30話
こんにちは。
投稿開始からもう1ヶ月になるんですね。時間が経つのは早いです。
それはさておき、改めて自己紹介をする回です。
では、どうぞ。
5人で退室した後、怜たちは寮の怜の部屋に集合していた。
「で、集まったってことは恒例のあれやるんでしょ?」
「ああ、あれですね」
と既に怜の意図を察してノリノリな唯笑、宥に怜が苦笑しながら、「いや、確かにそうだがもう少し待ってほしい。燿も同席させよう。あ、飲み物とお菓子を適当にそのへんに用意してくれないか?」と返す。唯笑が少し訝しんだ顔をして、しかしすぐにその意図も理解したのか「らじゃー」と台所まで向かっていった。
「……?恒例のあれ?」
「ああ。いつも新メンバーが加入したらやってるんだ。大丈夫、楽しく話をするだけだ」
「楽しいの?じゃああたしもお菓子選んでくるね。お菓子生まれて初めて食べるからどんなのか気になっちゃう」
首をかしげる一条に怜が答えると、日向が少しスキップ気味に台所へ向かっていく。それを微笑ましそうに眺める一条が「じゃあ、僕はジュースでも見てみようかな」と冷蔵庫に足を向けるのを横目に、怜は端末から燿と通信をつなぎ、ビデオ通話にする。
『ビデオ通話とは珍しいな。しかも城月からか』
「ああ、新しいメンバーが加入したからな。紹介ついでに、お前に少し聞きたいこともある」
『ふむ。まあ、自分の正体が『JoHN』『放蕩の茶会』の外に漏れないなら何の問題もないが』
「むしろ燿、お前が大丈夫か?」
『問題ない。今は『国際魔術連合』の執務室にいるから、第三者に見られる心配は不要だろう。一応、燿ではなく古白と呼んでもらえると助かるが』
「そうか。そっちの方が都合がいいなら古白とここでは呼んでおこう」
しかしそうなると、完全な暴露ができないから後で言いそびれた内容を情報共有するようにしようか、と考えていた怜に、ふと燿が一言。
「……しかし、真白もそうだが、城月も以前から自分を燿と呼んでくれるな。それはなぜだ?」
「うん?いや、お前がそう名乗ったんだからそう呼んでやるのが妥当だろ。今みたいな場面だったら古白と呼ぶが……燿と呼ばれるのが嫌だったか?」
「……いや。元の肉体が古白曜なのだから、君たちもそちらで呼ぶと思っていた。それだけの話でそれ以上でもそれ以下でもない。燿とこれからも呼んでくれ。自分は曜ではないし、それは逆も然り」
「変な質問だな」
「忘れてくれ。……そう言えば、新しいメンバーの紹介と言っていたが、恐らく自分をその2人に認知させるのが目的だろう?提案だが、『放蕩の茶会』も誘うのはどうだろう。そちらのほうが賑やかで2人も楽しめる上に安心できるだろうな」
「お、ナイスアイデアだな。そうしようか」
そういいながら、怜は戻ってきた唯笑に端末を借り、『放蕩の茶会』にメッセージを送りグループでビデオ通話を始める。同じく大量のお菓子と人数分のジュースを持って宥たち3人が戻ったところで、唯笑が口を開いた。
「はい、全員集まったところで!第3回暴露大会を開始する!司会進行はいつもの通り私、真白唯笑がお送りします!今回『JoHN』加入予定メンバーが全員揃った記念で、現在の協力者にもお集まりいただいたよ。賑やかになるねー。ルールは簡単、思いっきり自分のことを丸裸にする勢いで暴露する、それだけ!じゃあ早速始めちゃおっか!」
混乱する一条、日向に対してそう高らかに宣言する唯笑に、思わず全員が吹き出す。そのまま緊張もほぐれて互いに暴露する中、話は一条と日向の話になった。
「そういや有希くんに紗季ちゃん、恩人って誰?」
「……えッ、知らないの!?」
唯笑の質問に日向がぎょっとしていた。怜も「たしかに心当たりがないな。俺の名前を挙げるあたり、知人かもしれないが……」と首を捻ると、「ええ……ひろ、めっちゃありがたがってたけど……」と呟いていた。
「ありがたがってた?」
「ああ、えっと。ありがたがってた、というか、尊敬?憧憬?『彼らはおれにとって光だ』って言ってたかな」
「そんな有名人なんですか?私たちって」
「内偵とか身内との交渉がほとんどなのに名が売れるわけないけどなあ……よしんばそうだとして、宥ちゃんの名前が挙がってないの気になるじゃん」
「それもそうですね……」
と宥も首を傾げると、『……いや、『放蕩の茶会』として活動してても、唯笑たちの知名度ってせいぜい『知る人ぞ知る実力派』『軍の懐刀らしい』ぐらいよ。『教会』の人間が憧れる対象としては不適当ね』と椎名も考察し、秩佐が「だからだろうな、情報屋からは注目株になってる。僕たち『放蕩の茶会』と協力関係なのも注目しているポイントだろう」と補足していた。
そんな中、1人黙っていた一条がぼそりと言った。
「……そういやひろ、少しだけ小学校行ってたって話してたっけ」
「あ、確かに言ってたね。『伝達』のおかげで生き残れたって笑ってたや」
と日向もそれに賛成する中、更にそれを後押しするように燿が「ああ、あった」とデータベースをカメラに映した。
画面には、1人の少年の画像や彼に関するデータが詳細に映っていた。
有栖大登。7歳の時に『教会』に拉致。元々通っていた小学校にはカバーストーリーとして転校と説明。当初は使い捨ての少年兵としての起用を予定していたが、本人が幼年としては珍しく『伝達』魔術を習熟し、傍聴の技術もあったことから『伝令役』としての起用に変更。初年度の『教会』からの評価コメントは『少年兵で連絡の仲介になれて相手側の盗聴ができるのでいい拾い物だったと思う。使い捨てるのは流石に無駄なので、実戦登用で生存するようならじっくり教育する価値はあり』。着実に業績を伸ばしていき、幹部候補生の1人となった。研究室に配置したが、監視対象とは良好な関係性を築けている。もう少し監視を続けた後は幹部に採用することを検討されていたが、監視対象を脱走させたためその採用は見送り。即刻終了処分としたが、『神父』と幹部筆頭候補の意向で保留としている。
「終了処分……殺処分の予定だったのを保留……この人、まだ生きてる可能性高いじゃない。良かったわね、一条、日向」
「保留した意図は全くわからないけどな……」
「筆頭候補も『神父』もマジで何考えてるのかさっぱりって感じ」
と椎名、常葉、寿乃が話す中、秩佐が思い出したように「そういえば、最近小耳に挟んだが、その筆頭候補に直属の部下がいるって噂じゃないか?」と言い出した。
「ああ、あの不可解な魔術師のことか」
と燿は端末を弄り、2人分のデータベースを映す。それを見て怜と唯笑が「「はあ!?」」と思わず声を上げた。
少女の方は5歳の頃から所属していたという注記をつけたうえで数年前に初めて『国際魔術連合』に登録している。『否定』という名の『異常性』を所有している魔術師という情報も開示されているだけに、なぜ空白の6年間が生じたのかが不可解だ。
一方、少年の方は所属してすぐに『国際魔術連合』に登録されているが、異例の出世速度。業績に偽りはないので単純な実力者であることは分かるが……所属して早々に直属の部下を持っている点を踏まえれば賄賂を疑ってしまいそうである。
しかし、怜と唯笑が驚愕したのはそんな経歴ではなく、名前と姿だった。
少年は高式暁、少女は城月育。
方や怜と入れ替わった対象であり、方や明らかに『城月怜』の妹なのであった。
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