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異世界でヤバい妹になった私は生きるためにあがく  作者: ノーネアユミ


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1/5

1 気がついたらドアマットヒロインの妹だった

 週に2回投稿する予定です。

 その日はいつもより疲れていた。


 寒さに体がついていけないのか、もう若くないのだろうか。

 とりあえず布団にもぐりこむ。

 まだ寝る時間じゃないから、スマホを片手に。

 今日も脳が疲れないおとぎ話の世界にダイブだ。



 母親が亡くなった後実父と義母、そして異母妹にいじめられる主人公の物語。

 

「アタシは王太子妃になるのよ。田舎になんて嫁がないわ」


 文章を目で追っていると、脳内で次々と映像化され、まるで自分がそこにいるみたいだ。




「そうだ、いいこと考えた。お姉さまがアタシのかわりに‥って、え?」


 なぜか私はその小説の異母妹で、セリフを口にしていた。


(ああ、夢だ)


 寝落ちしたのだろう。


 豪華な内装の部屋に私は立っている。

 ドレスはかさばるしコルセットで腰がきつい。

 感覚は妙にリアルだが、そう言う夢なんだろう。


 目の前にはけばけばしく着飾った男が机に肘をついていた。

 私の父親だ。

 夢なので実際とはずいぶん違っているが気にしない。


「なるほど、愛しいマリーゴールドの代わりにサルビアを送るんだね」


 父、が話しかけてくる。

 しかし夢だって分かればこんな縁談とか設定はどうでもいい。

 私は窓にカツカツ近づく。


「どうしたんだい? マリーゴールド」


 いぶかしむ言葉はガン無視。

 これが夢の中なら登場人物とかそこまでの流れなど無視するに限る。



 やるべきことは1つだけ。



 窓を開くと分かる。この部屋がほど良い高さに位置しているのが。

 私は窓枠に足をかけた。



「レッツフライ!」



 そう、夢なら空を飛ぶだけよ!



「待ちなさい、マリー!」


 せっかく空を飛ぼうとしたのに体は後ろに引き戻された。


「離してよ、これから飛ぶんだから」

「ダメだよ大けがするじゃないか!」



 もみ合っていると意識がはっきりしてきた。


(リアルすぎて夢じゃないみたい‥まさか現実?)


 とすると、


(え、私死んだの?)


 とんでもない可能性が頭をよぎった。



(これ無念の死をとげた主人公が異世界に転生しているパターンにそっくりじゃん)


 小説やアニメでは良くある話だ。

 しかし私は別にトラックにひかれたわけではない。疲れてはいたけど過労死するほどでもない。


(転生じゃないよね? 転移でも召喚でも)




「お父様、私疲れているみたいなの。今日はもう休むわ。お話はその後でもよろしいかしら」


 首を縦にブンブンふる父を置き去り、私は自室に向かった。

 まずはこの状況を整理だ。しばし考察する。


 物語のキャラクターに憑依した、が適切なようだ。



(お、部屋の場所とか記憶にある)


 マリーゴールドとしての記憶はあってホッとする。日常生活とか基本マナーの記憶がないのとあるのでは大違い。

 1から覚えるなんて地獄じゃ。


 ボスンとベッドに仰向けに倒れこんだ。


(おそらく私はさっきまで読んでいた物語に登場する悪役の妹。ここは物語にそっくりな異世界で元の世界に帰れるかは分からない)



 物語が終われば帰れるのだろうか? それとも死んだら?



(死んでも帰れない場合も想定しなくちゃ)


 帰れるか帰れないか分からないのだから、まずはこのマリーゴールドの人生をまっとうしてみよう。



 まずはこの物語の流れを復習じゃ。



 主人公のサルビアは家族から虐げられ悪評まみれにされている。

 田舎をいやがる妹の代わりに辺境伯に嫁ぐが誤解から冷遇される。しかし健気な姿で周りを惹きつけ、心を打たれた辺境伯に溺愛される。


 よくある、スカッとする物語だ。



 そして今は縁談が来た冒頭部分らしい。私としてはさんざん姉を虐げた後である。

 悪役としてこれから、どう生きろと?


 夢の世界と自覚したら私は毎回飛んでいます。


 転生物は主人公が若くして死んでばっかりなのでいつか戻れるかもしれない設定にしてみました。

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