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特別訓練

「さて、君たちの訓練を担当するグレンだ。みんな知ってるだろうが、俺は特級魔術師でな、この一か月でお前らは最低でも上級魔術師クラスになってもらおうじゃないか」


「グレンさん、それはあまりにも酷なのではないでしょう?」


「うるせえ、天才は黙ってろ。お前は別に訓練を受けなくても負けることはないだろうがこいつらはそうじゃねえんだよ」


 拾いグラウンドに集められたのは一年生だけではなく、三年生までの約二十人近く。毎年毎年、大会メンバーが学年関係なく実力で区分されて訓練を行うことになる。


 大体の場合は上位は三年が独占しているものだが、今回は訳が違う。担当する教官がグレンということだけあって、いちいち区別はされない。全員平等に上級魔術師レベルを目指すことになる。


 とはいえ、一か月で上級魔術師レベルになるには少々骨が折れるとは思う。レインの目から見ても上級魔術師のレベルに達しているのは半分もいなかった。そのなかにはもちろん一年生は入っていない。


「帝都魔術学校は魔術大会において毎度いい成績を残している。お前たちの代でそれを切らさないように俺はとことん教育してやる。喜べ、現役特級魔術師から学べる機会など早々ないだろうな……その点、一年生は特にありがたいと思ったほうがいい」


「「「……?」」」


 グレンはレインという現役特級魔術師が同級生にいて、教えを乞うことが出来ることに感謝をしろといっているのだ。ヒヤヒヤしてしまう……。


「で、レイン。お前はどうするんだ?」


「何がですか?」


「俺の訓練を受けるのかって意味だ。ああ、先に言っておくが、俺から教えられることはないぞ?」


「ええ?なんでですか」


「正直お前にはアドバイスのしようがない。魔術のバリエーションを増やせとしか言えない。ただ、そんなのお前はどうせすぐに習得できるだろう?」


「まあ、頑張れば一か月以内で全部覚えてきますよ」


「ほら見ろ。戦闘に置いての技術と立ち回りに関しては経験をつめとしか言えない。それぐらいしかお前はすることがない」


 グレンという特級魔術師に戦った時、レインは自分の魔術の少なさを実感した。レインが使う魔術など初級魔術と中級魔術のみだ。


 それも、『水球』やら『水槍』など扱いやすいからと言ってレインが気に入っている魔術師か使ってこなかった。だからこそ、もっといろんな魔術を学んだ方がいいのは分かっているのだが……。


 時間が足りないのだ。


 無属性魔術で索敵魔術を完成させるのにもまだ至っていないのに……時間が足りない。きっとそれが魔術師としての宿命なのだろう。死ぬまでやりたい研究が山積みで、寿命で死ぬ最後の時まで僕たちは研究を止めることはないだろう。


「まあ、見学でもしてますよ。水属性以外の魔術で使えそうなテクニックがあればそれをコピーしてみます」


「よろしい、訓練から抜けることがあれば俺に言え。ああ、そうそう。もちろんレイン以外の奴は訓練から抜け出せるなんて思うなよ?」


 そうグレンが他の生徒たちを煽る。


 レインは気づいていなかったが、グレンはわざとレインを特別扱いしていた。レインが考えている以上に特級魔術師という肩書はすごいのだ。


 この広い世界でたった七人しかその称号を名乗ることが許されていない。ただの一人の学生として見れば、目の前にいるグレンという男は魔術界の神にも等しい存在であるのだ。


 そんな男に実力を認められ特別な扱いを受けているレインは非常に嫉妬心を煽るのに使える。その嫉妬心が訓練で強くなろうとする意志につながるかどうかはさておき、少なくとも少しはその効果が見込めると思ったのだ。


 ただ、グレンが言っていたことはすべて本当のことであり、グレンは何一つとして嘘はついていなかった。レインを認めているのも確かであるし、教えることがほとんどないのも事実だ。


(流石は〈虹の魔女〉の弟子なだけあるな)


 〈虹の魔女〉


 全属性を操り、すべての魔術を習得し魔術界最強の存在。この世界を司っている〈賢人〉の一人であり、その知識は何百年分にも及ぶ。


 世界最強ともいえる存在に可愛がられている弟子に教えるようなことはない。


(っていうか、俺より強くなられたら俺の立つ瀬がないからな)


 以前戦った時、グレンは手加減こそしたが何度か負けるという単語は頭に流れていた。手加減をしていたとはいえ、窮地に追いやられたのだ。


 今更、学生の訓練に付き合わせても時間の無駄だろう。


「それじゃあ、まずは走り込みだ。10キロマラソン、10セット。インターバルは30秒だ」


「「「え?」」」


「なんだよ、お前たち。さっさと走れ!」


 グレンの号令と共に、生徒たちは一斉に走り出すのだった。

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