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石になった元婚約者のお世話係になりました  作者: ななこ


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30/62

オベール村へ

 昨夜クリスタ様の部屋を出てから、体が軽くなった。お話してすっきりしたせいかしら。誰かにずっと見られていた気もするけど気のせいね。


 また石をお任せされましたが仕方がありません。請けた仕事は最後までやり通ししなさいと言われたら、黙って受け取るしかない。一日中ずっとが負担なら、誰かに少しなら預けていいとクリスタ様から許可をいただいたので早速預けることにした。


「また置いてかれちゃったわね。そんなビリビリと怒らないの」


 駄々っ子をなだめるようなクリスタ様の声が聞こえた。就寝時も預かってくださる事になっている。可愛いベビー服を着せましょうか。母にとっては大人になっても可愛い子どもなんですね。


 さて転移が気付かれないうちに探しださなきゃ。


「せっかく懐かしい場所に来たのに。ノエルと家の周りを散策したかったな」


 隣にもう一人、駄々っ子がいました。口を尖らせても戻りません。雑草だらけの道を歩いて壊れた家を見るより、思い出に浸りたい気分なのは同感ですが、どうしても気になってしかたない。


「家を見たら父や母が話していたことを思い出したんです。それにクリスタ様からオベールの祖先が住んでいたとお聞きしたので、一度きちんと見ておきたくて」


 両親がオベール村がまだあったらそこに家を建てたかったと話していたのを思い出した。この廃村で間違えないだろう。


 くいっと紐を引っ張られた。また考え事してふらふらしていたかしら。


「見るだけ? 本当はノエルが捕らえられた廃屋を調べたいんでしょ」


 何でもお見通しね。もしかしてエドガー様が監視してた? いくら心配と言っても、それちょっと重いです。


 どこも同じような建物が並ぶ。一件一件見て回る時間はない。気づかれないようにノアを呼んだ。


「にゃ~」


「あら。ノアは付いて来ちゃったのね。待って、どこへ行くの?」


 名探偵ノア様を追いかけると、すぐにあの廃屋にたどり着いた。表札にはもう雨風で読みづらいが、うっすらとゴダールと読めた。生家だったのか。


「私の匂いが残っていたのかしら」


「ノアは魔獣とのハーフなんだっけ? ずいぶんと賢いな。ノエルが迷子になった時は頼むよ」


 エドガー様はノアを抱き上げ、良い子だと顎の下や背中をなで回す。


 他の建物をのぞいた時は酷い有様だった。ちぎれたカーテンや倒れた家具。動物の糞も落ちていて、中へ入ることはためらわれたが、探していた廃屋は人が入った痕跡があった。


 綺麗に掃除とまでは行かないが、ゴミは落ちてないし、割れた窓は塞いであった。台所には火をおこして、食事をした形跡もある。


 閉じ込められた部屋は2階にあった。見覚えのあるソファーとテーブルが見えた。酷い臭いして、あの光景を思い出して吐きそうになった。


「大丈夫? 顔が真っ青だよ」


「この部屋は調べなくていいです。他を探しましょう」


 特に収穫はないと思っていたら、子ども部屋らしき床に古代文字で『壁』とうっすら残っているのが見つかった。まだ10歳にもならないゴダールがたった一人でひと月を過ごしたと思うと胸が締め付けられる。血痕は家族のものなのか、魔獣のものなのか。彼は何を思って過ごしたのだろう。


 ひとつわかったことは、ゴダールも古代文字が読める。何を意味するのかわからなくては維持もできない。魔力で魔術も使えて、古代文字も使えるなんて反則。ラウルはゴダールに閉じ込められたと考えるしかなさそう。筆頭魔術師、次の魔術師長と言われたラウルが罠にはまるなんて、どんな手を使ったのかな。また罠が張られているかも知れない。置いてきて良かった。


「あとは物置か。行ってみよう」


 足は重いがエドガー様と手をつなぎ外へ出た。何かあればエドガー様をどこかに転移させようと古代文字を書いた紙は持ってきたけど、紐は切れるかな。


「うわっ。顔に何かが。またなの?」


「僕には絡まないのに、ノエルにだけすごいね。髪がキラキラ輝いてるよ」


 物置に入ると罠ではなく、蜘蛛の巣に引っかかった。金色の糸はとても綺麗だけど、私は獲物じゃないから。


「この箱の下を見て。ずらした痕がある」


 エドガー様がポワンと浮かぶ光の球を出してくれたおかげで、足元も暗くない。箱を横にずらすと人が通れるほどの隠し扉があった。床下に何かある。


「ノエル。君はうんと言わないだろうけど引き返そう。この先、僕一人で君を守り通せるかわからない。兄上を呼ぶ。それまではここには入らない」


「わかりました。もう少しだけ付近を見てもいいでしょうか」


「いいよ。わかってくれてありがとう」


 ただならぬ気配がしたのは、魔力のない私にもわかった。外へ出ようと先を歩く背中に紙を貼り付けた。優しくてつい甘えたくなるあなた様も、私にとってはかけがえのない存在。巻き込んではいけない。


『切る』『飛ばす』


 エドガー様の姿が消えた。行き先は……。ごめんなさい。この保護区の何処かです。


「ノア。あなただけが頼りよ。行こう」


 隠し扉の取っ手を持ち上げた。

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