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同じ空の下で  作者: 桜油
7章
92/140

86話

こんにちは。


新しい職場、楽しみだという期待と、今月休み入れまくってたのに来月フルで働けるのかという不安が押し寄せてきています。


そんなことはさておき、どうぞ。

会談が終わった後、俺たちは次の目的地に向かっていた。


数日間何も動いていないから、終焉までのタイムリミットが迫っている現状、やるべきことを急ピッチで進めていく必要がある。次は『舞月財閥』との会談だ。『軍』の復興に充てる費用の為に、舞月財閥に募金やファンディング、投資を依頼するのが目的……なのだが、交渉自体は桜乃さんたちが調印の段階まで既に進めていたらしい。先方から投資の条件に俺達『JoHN』に来てほしい、との要望があったので、顔を出して少し話をするだけで結構、という指示があった。

有栖からも、「たまには息抜きに仲間と話して来なよ。『JoHN』久々集結だろ?」と善意で有希、紗季を貸してもらえたので、あとは宥さえ来れば皆揃ったことになるが……その宥も、舞月財閥に頻繁に顔を出しているらしい。


やっと皆で集まれる。そんな内心で臨んだ会談だが、舞月財閥の総帥とのそれは実にあっさりしていた。

『軍』の提督直属部隊、『JoHN』だと身分を明かせば、すんなりと執務室に通される。執務室では総帥、舞月誘が端末に何かしら入力していた。


「すぐに終わるから立ったままで結構」と開口一番に断りを入れ、端末から目を離さないままに淡々と一方的に言葉を発していた。


「君たち諸君が『決して嫌われることのない正義』か。組織名からして大きく出たな、しかし我々は嫌いじゃない。黒守刹那が一等可愛がっていた後輩を一目見れて光栄に思う」

「さて、この前の戦闘では災難だったな。彼ほどの御仁が逝去されたのも非常に残念に思う。国にとって惜しい人材だろう。これだから戦争など止めておけとあれほど提言したのだが……守るべきものの為に手段を問わないのも1つの在り方か」

「後任者に据えられている者について当方は特に反論がない。しかし、彼に推薦できる宛があるならば、その伝手の魔術師でも良い。折角の末娘の夢を応援してやりたいのが親心というもの。……もっとも、諸君はその件は重々承知の上で、それでも彼しか引き継げる者がいないから現状に至るのであろうが」

「いずれにせよ、『軍』が在り方を間違わないのであれば『舞月財閥』は支援し続けようとも。世界中の人々が満ち足りた生活を享受するまで『舞月財閥』は直走る。『軍』が一番『舞月財閥』の理想に近いだけのことなのだ。他の組織は我らの本質を履き違えているから話にならない」

「今、世の中は変化で満ち溢れている。魔術にエンターテイメント性を見出した末娘やその仲間然り、理想が高く、『放蕩の茶会』『陰成室』更に『教会』まで仲間に引き入れた君たち諸君然り。これから、諸君らのような面白い人材が新時代を築く光景を、愉しみにしている」

「今ちょうど末娘やその仲間、そして君たちの仲間の1人がホールにてライブの練習やその手伝いをしている。顔を出してきたまえ。諸君らが力を併せて世界を救うのだ、積もる話もあるだろう」


「話は以上だ、案内してやれ」と総帥が言うと共に、秘書らしき人が「こちらです」と行き先を手で示し先行する。


「本当に……一方的に話すだけ話して終わった……」

「まあ緊張してた中、一言も喋らなくて良かった!って感じだけど」

「総帥……なんというか、威厳のある人だな」

「だよねー。『前回』以前は威厳だけの人だったけど、『今回』は器も大きくて、カリスマ性を感じられるよね」


各々が感想を話す中、俺の感想に唯笑が同意する。


『前回』は威厳だけ、『今回』は器も大きくて、か。『前回』は俗に言うパワハラ上司、といった様子だったのだろうか?『前回』は志瑞司も黒守采和も識名宇海も全員魔術師として活動していたから……総帥の娘にあたる舞月愛が、自身の夢を成就させられなかったのが起因していそうだ。彼女の夢は、桜坂学院の廃校阻止とかだと思われるが、もっと別の何かがありそうな気もする。内容は何であれ、『今回』は成就していて総帥自身も精神的に余裕があるからこその器の大きさ……や、器が大きいなんて分かるところあったか?『前回』との比較の話かもしれない。


考え事をしている間に、件のホールに既に辿り着いていて秘書も姿を消していた。思考を一時中断し、俺はそのホールの扉を押し開く。すぐに司たちの歌声や司が作った曲の伴奏が流れてくるのを聞きながら中に入り、扉を再度閉める。結構な人数が入りそうな大ホールで、舞台も広々としている。その舞台の端から端までを大きく動いて、踊って、歌っている司たち4人と識名が開発したアンドロイド、それを見守りながらカメラで動画撮影している宥。流れている曲は、司たちらしく遊園地のショーなどを思わせるようなそれで、動きもミュージカルらしいものだ。黒守采和の演出だろうか、至る所で魔術が発動しては舞台全体をきらきらしく輝かせる。

来週に迫ったステージの練習をしているようなので、邪魔をするのも悪い。宥は気配を感じ取ったのか俺たちの方を見て少し驚いていたが、俺が口元に人差し指をあてて、しー、とジェスチャーをすると再度撮影に集中し始めた。司たちは練習に集中している。黒守でさえ気づいた様子はない。


やがて曲が止み、流れる汗を手で拭った司や黒守がこちらに気づいた。司は笑みを浮かべて、「おお、怜たちじゃないか!練習を観に来てくれたんだな!」と声を張り上げて喜ぶ。舞月もぴょんぴょん跳ねて明らかにテンションが上がっているし、識名はそんな舞月がそちらに寄ってくるのを「もう。落ち着いてよ」とは言いつつも満更でもなさそうに支えている。一方黒守は一瞬目が据わったものの、すぐに表情は切り替わって「やあ。一体どうしたんだい?」と問うた。


「『軍』の仕事で来たんだが、こちらにも顔を出すように総帥から一言言われたからな」

「ああ……なるほど」


俺の言葉と態度から敵意がないと気づいたのか、肩を撫で下ろして張り詰めていた雰囲気を弛緩させた黒守に、「それに、司は結構重傷だっただろ?なのに割とすぐにステージを開催することになっていたから、心配だったんだ。様子を見るに、完全復活といった様子だし安心した」と付け足すと、彼は少し毒気を抜かれたように口をぽかんと開けた。


「黒守、間抜けな顔をしてどうした?」

「……君たちは、桜乃さんたちや拝郷から何も、聞いてないのかい?」

「何も?いや、……黒守が、次のステージが終わったら提督を引き継ぐことは聞いたぞ?」


司たちは何も知らない様子に見えたので後半を耳打ちすれば、黒守は、「そうだけど……うん、警戒した僕が馬鹿らしいか。君たちは優しいから、一般人である司たちを利用しようって感覚はあるわけ無かったね。じゃあ、拝郷の独断か……」とぶつぶつ言った後に、「じゃあ、この際だし休憩にするから、汐宮さんや司たちとゆっくり話してきて構わないよ。司くん、それで問題ないかな?」と後ろを振り向けば、司は「勿論だ」と返した。


「ありがとう。僕はお手洗いに行くから、水分補給と映像の確認を先にしておいてくれるかな?」という黒守の言葉に司が了承し、舞月や識名と3人で汐宮の撮影していた映像を見返し始めた。それを見守り、黒守は徐ろに俺たちの方へと身体を向けて、神妙な顔で口を開く。


「……城月くん、真白さん。汐宮さんと話したい気持ちは山々だろうけど、僕は先に君たちと3人で少し話がしたい。ホールの外に移動して、『伝達』で話せないかい?」


俺と唯笑はそれに顔を見合わせたが、一緒に頷いた。黒守は「ありがとう」と一言言った後に有希や紗季に、「今からはあまり見聞きされたくないんだ……特に、司くん達には。……悪いけど、彼らがホールから出ないか見張りをお願いできるかな?」と眉を下げて申し訳無さそうに頼み事をする。怪訝な顔をしつつも2人が頷いたのを確認した黒守は、俺たち2人に視線を戻してステージに背を向けた。


「……こっちだ」


俺と唯笑は、彼の背を追った。

あとがきのネタがなさすぎて、勝手にネタバレしそうなのであとがきは空欄にすべきか考え中。

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