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同じ空の下で  作者: 桜油
2章
21/140

17話

こんにちは。


Switchのジョイコンの仕様―スライド式―はかっこいい感じで好きなので、

Switch2のジョイコンが仕様が変わっててちょっと残念。

それはさておき雑談回です。


では、どうぞ。

汐宮との出会いから数日。

今日も今日とて怜、唯笑、汐宮で魔術談義が繰り広げられてお開きとなった後、汐宮がそういえば、と切り出した。


「2人とも学校にはいかないんですか?」

「「いかない」」


怜、唯笑の2人が異口同音に返答したのに若干呆気にとられた汐宮だったが、気を取り直す。


「それはまたどうしてですか?」

「俺は『前回』行ったからな。正直、もう学校生活は充分だ。精神年齢もあわなくて窮屈だしな」

「それに、一般論、義務教育も高等教育もちゃんと終わらせてから魔術師になるなんて人はごく一部だよ。余程裕福じゃないとありえない。よしんば中流家庭でそれができたとして、余程の秀才、天才じゃないと出世街道から出遅れるのは確実だね。まあ、そもそも世界救済を考えるなら今は学校に行ってる場合じゃないのもあるけど」

「そ、そうなんですか……」


そう汐宮が相槌を打って、話題を少し変える。


「時間を遡行とか『前回』とか『昔』って言いますけど、実際『前回』はどんな感じだったんですか?」

「『前回』か。俺は裕福な家庭で育って、高校入ってすぐに『軍』に加入したな。親の意向で高校にも通っていたが、高校に顔を出す暇はほとんどないから、公欠がほとんどだ。単位はもらえるからいいが、試験の代わりの課題は面倒だった」

「私は世界救済のために怜を観察してたよ。『今回』怜につきっきりになるのは決めてたことだし、怜をサポートできたほうが良いよねって思って。だから、宥ちゃんのことも知ってる」


そう話す怜と唯笑だが、汐宮が「『前回』の私は裕福な魔術師と交流があったんですか?」と首をかしげたことで、はっと自分の失態に気づいた。入れ替わっていることについては何も話していなかったのだ。怜も唯笑もすっかり慣れたからこそのガバである。


「いや、そうじゃない。実は、俺は『前回』は城月怜ではなかったんだ。唯笑の作戦のために、別人と人格を入れ替えて時間を遡行している」

「でも『今回』にはあまり関係ないよ。『前回』がなんであろうと『今回』は城月怜として生きているんだから、もうそれは城月怜だよ」


と2人で返す中、汐宮は呆れたように「何を当たり前のことを。そりゃあそうでしょう」と肩を竦めた。


「当たり前?」

「そうです。『前回』とかなんとか言われても、『前回』の城月怜くんという人を私は知りませんので、貴方こそが私の知る城月怜くんなんですよ。そして『前回』の貴方が何をしていたとしても、巻き戻した、私の記憶も残っていない以上、『今現在』の貴方の行動こそが私の評価基準ですから」


怜が呆然とする中、唯笑が、「……そっか。そういう視点かあ」と感心していた。


「城月くんが語る過去と唯笑さんが語る過去で登場する城月怜くんになんの関連もないってことを念頭に置くだけですから、話を続けてどうぞ」と続きを促され、唯笑は話を再開する。


「『前回』の宥ちゃんも同じ境遇でね。独学……いや、『前回』も私が知らなかっただけで親切な人に教えてもらってたかもしれないけど、魔術でなんとか逃げてたところを『前回』の怜に保護されて仲間になってたかな。でも、今ここにいる宥ちゃんほど強くないよ」

「そうなんですね。保護されて、ですか……歴史は些細なことで変わるんですね……」

「そうだね。敵対から始まるつもりはなかったんだけどね……」


そう肩を落とす唯笑に汐宮が「まあ、あれは乱暴に扉を開けた城月くんが悪いですから」と笑って慰める。


「いや俺のせいか?」

「仲間になろうという意思があるなら、扉くらい丁重に開けてください」

「いや、そもそもここに汐宮がいる事自体想定外だったから。ホームレスか俺等のことを嗅ぎつけた魔術師かと思ってたし」

「怜ってばさいてー」

「おい唯笑、お前も汐宮の顔を見るまで不審者と思ってただろうが」

「そんなこと言ってませんー」

「いいや、言ったな。俺は聞き逃してなんかない」

「証拠あるの?何時何分何秒地球が何回回った時?」

「いやガキかよ。拝郷しか答えられなさそうな問題出してくるなって」

「ふふ、ははは」


怜と唯笑の軽口の応酬に、汐宮が思わずといった様子で笑い始めた。やや困惑気味に汐宮を眺める2人に、汐宮は腹筋を抱えながら、目元に笑いすぎたのか涙を滲ませながら話す。


「……とても仲がいいんですね。互いを信頼し合っている感じです」


「私も、そうなれる友達がいたはずだったんですけど」と寂しげな笑みに変わった汐宮に、若干気まずげに視線をそらす唯笑に構わず怜が「じゃあ仲直りしよう。手伝うぞ」と返した。


「それでいいよな、唯笑」

「……うん。それに、私たちと宥ちゃんも、そんな関係になれたらいいなと思うよ」

「……前から思ってましたけど、世界救済を目標にする割に、私に構いすぎてません?」

「だって人を助けるのに理由なんかいらないだろ?」

「私が関わった全ての人に幸せになってほしいっていう私のエゴだよ」

「……眩しいなあ」


また苦笑を浮かべた後、「それで、その後『前回』の私はどうなったんです?」と聞いてきた汐宮に、怜が答えた。


「その後にあることがきっかけでテロリスト認定を『前回』のあいつ共々食らってて、『軍』から抹殺任務が俺に降りてたな。まあ汐宮とは会わないままだったが」

「え、それは……色々どうしてですか?」

「ああ、混乱するよね……えっと、一から説明するとね。『城月怜』率いる団体が魔術組織の非人道的な活動に幻滅して、魔術組織に全面的に敵対的な姿勢を示すんだ。で、『軍』は国の秩序を守る魔術組織だから、そういう組織を消すような指令がきやすいんだけど、その執行人に怜が選ばれたんだ」

「な、なるほど」

「それで。ここの怜は指示通り動いてたんだけど、『城月怜』は仲間思いだったから、仲間を亡命させつつ怜に決闘を申し込もうとしてたの。でも、私が知ってる歴史じゃ毎回『前回』の怜が負けるから、私の作戦なら仲間を守ることもできるよって声かけたら賛同してくれた。んで、今に至るって感じ」

「まあ、俺にとっては決闘を申し込まれたと思ったらいつの間にか別人に憑依した状態で過去に逆行してるんだから、寝耳に水どころではなかったが」


怜の若干の嫌味に汐宮がぎょっとして、「いきなり巻き込まれたってことですか?普通怒りません?」と言い、唯笑も「そうだよね……時間の猶予があれば説明できたけどっていうのは言い訳だよね」と肩を落とした。


「んん。怒りより困惑のほうが多かったな。しかもその数日後、なぜか『教会』幹部に殺されかけたし」

「ええ!?」

「まあ、唯笑が命がけで助けようとしてくれたのと、『決意』のおかげで状況を打破できたし、その時の唯笑の言葉で必死さは伝わったから、唯笑に協力するって即断したけどな」

「ちなみに原因は今も精査中。迷宮入りしそうだよ」

「ええ……」


「むしろよく生き残ってますね」とげんなりする汐宮に、「お前も大概だろ」と怜が軽口で返した後も汐宮の質問は続いたが、ある程度答えたところで夕飯のため買い出しに行くことになり、そこで打ち切りとなった。


「でも、あんな言い合いなんてするんですね。城月くんはもっとクールな方だと思っていました」

「ああ、……たしかに、ああいうやり取りは初めてしたな」

「そう、ですか?」

「そうだな。昔は感情が希薄とかよく言われたもんだが、俺も唯笑に染められたか?まあ、やってみると楽しかったな。あくまで冗談だと踏まえておけば揉めたりもしないだろう」

「……はい」

精神年齢アラサーな主人公が子供っぽい喧嘩をするのは、

唯笑や主人公は良い傾向だと思えますが、

汐宮はどう思うでしょうか。


評価、感想などいただけますと幸いです。

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