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同じ空の下で  作者: 桜油
2章
23/140

19話

こんにちは。


今日はどうしても私用があったので、有給取りました。

今週の金曜もその件での有給を入れてみたり。

気軽に有給を入れられるあたりはホワイトなんですよね、今の職場は。


それはさておき、今回は魔術組織についての説明です。


では、どうぞ。

『軍』との交渉前日。

怜、唯笑、汐宮の3人は今日も今日とて魔術の勉強会をしていた。

ボードゲームをしていた時までは汐宮は怜、唯笑に対し心を開いている様子であったが、ここ数日はどこか考え込んでいることが多く、怜と唯笑は若干心配ながらも深く聞き出すこともせず平常通りに接していた。


そんな中、今日のテーマは『魔術組織』『魔術学会』である。

魔術組織についてもあまり知識のなかった汐宮は、これを機に勢力図を把握して今後の方針を固めたい、と主張していたが、怜としてはもっと別の理由がありそうだと感じていた。


魔術組織。魔術師が集まる企業、サークルの俗称である。

魔術師への一般人からの依頼を管理したり、所属する魔術師に指示を出して利益を得る企業型と、特に利益を求めない、単純に同じ目的をもつ魔術師が集うサークル型があるが、大規模な組織は全て企業型に該当する。サークル型はどちらかというと友人、内輪の集まりのようなもので、サークル型複数と企業型1つを掛け持ちする猛者もごくまれにいる。

掛け持ちする人は大抵、徐々にサークルに顔を出さなくなって風化するか、企業型の方を脱退するのだが、タスク管理が完璧な人もいる。

その最たる例が、『国際魔術連合』常任理事の古白曜(こはくひかり)である。『国際魔術連合』と他にサークルを5つほど掛け持ちしているという噂である。もっとも、怜にとっては『前回』全く関わらなかった人であり、どういった人物かは全く知らず、魔術師界隈では結構有名な人物であるというだけだ。


ちなみに、『放蕩の茶会』を設立した椎名はその手続きで彼女本人に会ったらしいが、椎名曰く、


「あれは本物よ。すべてを見透かしてる感じがするの。まあ永世中立主義だし、敵にも味方にもならないわ。現に『前回』まで全く首を突っ込んできてないもの」


とコメントしていた。


魔術組織の組織図は組織それぞれで若干異なるが、企業型は、1人の全体指揮を執る役職『全権代行』と複数人の幹部、その他多数の平で完結している。そして『全権代行』は組織によって呼称が変化する。その組織の名前に合わせた名称になっていることが多い。


ここまで怜が語ると、汐宮が「ちなみに今の主勢力ってどうなんですか?」と続きを促す。唯笑に交代し、唯笑が続きを話し始めた。


現在、主勢力として特に魔術師界隈の話題に上るのは主に6つである。


1つ目が『軍』。魔術黎明期―魔術が開発されて以降の半世紀間に某国の最後の総理大臣が内閣総辞職、国会解散と共に設立した魔術組織である。最古の魔術組織であり、内政に関わる唯一の機関という特性を併せ持つ。また本部所在地を公表しているという意味でも珍しいのだが、これも政治に携わっているからであろう。全権代行は『提督』と呼称され、現在は黒守刹那が務めている。ホワイトな環境なのだが、人材不足が顕著であり、『黒守一強』と揶揄されることもしばしば。唯笑はそこにつけこみ、怜たちという戦力を提供する形で保護してもらおうという算段であるが一応他にも交渉する要素はある、と以前怜に話していた。


その『軍』と敵対、現在戦争している状態なのが2つ目の『教会』。非人道的な実験でもなんでもやる、まさに魔術師業界の裏、闇である。元々はただの魔術師サークルだったが、今から11年前、怜が1歳の頃に『教会』に名称が変更されてからは一気に犯罪シンジケートとして知名度を上げ、規模を巨大化していった。怜たちの目的はこの『教会』の計画の阻止であり、もし失敗すれば世界は救われない、とは唯笑が語った話である。全権代行は『神父』『主』と呼ばれ、その正体はクリス・ユークリッドという。これに関しては唯笑が『前回』までに知った情報だろうと怜はあたりをつけた。公開されている情報ではないが、元々『教会』の魔術師だった唯笑なら知っていてもおかしくないからだ。


3つ目に『陰成室』が挙げられる。全権代行は『室長』であり、現在は執行寿羽が就任している。魔術の研究機関であり、魔術の学会もここが主催する。スクロールの公開を行うのもこの組織であるが、あまりにも危険性が高いと、『魔術国際連合』が介入して公開を差し止める。『陰成室』が毎年出版する本には現在開発されている魔術のほとんどが収録されていて、魔術の研究を好む界隈には必需品となっている。なお、怜が開発した『循環』や汐宮が自作した『停止』、数年前にネットニュースにもなっていた『心象操作』『心象掌握』『心象破壊』は掲載されていない。特に『心象』シリーズは対策を立てたいがために怜や唯笑が何度か開示請求を考えたのだが。


「『国際魔術連合』が公開を差し止めただけで権利は『御伽学院』にあるのが厄介だよね」


そう唯笑が愚痴をこぼし、怜も頷いた。


魔術式や魔術開発までの経緯は著作権のようなものがあり、公開されていない魔術の魔術式や、公開可否に関わらず開発の経緯を開示するよう請求すれば魔術開発者に通達が来てしまう、つまり『教会』と同盟関係の組織『御伽学院』に目をつけられる危険性もあって足踏み状態である。


『御伽学院』という名前に汐宮が少し硬直したが、唯笑は気にするでもなく話し続ける。


4つ目は『御伽学院』。魔術師養成機関だと怜は認識していたが、唯笑の話でその認識は誤りだということが判明した。女性しか受け入れていないこともあり、フェミニストが多い印象のある魔術組織である。『心象魔術』の開発元だが、唯笑の話が真実なら『教会』には開示請求させるでもなく情報提供しているだろう。そして、そのサンプルの汐宮を生死問わず追跡している可能性もあるが、そこについては唯笑も怜も汐宮に話さなかった。全権代行は『首席』と呼称されるらしいが、その正体は未だ明らかになっていない。閉鎖的な組織だからであろう。


5つ目、『国際魔術連合』。全権代行即ち『常任理事』は先述のとおり古白曜。永世中立であり、魔術組織や魔術師の取り締まりを行う魔術組織である。魔術師としての登録は必要ないが、企業型、サークル型を問わず魔術組織の立ち上げにはここを経由して正式な手続きを踏む必要がある。手続き、正式な認可が降りてからの登録をせずに活動し始めた場合は『秘密結社』『テロ組織』として扱われ、全ての魔術組織に敵対したものと見做される。活動内容によっては、最も適した魔術師を指名して抹殺任務がくだされることもある。

『前回』の『JoHN』はまさにこの状態だったと言えよう。『今回』は組織を設立するつもりはあまりないので関わることはほぼないだろうと怜は予測している。なお、魔術組織は毎年名簿や成績を『国際魔術連合』に提出する義務があり、フリーの魔術師も年に1回『確定申告』として業績を『国際魔術連合』に提出する義務がある。未成年―18歳未満のフリー魔術師は非公式魔術師という扱いで例外的に業績の報告を免除されるが、未成年でフリーで活動するような魔術師はほぼいない。拝郷くらいだろう。そして、これを通して『国際魔術連合』は魔術師の認知をするらしい。


そして最後の6つ目、『評議会』。ここは『教会』と同盟関係にあり、犯罪シンジケートの1つでもある。もっとも謎に包まれた組織だが、諜報を得意分野にしているようだ。全権代行は『議長』と呼ばれていること以外なんの情報もない。


全て神妙な顔で聞いていた汐宮だったが、このときにもう少し深堀りして聞くべきだったかもしれないと怜は翌日後悔した。


『探さないでください。今までありがとうございました。』


そんな置き手紙だけ残して、汐宮は拠点から姿を消していた。

もう間もなく、2章は後半部分に突入します。


評価、感想などいただけますと幸いです。

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