の側にずっといてくれる‥それは私にとっては願ってもないこと。

 だけど肝心のロータスさんはどうなんだろう。



「えっと、喜ばしいことですが、我が家ではお給金を十分に払えないので」


 借金だってまだ残っているのだ。彼の働きに見合う報酬が私には出せない。


「マリー嬢がその気なら、あいつは無給だろうが構いませんよ」


 ん? 意味が分からない。


「考えておいて欲しい」



 曲が終わるとオリバー卿は私をロータスさんの場所までエスコートしてくれた。

 彼とお姉様が一緒だから当たり前かもしれないけれど。


 パートナーを交換する。先ほどより強く手を握られた。


「そろそろお疲れでしょう、帰りませんか」


 確かに気疲れしている。

 さっきの提案はゆっくり休んでから考えたい。

 姉たちにだけ断って、帰途についた。





 暗い中、帰りの道中も無言だった。

 ガランとした伯爵家に到着する。


 寝ずに待っていてくれた使用人を下がらせて寝室に向かう。

 このドレスは1人で脱げるやつのはずだから。



「オリバーとは何を話していたのでしょうか」


 ドアを開けると同時に声をかけられた。

 振り向くとロータスさんが難しい顔で立っている。


「ええっと、休んでから考えるので、明日でいいですか?」


 落ち目の我が家への転職話など、疲れている時になんて無理。

 速攻で断られてしまう。



「今の俺には聞かせられない内容なんですか」


 いつも優し気な彼が珍しくつめ寄ってきた。

 そのまま部屋になだれこむ。


(うきゃあああ、なにこの急激なドキドキ展開! 原作にないから知らないじゃない)


 彼を正気にしなければ。

 おそらくオリバー様から転職の話は匂わされているはず。

 お姉様との久々の再開で、おそらく気が高ぶったのだろう。


(本当はサルビアの側にいたいから)


 私に縛り付けられるのは彼も苦痛だろう。自分だけ都合の良すぎる話に巻きこむのは申し訳ない。

 ロータスさんを不幸にしたくなかった。



(この気持ちを伝えてしまおう)


 そして、さっさと終わってしまえ。

 私の思考は疲労でパンクした。




「じゃあずっと一緒にいて下さる?」


 彼にギュっとすがり着く。


「話をしたら、離せなくなってよ」


 辺境伯の了解は取ったも同じだ。

 私がこの家に仕えろと命令したらロータスさんは断れないかもしれない。

 それとも逆に突き放されてしまうだろうか。


 突き放されることも覚悟したのに、私の体は彼の腕に包まれていた。


「いいんですか、俺で」



(え?)


 体あったけえ‥抱きしめられている? なぜに?


 想定外の状況で頭は真っ白。

 狼狽に襲われた私が顔を上げたら、彼の瞳が見つめてくる。



「あ、あ、申しわけありません」


 ロータスさんが元に戻った。真顔で距離を取られたよ。

 そのまま彼は素早く部屋を後にする。

 ヒュンって音が聞こえた気がした。



(ええっと、ロータスさん転職じゃなくて永久就職ってこと?)


 その後の記憶はあいまいだ。

 朝目覚めたら、ちゃんと着がえてベッドに寝ていた。





 今はこれで精いっぱい✿

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