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同じ空の下で  作者: 桜油
4章
53/140

48話

こんにちは。


風邪の症状も落ち着いてきました。

今やっているゲームも今月中でだいたい終われそうなので、

次のコンパ作品入手までは執筆に専念できそうな感じですね。

番外編が主に執筆する内容になりそうですが。


では、どうぞ。

夏祭りから数カ月後。

最近修学旅行があったらしい志瑞からお土産も受け取った頃、怜は燿、拝郷と馴染みの喫茶店で集まっていた。


唯笑は別件で不在、宥は将来の夢の為に提督の補佐に積極的につくようになり、有希と紗季も依頼消化をしているので怜単独での会談参加になる。


燿と対面で会うのは宥の一件以来5年ぶり。燿も元々オンラインでの参加予定だったのだが、怜がお土産を渡したいとごねた結果、対面で会談してお土産を回収することになった。

燿の立場も考慮して、怜と拝郷、燿の2組で別々に入店。更に離れた席に座り、拝郷と怜は端末を弄りながら、燿は端末で作業しながら、入念に傍聴対策も施した上で『伝達』で会話を始めた。

『教会』『評議会』『御伽学院』の動向、犯罪組織に関わる情報、新しく開発された魔術に対しての解釈などなどの情報交換が主で、時々拝郷の志瑞に関する自慢が入るという平常通りの対談だったが。


きっかけは燿の一言だった。


『そう言えば。『評議会』が黒守采和を襲撃した』

『提督の弟を?最近戦線出てないのに何で今更?』

『自分もそこが気になってな。少し探ってみたら、こんな話を聞いた』

『へえ。どんな?』

『どうも、志瑞司を処理するのに黒守采和が邪魔だったから事前に排除したかった、ということらしい』

『はあ?』


燿の話に怜が思わずそう答える中、怜の対面に座っていた拝郷が殺気を出していた。


『へえ。おもしれー冗談言うじゃん?』

『冗談ではなく事実だ』

『言ってる意味伝わってねーのな。今なら冗談で済ませてやるって言ってんだけど?』

『何を思ったところで事実だ』

『いや、彼奴が裏から狙われる意味分かんねーし』

『……そんな為体だから、君の大切な幼馴染は『教会』に利用される羽目になった』

『おい燿、言い過ぎだろ。俺も正直何で志瑞が狙われるかさっぱりだし、説明してくれ』


燿のあまりの言い方に怜が抗議すると、燿は仕方ないと言わんばかりにため息をついて説明を始めた。


『『異常性』は、所有者があまり見つかっていない故にそもそも絶対数が少ないとされている。しかし、……実のところ、自覚していない者が多いだけで『異常性』所有者は想定されているほど少ないわけでもないのでは、と自分は考えている』

『……』

『城月には心当たりもあるだろう。『前回』の君は、正に、自覚がないまま『決意』に似た何らかの『異常性』を使用していた状態だ』


そして、と燿は続ける。


『実は、志瑞司も、『異常性』を所有している。それも、恐らく『教会』側には脅威となる内容だ』

『……自覚していないのか?』

『そうだ。秩佐白星は裏社会と関わる中で自覚する機会もあっただろう。だが、彼は一般市民だ』

『戦闘に活かされやすいのか?』

『さあ?』

『さあって』


とても無責任な答えだと怜が苦笑を浮かべる中、拝郷が先程のそれよりかは若干控えめになった殺気を燿に向けていた。燿は気にすることなく説明を再開した。


『戦闘で活かされるかと言われると難しい。『決意』や魔術には真っ向から対抗できるが、自覚せず、無意識に作動して、制御できていなかった場合は本人に害しか及ばさない代物だ』

『……』

『実際、彼は制御できていないが為にあまり恵まれない少年時代を過ごしている。ある少女と、祖母と、祖母の家の近隣のある少年がいなければ、とっくに彼の心は壊れていただろう』

『……それは探ったからオレも知ってる』

『そして、今は比較的制御できているようだが……どうも今回暴発したようだ。瀕死の重傷を負っている』

『は?志瑞はそんなこと一言も言ってないし、なんならピンピンしてただろ』

『そうだろう。なんせ、『容赦』所有者……魔術などの効果は受け付けない。それが原因で自身が怪我をしたとしても、致命傷にはなり得ない』


怜のツッコミに燿がそう回答し、『要約すれば、『容赦』が暴発した結果不幸を引き寄せやすくなり、その後『容赦』の効果で、魔術で受けた傷が短期間で癒えたということだ』と纏めていた。怜はそれで納得していたが、拝郷は納得していなかった。


『なんだぁ?『教会』の奴らは、『心象』系統の魔術を無効化されたくないから狙ってんのか?そんな警戒してるなら念入りに潰すだろ普通』

『今回はあくまで黒守刹那を潰す任務だったからとか?』

『なわけ。いつか志瑞を潰したいって話だろ?むしろ絶好の好機じゃねーか』

『……そうする訳にもいかない、というのが『評議会』側の意向だ』

『はあ?なんでまた、』

『今潰してしまうと、間違いなく志瑞司の祖母は警戒するだろう。その結果、『教会』の目的が果たせなくなるおそれがある』

『はあ……?』


燿の話に怜も拝郷も意味がわからず困惑していた。


『まあ、それは志瑞の実家でも探ってみればいい。何、いずれ城月には声がかかるだろうさ。『JoHN』の連絡先を渡したのだろう?』

『渡したが……勝手に探るような機会なんてあるか?』

『うってつけの相談ならされる筈さ。その時にでも探ればいい。同意を得るのも容易いだろう』

『本当か?というか、一般市民のことを探れって、『国際魔術連合』としてはいいのか?』

『むしろ探ってほしいほどだ。この事実は君も知っておいたほうがいいだろう』


と燿が話す中、しばらく考え込んでいた拝郷が『おい、』と言葉を発した。


『……?何だ?』

『例えばな?死んだけど、『異常性』の効果が無意識に作用して、実は生きていた、なんてオチはあったりすんの?』

『……肯定はしないが否定もしない。そういった現象は観測していないが、大いに有り得ることだろう。そうだ、今から話すことも参考に考察してみるといい』


拝郷の質問は怜には予想外だったが、燿は意図を理解しているのか特に困惑する様子もなく返答していた。

そして、燿は衝撃の発言をした。


『『異常性』は、自我を持ちうるのではないか。そう自分は考えている』


拝郷が『何いってんだこいつ』とばかりの呆れた表情だったが、燿は続けた。


『先ほども言った通り、特に自覚などなくても無意識に『異常性』は作用する。制御下にないから暴発もするが……可笑しいと思わないか?どうにも暴発の結果、所有者が『不幸な目に遭う』『戦況が有利になる』ことはあっても、『死に至らしめた』ことはない。自分が今まで観測してきた結果、そのように思った』


拝郷は『なんだ、たった11年間かよ』といいながら表情は神妙なものに変化していた。怜は、拝郷以上に燿の話に信憑性を見出していた。

燿は確かに5年前、怜に言い放ったのだ。

『何万回も同じ時間を繰り返すもんだから、』と。

つまり、何十万年もの時間で燿はそれを観測してきたということになる。

燿の助言は続いた。


『まあ、流石にほとんどの『異常性』は自我など持ち合わせていない。……だが、長い時間を共にしたなら、自身の『異常性』に強い信頼を置けたなら。その時、『異常性』は覚醒し、本当に所有者の為になることを実行するようになるかもしれない。いや、なると自分は確信している』

『……その結果、燿が生まれたということか?』

『想像にお任せするよ』

『おい待て燿がそれで生まれたってどういうことだ説明しろやコラ』

『ははは。君も一介の情報屋だろう、暴いてみせたまえ。答えに辿り着けば君にとって素晴らしい事実を教えてしんぜよう』


その後は追及を続ける拝郷、その追及を躱す燿、追及されないよう息を潜める怜という和やか?な光景が続いてお開きとなった。


尚、その数ヶ月後に拝郷が喜色満面にいつもの会談に現れ、微笑ましそうに燿がそれを眺めていたが、その理由を怜は確かめていない。

正直、一番設定、立ち回りで悩むのが燿・古白ですね。

主な理由はネタバレ防止の意味合いで―あまりネタバレにはならないと思うが、念のために―Xで投稿しますが。


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