伝えたかった事は 最後
2019年
コロナの前の年
ご飯食べに行って帰る時
不意に
私がいなくなったらさみしい?
何言ってるんの?
おっさんと遊んでくれるのは
君だけやろ
ひとりにする気か?
そっかそっか
変な事言うなよ
冗談にきまってるやん!
あとね
彼氏できたかもしれんちゃん
またかい
なんでそんなにすぐに彼氏作れるの?
わからん、可愛いからやない
うらやましぃ
何度も聞いてきたから慣れたけど
ズッキとする
それよりもその男が大丈夫な奴なのかの心配が強くなってた
苦労してるから幸せになってほしい
その気持ちだけは本当だった
この頃から言葉づかいが優しくなったり態度が落ちついてきた気がする
あの子もあと数年で30歳だから
やっぱり変わってくるよね
こっちは50が見えてきた・・
何も変わってない
いつものように夜中にご飯作って
眠いから少し寝るよ
わかったー
部屋で少し寝てた
眼を開けるとベッドを背もたれにして
向こうを向いて座ってる
寝る部屋にはほとんど入って来ないからびっくりした
うぉ、どうしたの?
べつにー
なにもないよ
そう言って
リビングに戻っていった
少し影があるような行動や言動も増えた気がする
心配なので元気が出るように
デイキャンプに誘った
まだ着れるからと
いつも袖の破れたジャンパーを
あの子は着てた
キャンプ場は寒いので安いロングコートを買って渡したらすごく喜んで服を抱きしめてた
あの子は絶対に自分から物をねだって来ない
お金がないから引っ越しができないと
言った時でも
お金渡そうとしても断ってきた
それは嫌だから、と
誕生日プレゼントだけは
受け取ってくれてた
それも高くない値段の低いやつ
だからご飯だけは少し高いお店に連れて行ってあげるようにした
もらっていいとー?
やったー!
笑顔が嬉しかった
前日には雪が降ったキャンプ場
あの子が無水カレーを作ってくれた
いや、指示してるだけで作ったのは
ほとんど自分だけど
フタを開けようとすると
キレられた
水分が飛ぶから開けたらいかん!
作ってるのは俺なんだけど・・
写真いっぱい撮ってよ
遊びに行った時はたくさん撮って送信してるのに何で言ってくるんだろうと思った
キャンプ場の見晴らしのいい場所の
ベンチでカレーを食べた
初めて食べた無水カレーの味は
かなり美味しかった
景色は良いけど寒い
いまね、付き合ってる人がね
昔のことすごく聞いてくるの
言いたくない事や言えない事も
たくさんあるからどうした方が
いいと思う?
言えない過去はあると思うよ
俺にもあるし
言いたくないなら言わなくていい
言いたい時に言えばいいと思う
しつこく聞かれたら言いたくない
と、言えばいい
本当の気持ちだけど
上手いこと言えない自分が
もどかしかった
これ系の話は経験不足だから何を言えば正解なのかよくわからん
昔の付き合ってた彼氏の事や
前にどんな仕事してたのかとか
けっこうしつこく聞いてくる
親がお金持ちらしいから
世間体を気にしてるのかもしれないね
もしかして結婚の事とか考えてる?
少しだけ考えてるかも
楽になれるかなぁと思って・・
なるほど
不安に思ってた事と重なったのでずっと前から考えてた事を言った
将来の事を考えるなら
これからはあんまり会わない方がいいかもしれんね
少し沈黙後
でも、ミーたんに会えなくなるしなぁ
寒いから風邪引くよ
帰ろうか
会えなくなったら自分の方が絶対に寂しい気持ちが強いにきまってる
それだけは間違いない
それでも自分が大人を演じて
我慢してでも会わないようにしないと
ずっとこの曖昧な関係が続く事はない
いつか何処かで壊れるはず
彼氏との関係も壊してしまうかも
この不安は前から心の中にはあった
もうすぐ誕生日やん
ご飯はどこか連れて行ってよ
わかった
美味しいものでも食べに行こうか
誕生日の数日前
この日しか空いてる日がなかった
あの子と会った最後の日
あの子のアパートに迎えに行き
到着したとメールをする
車に乗り込む時の落ち込んだ顔してたのは覚えてる
大丈夫?
体調悪いならやめとくよ
予約したんやろ?
行きたい
んじゃ、行こうか
車で2時間ほどかかるホテルの
バイキングブュッフェ
着いた時には元気になって
ごちそうだー!
いっぱい好きな物があるよー!
喜んでた
帰りの車中では今までの行った場所や楽しかった事をずっと話してた
あの子を送り届ける
寂しくなったら何時でも連絡していいから
そんなに心配しなくて大丈夫だよ
剥げたおじさん!
剥げたは余計だろ!!
あはは、仕事がんばりーよね
きみも頑張れよ!
あんたのほうが心配だー
あの子はいつも昔から
見送る時も見送られる時も
バイバイする時は必ず
すごく手を振ってくれる
車の中でも車の外でも
笑いながら
手を振り返すのが恥ずかしくて
いつも軽く手を上げるだけだった
バックミラー見ると
ずっと手を大きく振ってた
角を曲がるまで
あの子をミラーで見てた
帰る時不覚にも泣きそうになった
しばらくはやっぱり寂しかった
数ヶ月過ぎると楽になってきた
振られた時の経験で時間が経てば
辛い時も悲しい事も忘れていく
それだけは覚えた
だから時間が解決してくれると思った
あの子の為に買ってた旅行誌や情報誌も買うのをやめた
何年もかけて作ったスクラップブック
行ってみたい場所や
食べに行きたい記事を集めてたら3冊にもなってた
あの子も一緒になって切り抜きしてたのは良い思い出
全部破棄した
いつか四国に行ってうどん食べたい
金刀比羅宮の階段登ってお参りしたい
と、よく言ってた
その約束も叶えれなかった
行きたい場所はけっこう聞いてたけど
もう、終わった事だと思うようにした
ゲームをする相手もいなくなり
漫画の感想を言い合う事もなくなり
一番はあの子とご飯を一緒に食べれないのが辛かったかもしれない
何もかもが楽しくなくなった
それでも頑張らないと
出会った意味がなくなると
自分を鼓舞して仕事してた
半年は過ぎた頃
夜中仕事中に携帯を見ると着信があった
あの子からメールだった
行ってもいい?
一瞬固まった
辛いことがまたあったんだろうと思った
すぐに
明後日大丈夫だからおいで!
ありがとう
返信見た後に
ほっとした気持ちと心配が同時にきた
もう、このままでいいや
ずっと振り回されても構わない
当日の9時頃にメールが来た
遅れるから13時くらにいなるよ
大丈夫?
わかった
夜勤だから17時までなら大丈夫
返信した
落ち込んでるだろうから
あの子が来たら四国に連れていく話を
サプライズでしよう
乗ったことない新幹線に乗せてあげよう
高知に連れてって太平洋を見せよう
いろいろ考えてた
あの子の大好きなハンバーグや
里芋の煮物、アサリの味噌汁を頑張って作った
里芋の煮物を初めて食べた時に
これ何?
これすきー!めちゃうま!
初めて食べた!
初めて?
里芋の煮物が?
うん、母親こんな料理は作れなかった
喜んでたけど途中で食べなくなった
もう食べないの?
煮物持って帰ってもいい?
家でもまた食べたい
いっぺんに食べたらもったいないもん
ちょっと笑った
それから持って帰る分もたくさん作るようにした
13時が過ぎた
まだ来ない
14時になったからメールした
返信も返ってこない
電話はしない
彼氏と一緒にいるかもしれないから
ずっと連絡はメールだけ
電話は2回ぐらいしか話たことない
メールは何回も送った
とにかく心配だから返事だけくれと!
出勤の時間になったから会社に行く
仕事してても連絡来てないか
ずっとスマホを横において見てた
急いで帰ってあの子の家に行った
車はある
呼び鈴押してもでない
電話をかける
部屋の中で着信音が聞こえて来た
ドアのノブを回しても鍵は掛かってる
ドアを強めに叩いて名前を呼ぶ
着信音はずっと鳴ったまま
心臓が痛くて苦しかった
最悪の事しか考えられない
電話を掛ける度に着信音が最悪の音にしか聞こえない
何をどうしていいのか頭の中がわからなくってた
もう、警察に頼るしかなかった
5分ほどの場所にある警察署に行った
受付で事情を説明する
メールを見せてお願いする
どんな関係ですか?
一番困る質問で言葉がでない
彼女でも友達とも言えないような年の差
妹みたいなやつです
そう言った
現場に行くのであなたはこの場所から動かないで下さいと言われた
なぜですか?
ストーカーの可能性があるからと
言ってる事はわかる
そう見えるだろうと自分も思う
婦警さんが申し訳無さそうに
最近ストーカーの事案が多いのですいませんと謝ってくれた
2時間くらいして解放された
親御さんと連絡取れたので帰ってもいいですと
ずっと震えてた
帰りたくなかった
夜中の0時過ぎに知らない番号から着信
警察署に来てくださいと
部屋に案内された
危ない物とか持ってませんよね?
よく見たら取調室だった
いつから知り合ったのか
どんな関係だったのか
最近悩んでなかったのか
性行為はしたことあるのか
イラッとした
あの子の状況を教えて下さい
こちらからは答えられません
何も教えられません
ハッキリ言われた
あの子との過去のメールを全部カメラで撮られた
終わったのは夜中の3時前
眠たくもない悲しくもない
怒りしかなかった
何であの時電話しなかったんだろう
好きな物作ったから早く食べに来いてメールしとけばよかった
四国に行く話をメールで先にしてればよかった
そうすれば何かが変わってたかもしれない
自分の不甲斐なさが情けなかった
何日が過ぎた
もしかしたらと思ってメールした
すぐに知らない番号から電話があった
あの子のお母さんからだった
なくなりましたと言われた
そこからあんまり覚えてない
記憶が思い出さないように閉じてる
ずっと頭痛で悩んでた事
薬がたくさんあった事
教えてくれた
そこから数日は向こうにどうやったら行けるかばかり考えてた
さみしい思いをしてるはず
会いに行かないと
行く事がまったく怖いと思わなくなってた
たぶんあの時は無敵だったと思う
バカな事をしか考えてなかった
挨拶だけは行かないと
お参りしたいと連絡した
ご両親が待っててくれた
あの子の写真が飾ってあった
自分の知らない笑顔がある
どんな関係だったかを説明した
職場で会った時から今までの事を
お父さんから言われた
我儘な娘だったでしょ
側に居てくれて有り難う御座いました
頭を下げられた
涙があふれて止まらなかった
あれから
もう、6年が過ぎた
あの子の住んでたアパートにはあの後からは一度も行ってはいない
いまだに行くのがこわい
自分のアパートも4年前には引っ越した
思い出が有りすぎてつらかったから
墓参りは3年間は毎月必ず行ってた
今はたまに行って読んでた漫画が終了したのを報告してネタバレを話してる
最近は毎日のように思い出す事もなくなってきた
伝えたかった事がたくさんある
言い合いしながら台所でチョコレートケーキ作るの楽しかったよ
ゲームして同時に負けて爆笑したよね
何週間ぶりにメールした瞬間にメールが来て
ご飯いく?
ご飯食べたい!
同時かよ!
ってお互いにメールしたよね
ドライブ行くから9時になったら降りてきてって、待ってたけど
来ないから疲れてるだろうからと思って2時間待ってから
いいかげんに起きろー
って、メールしたら
ブチギレて起きてきたよね
バカじゃないの何で起こさないの!
遅れた人の言うセリフ?
到着するまでずっと言い合いのケンカした
お互いに我が強いから譲らなかったよね
家にくる?って聞いて上げればよかったね
部屋は空いてたのに
何度も引っ越ししてたから
大変そうだったのに
一緒に住むとこの関係が壊れるかもしれないとびびって言えなかったよ
眼をなかなか合わさないで話してごめんね
その目で見られるのが恥ずかしかったよ
可愛いね
綺麗だね
すきだよ
大切だよ
言葉に一度も出さなくてごめんね
素直に言えなかったよ
書いたらきりがなくから最後に
あの時連絡先を教えてくれ有り難う
絶対に自分からは聞けなかったから
ねぇ、連絡先教えてよ
あの時の声は今でも鮮明に覚えてる
美奈に会えてよかったよ
俺も頑張るからもう少し待っててね
歳をどんどん重ねてくると
思い出が消えていくのが最近怖くなって
ここに書こうと思いました
読んでもらい有り難う御座いました
誤字や変な文章が沢山あって
読み難くてすいませんでした
こんな子もいたと思ってもらえたら幸いです