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同じ空の下で  作者: 桜油
序章・1章
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4話

こんにちは。


3話に続いて暴露大会です。

世界観、単語の解説回に近いかな?


では、どうぞ。

暴露大会開始から数時間後、夕飯のため食堂に集まるよう館内放送があったため、暴露大会を一時中断して食事を挟み、再度自室に戻った。

唯笑が「まあお互いのことはよくわかったし、そろそろ本題いこっか」と言って怜もそれに同意した。


「さて。じゃあ最初の質問ね。怜は趣味が魔術って言ってたけど、どうして魔術師を目指したの?」

「さっきまでとあまり変化がないんじゃないか?」

「そうだけど、私は怜に説明する側でしょ?でも怜だけ私に質問するのも疲れるじゃん」


「それもそうか、」と怜は納得して、魔術師になろうとした理由を思い出し始める。


そもそも、魔術は数世紀前に、霧早界という人物によって開発されたものだ。人類すべてが保有するエネルギー、魔力を触媒に魔術式を以て物理法則に介入し、超常現象を引き起こす技術。または、その現象のことを指す。今や魔術は世界中に普及していて、魔術で生活資金を稼ぐ人は一定数いる。そういった人たちを世間一般では『魔術師』と呼称する。魔術師は企業やサークルに所属するか、フリーとなる。いずれにしても治安維持、軍事、医療、諜報、学問などの分野で依頼や任務を受けて活動する。魔術師は子供なら誰でも夢見る職業だと言っても過言ではない。だが、魔術師は華々しい一面だけではなく裏稼業としての側面が強く出ており、どの企業も裏側で他企業の妨害、暗殺、スパイ、賄賂などが横行している。


それを知ってもなお魔術師を怜が目指した理由は、一言で言えば『親の意向』である。幼少期より両親から魔術について教育を受け続けてきた以上、魔術師になれば両親が安心するだろう、という打算があった。正直、魔術を趣味だと答えたのも、魔術しか趣味として浮かんだものがなかった、他の趣味に触れる機会があまりなかったのが大きい。


……が、唯笑はそれでは満足しないだろう。怜はそう考え、別に思い当たることがないか再度考えた。


一応、魔術や魔力の正体に興味がなかったわけではない。魔力の正体は未だ不明で議論され続けている。一応、今年には執行寿羽(しぎょうことは)という同年代の少女が『魔力=ATP、ADP、AMP』という有力な説を提唱するが、それも確定ではなかった。また、魔術式を弄くるのも好きで、今日の襲撃者に使用した魔術も怜が自身で考案したオリジナル魔術である。なお、その魔術式はつい最近怜が開発しただけで学会にはまだ公開されていなかったため、今回の戦闘が初使用である。今回その魔術式を解析している人がいなければ、まだ奥の手として利用可能だろう。学会で公開してしまえば、魔術式を丁寧に記載した『スクロール』が全世界に出回るため、あの襲撃者も対策が取れたかもしれない。


魔術式は、魔術を使用する際に起動させる術式のことであり、魔術の種類、対象や範囲、効果時間など細かい条件を設定するのに必要なものだ。しかし、その魔術式を書き換えて暴発させるのも魔術師どうしの戦闘ではよくあることなので、それの防止にショートカットを設定して、決まった内容しか発動できない代わりに魔術式を省略する『略式』が数十年前に魔術学会で発表され、それもあっという間に普及した。『略式』のおかげで、理論上は脳、左右の手、左右の足で『略式』含む5つの魔術を同時に展開、起動することもできるわけで、現に怜ももう少し魔力が成長すれば5つ同時展開は可能だ。


「魔術は研究しがいがあるからな。それで飯を食えたら楽しそうだと思った」

「そっか。たしかに不思議なこと、いっぱいだよね。私もまだわからないことあるし」


とうんうん頷く唯笑に、「じゃあ、次は俺だな」と怜も聞きたかったことを尋ねる。


「『異常性』って結局何なんだ?」

「そう、それ気になるよね。すっごい大事だし、それ作戦の要だからちゃんと聞いてね?」


と唯笑は紙とペンを取り出し、図に描きながら説明を始めた。

『異常性』とは、魔力を触媒とするが、魔術式を使用せずとも発動可能な超常現象のことである。ごく一部の人間しか使用できない希少なものである。基本的には無制限に使用できるが、酷使すると記憶や存在を代償とする場合がある。


「存在や記憶を代償にするって、じゃあ使いすぎたら」

「この世界から消えるか、今までの全部を忘れちゃうね」


と唯笑が軽く話すので、怜は絶句した。そんな危ないものを自分はさっきの戦闘で連発したのかと。

「大丈夫だよ、これ以上使うとやばいとか、これやったら自分消えるとか、そういうのは感覚でわかるらしいよ?ソースは前の君」という唯笑の言葉に怜は少し平静を取り戻したが。

唯笑の説明は続く。

ごく一部の人間しか使用できないとは前述のとおりだが、魔術式を設定して他人に付与すれば、付与された対象は決まった回数『異常性』を使用可能である。その付与魔術を『令呪』と呼称しているが、使い切ると、『異常性』を酷使したときと同様に記憶や存在を失う。使用可能な回数は令呪の残りの画数を参照する。


「ああ、唯笑の手の紋様は『令呪』ってことか」

「そうだよ。元々6画あったんだ。前に暁がくれた分。……まあ、約束を果たすのに結構使っちゃったから、あと1画だけなんだけど」

「えっ」

「いやあヒヤヒヤした。怜と合流しようと思ったら死にかけてるんだもん。君が死んだら全部おじゃんだから、私が消えてでも君を守るべきかなって思って、そのあと1画を使っちゃうところだったね」


唯笑がヘラヘラしてそう語る。怜は間に合ってよかったと冷や汗を流した。二度と彼女に無茶をさせないようにしよう、と心に決めた瞬間でもある。

『異常性』の概要の説明は終わりだから、と唯笑は怜の持つ『異常性』の解説を始めた。

『決意』。それが『城月怜』がもつ『異常性』の名称らしい。他人の魔術の効果や物理法則を上書きして、自身の意図する効果を引き起こすことができるのだとか。


「なにそれ最強じゃないか」

「まあ、そうなんだけど最強ではないんだよね……」


怜の素直な感想に唯笑は苦笑いで返した。どうも、同等以上のことができる人物が二人存在する上、感情に左右されて発動が不安定になってしまうようだ。そんなに世間は甘くないということであった。

他にもデバフ無効化、反射の『容赦』、対象のバフなどの打消の『否定』などがあるよ、ということまで説明を受けたところで唯笑は回答を打ち切った。怜も充分理解したので、唯笑の番になった。


「さっき、あの襲撃してきた人が全身から出血しながら死んだけど、あれは何だったの?」

「あれは、去年に俺が独自で開発した魔術だな。ベクトル変更が主な効果だが、意外と使える。学会で発表する前にこうなったが、むしろ公開前で良かったかもしれない」

「へー。血液循環を逆転させたから、全身から出血して心臓が破裂したってことね。あとでスクロールほしいな、護身に使えそう」

「いいぞ。あとで纏めておく。……今思いついたんだが、やりようによってはちょっとくらいなら時間を巻き戻したりもできるな」

「え、」


と唯笑が目を輝かせたが、「理論上な。でもタイムマシンに使うにしても現実的じゃないレベルで魔力が必要そうだな」という怜の補足で肩を落としていた。「もう少し研究してみるよ」なんて怜が気休めをいうと、激しく首を縦に振っていたが。

わかりやすいな、と微笑みながら、怜は次の質問をした。


「あの『教会』幹部は、なんで俺を殺そうとしてたんだ?」

「あー。ごめん、それわかんないんだよね」


唯笑はそう申し訳無さそうに返答した。


「わかんない?」

「うん。今までに怜が『教会』に狙われるなんてなかったから。今回の入れ替わりが原因にしたって、なんでそんな早く『教会』が勘づいたのか、殺そうとする目的がわからないし」

「なるほど。わかった、ありがとな」


これについては得られる情報はなさそうだ、と判断して怜は切り上げた。

唯笑が未だに「ちゃんと答えられなくてごめん」と謝っていたので、「いいよ、わからないことは仕方ないし、これからその答えを見つければ良い」と怜は慰めておいた。

これがマルチエンディング系のゲームだとして、分岐点は、1話にて

『城月怜が『教会』幹部に暗殺される前に、真白唯笑の助太刀が間に合うか』

だったりします。

間に合わなかった場合、真白は『令呪』を消費して自分が消えようとも、城月怜を蘇生してました。


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