01 高気圧・低気圧のイロハ その1
GWも終わリ、休みボケが抜けない お2人です。
終わった途端の雨続き。
天気と同じで気分も下降気味。
仁淀川もどんよりしてます。
そんな2人は川に面する窓のサンに顎を乗っけてぼーとお外を見ています。
外から見たら打首獄門さらし首、通る人はビックリです。
「ねえねえ花ちゃん、GW楽しかったね」
「うん、楽しかったね」
「ねえねえ花ちゃん、お肉美味しかったね」
「うん、美味しかったね」
GWに開催された、ご近所さん参加の焼き肉大会の事らしい。
「ねえねえ花ちゃん、よつば(花ちゃん家のお猫さま)可愛いよね」
「うん、可愛いよね」
桜ちゃんの問いかけに、花ちゃんオウム返しで脳みそ動いてない模様。
「ねえねえ花ちゃん、ジュース奢って」
「うん、奢らない!」
少しは脳みそ動いてた。
「ねえねえ、花ちゃん、雨ってなぜ降るの?」
「それはね桜、あたしの涙と汗と鼻水がイッパイになって溢れたからなの」
…… 静寂が流れる ……
「もう、そうじゃなくて、真面目に聞いてるんだよ(●`ε´●)」
「ごめん、ごめん、今までおふざけ会話だったから、そのノリで答えちゃった。
で、何だって?」
「あめ、雨はなんで降るのかなってコト」
プンプン気味の桜ちゃん。
花ちゃん、少し考えて。
「雨って単体では考えられないから、気象についての説明になるけどイイ?」
「それって長くなるってコト?」
「そう、そう、簡単には説明するけど、《三行で》みたいにはならないケド」
時計をチラ見の桜ちゃん。
「下校までは時間あるから聞いちゃうよ!」
花ちゃんの解説をワクワクしながら待ってます。
01:風ってナゼ吹くの?
「まずは雨の前に《風》の説明からだね。
風ってナゼ吹くと思う?」
イキナリの聞き返しにたじろぐ桜ちゃん。
「えーっとね、カミナリ様が大きなうちわで扇いでるの見たことある!」
「それはテレビのコントでしょ」
うーってなってる桜ちゃん。
「《風》は気圧の高いところから気圧の低いところへの空気が移動すること。
《気圧が高い》とは空気が密になっているコト、《気圧が低い》とは空気が疎になっているコト、
おわかり?」
ピンと来てない桜ちゃん。
「うーん、乱暴に例えると、ぎゅうぎゅうの満員電車に乗っていて、ホームに止まった時、隣にこの駅からの出発時間と到着駅がいっしょのスキスキ電車が来たら乗り換えたくなるでしょ。
その乗り換え行為が乗客の移動、つまり風の正体」
「おー何かピンとはきますです、花ちゃんはたとえの征夷大将軍だよ〜」
変な称号つけられた!
「で、気圧が高いを《高気圧》、気圧が低いを《低気圧》って言うから覚えといて!コレ大事!!!」
「知ってる、テレビの天気予報でよく聞く!何かは知らないケド……
なんで???」
「なんではコレから説明するから、待ってなさい、お手」
桜はお手して尻尾フリフリ(無いけどネ)
そんな桜を尻目に続けます。
「学校でも習っているとは思うケド、突っ込んで教えないと記憶には残らないからね〜 学校教育の敗北だよ〜」
お手上げポーズの花ちゃん先生。
「それだから、いま花ちゃんに教えてもらえる、ワ・タ・シ・シ・ア・ワ・セ」
喉をチョップしながら桜星人、スペース返事です。
「嬉しい、桜、結婚しよう♡」
「じゃあ、吉日選んで結納ですな」
粋な返しでニッコニコ。
02:高気圧ってなナアニ?
「《高気圧》から説明するね。
まず、一番気になるのはお天気だよね」
「うん、お母さんも布団干したいから晴れろ!晴れろ!って、いつも《ないちゃん》にお願いしてる」
「まさしく神頼みですな」
優しく頷く花ちゃんです。
「1:高気圧が発生すると、
・安定した天気が続き、長期間に渡って晴れが続く。
・乾燥した天気になることが多い。
・風も比較的穏やかで安定した天気になる。
と、これが特徴だよ。
2:高気圧には主に2つの種類があって、
・亜熱帯高気圧
夏に日本列島に影響を与えることが多い亜熱帯高気圧(例えば太平洋高気圧)で、強い日差しと高温をもたらす。
・移動性高気圧
春や秋に日本を通過する移動性高気圧は短期間の晴天をもたらす。
3:季節による違いは
・夏は高気圧に覆われると、非常に暑い日が続くことが多い。
・冬の高気圧は晴天になるけど、寒冷な空気を引き込むため、
朝晩の冷え込みが厳しくなるの。
」
「じゃあ、お天気になったり、夏暑くて、冬寒いのは《高気圧》のおかげさまなの?」
「まあ、我々イッピーはそんな認識でいいんじゃない」
「イメージはこんな感じ」
タブレットで図を表示して、桜に見せる花ちゃんです。
うーんな顔する桜ちゃん、疑問がイッパイのお顔です。
「でもね花ちゃん、ワタシなんでそうなるかが分かんないと眠れなくなるの」
「言うと思った、桜はそんな娘さん、
疑問を言って、説明できる範囲で答えるよ、ニコッ♡」
ニコニコしてる花ちゃんに向かって、疑問のマシンガンが火を吹きます。
「1.なぜ、下降気流ができるの
2.なぜ、晴れるの?
3.なぜ、乾燥するの?
4.なぜ、風が穏やかなの??
5.なぜ、風が吹き出すの?
、とりあえずこんなトコ」
「きたね~、でも想定の範囲内だよ」
花ちゃんはタブレットでクラウド上の資料を開きます。
「じゃあ、1番の《下降気流》から説明するね。
さっきの図で高気圧から空気が吹き出してるって書いていたよね。
その空気は何処からくるかと言うと、上から吸い込んでいるんだ。
「気圧の高い方から低い方に《風が吹いてる》って言ったよね。
高気圧は上から気圧の低い空気を吸い込んで、気圧を高くして外に放出している。
気圧が高くなるって事は密度が上昇する、つまり重くなるんだ。
そうすると、重力に引っ張られて下に向かう、
それが《下降気流》だよ」
「じゃあ、《下降気流》って物が落ちるときの勢いで発生した風ってこと?」
「うん、乱暴だけどイイたとえ、さすが桜、お回り!」
くるくる回って、モフモフされます。
「聞いたら、簡単なコトだね〜」
「うん、結局地球上のコトは普段生活している中での物理法則に沿って起こっているから、例えれる物が探せばあるからね」
「つぎに2と3は同じ原因だから、いっしょにするね。
乾燥するのは、上から入った空気が圧縮されると言ったよね。
物質、特に気体は圧縮されると温度が上がるんだ。
理由は、圧縮されると分子間の距離が縮まり、ぶつかりやすくなる。
ぶつかった時に熱を発するから温度が上がる、コレを専門用語で《断熱圧縮》って言うんだよ。
で、温度が上がると空気中の《飽和水蒸気量》が増える」
「飽和水蒸気量、知ってる、言いたくなるコトバだから好き。
あと、墾田永年私財法もチョー言いたい」
「わかるよ〜、歴史には言いたくなるコトバいっぱいあるからね」
しばしの雑談したら、続きます。
「圧縮前の空気と圧縮後では水蒸気の量は変わらないけど、湿度を溜めれる量が増えて外に漏れ出にくくなるから、相対的に減った事になるんだ。
そうなると、気圧が低いときよりも余分に水分を溜めていられるから、雨や雲ができにくくなって、晴れた天気が続くんだ」
「要するに、お水を貯めれる箱が大きくなるから箱の外に溢れなくなるってコトでイイ?」
「そうそう、そんな認識でOK!
ちなみにお風呂を沸かす《エコキュート》もこの原理を利用してるんだよ。
実際に電気で沸かすより、省エネになるからだね。
うちもエコキュートだよ」
「こないだ花ちゃん家で入ったお風呂は高気圧風呂だったんだ!」
「クスクス、そうとも言えるね」
「次は4番の風が穏やかの理由は、
高気圧は中心が一番気圧が高くて、そこから外に向かって徐々に気圧が低くなってる。
風は気圧の高いところから低い所に吹くけど、差が小さいと吹く風も弱くなる。
ちなみにコレを《気圧勾配》って言うの」
「滑り台も勾配がキツイとスピード出るけど滑らかだと滑りにくいのと同じですな」
「さすが桜、理解が早いね」
「お次の5番は簡単、下降気流と重力で空気が上から下へ送られて行き場を失うから外に向かって吹き出すの」
「で、《気圧勾配》がキツイと強い風、ユルイとそよ風って事ですな」
「そうそう、あと風の向きの時計回りは地球の自転、コリオリの力が関係する。
理由は不明、理解不能!」
最後に親切花ちゃん、まとめです。
「高気圧が発生すると、
①:下降気流が生まれる
②:雲や雨が発生しづらくて、お天気がになる
③:吹き出す風が穏やかな事が多い
かな」
「へー、長々の説明がこんだけになっちゃう」
「桜が寝れないって言うから説明したけど、生活するだけだったら、このくらい知ってればイイかな。
《低気圧》は台風とか発生するから気をつけないといけないコトいっぱいあるけど、《高気圧》は暑くなる位だからポジティブに捉えよ♡」
それ聞くと、桜は外に向かって拝みます。
「高気圧様、高気圧様、早くおいで下さいまし。
毎日の雨は飽きたでござる。
家の中は洗濯もんでイッパイです。
顔に当たるの気持ち悪いです。
早く太陽様のお顔見たいです。
なんまいだ、なんまいだ」
「それで晴れたら世話ないけどね」
顔を見合わせ吹き出します。
(つづく)