信憲の答え、彼女の想い
綺麗に終われました
最終話です
「…………え?」
僕の返事を聞いた明美の顔は明らかに硬直していた。
「え? ちょ、えっ? 待って……? どうして付き合えないの??」
「明美、お前は確かに凄い奴だ。中学の時にものすごい努力をして自分磨きをしてきた。だから僕はその応援をするためにいままで支えてきた」
「そ、そうよ! 魅力的な彼女になるための一心でやってきたのよ!」
「でも今やそれが周りの期待に応えるための努力になってしまっている……」
「っ!」
「それに明美は僕といると自分らしくいられるから、僕と付き合ってくれたんだろ?」
「そ、そうよ! 貴方といると自分の素を出せるのよ!」
「それは確かに嬉しいことだ。僕に心を許してくれてるんだから。……でも」
「で、でも……?」
「それのせいで明美のマイペース度合いが酷くなってしまった」
「……っ」
「それに根本的な話、僕はお前にいままで支えてもらったことがない」
「そっ! そんなことは、……ない……はず……よ……?」
「じゃあ今まで僕を支えてくれたことが一回でもあったか!?」
「……っ!」
「互いに支え合って生きていこうと思っていたが、どうやら僕では駄目みたいだ……」
「これからする! これから信君を支えていくから!」
「信じられないよ……」
「………………」
「僕も駄目になるし、僕では明美を人間として駄目にしてまう。だから僕はお前とは付き合えない」
「そ、そんな……」
「幼馴染としてせめてもの願いだ」
「…………」
「これからは誰かを大切に想える相手と供に生きてくれ……」
そして僕は振り返り、優華のところに戻る。
「行こう優華ちゃん」
「え……、このままで良いんですか?」
僕はなにも言わず頷いた。これ以上明美を見ずに去って行ったが、子供のように泣きじゃくる明美の声だけがしばらく鳴り響いた。
「ついに明美ちゃんをフってしまいましたね…」
「……あぁ」
「……」
「あのさぁ」
「はい?」
「ちょっと寄り道しないか?」
「?」
そして僕が優華ちゃんを連れて行ってた場所は菜の花畑が一面に咲いているところだった。
「ここは私の……」
「あぁ、この風景を見るのは一年ぶりだな」
「はい、そうですね」
「小説に詰まっていた時、気分転換に僕も時々ここへ来てたんだ」
「あっ、そうなんですね」
「あー、それでそのー、伝えたいことがあってだな……」
「?」
「二人の思い出の場所で言いたいと思う」
「はい」
「本当は駄目だが、一本拝借」
僕は一本だけ菜の花を千切った。
「あ、千切っちゃ駄目ですよー!」
「今だけはちぎるの許してくれ」
「?」
「ところで菜の花の花言葉を知ってるか?」
「『希望』でしたっけ?」
「それもあるが、『小さな幸せ』という意味もあるそうだ」
「!」
「だからその……これからも多分君に迷惑をかける時もあるだろう。良い時も悪い時も一緒に生きよう。僕は君が好きだ。ともに支え合っていこう。この花はその……(仮)だが、受け取ってくれないか?」
僕はその花を彼女に手渡す。そしてしばらく沈黙した後彼女は頬から一粒の涙を流しながら答えてくれた。
「はい……ありがとうございます。家で大切に飾っておきますね…」
「! それじゃあ……」
「はい………………私もずっと貴方のことが好きでした。……至らない点もあるでしょうが、これからもずっと宜しくお願いします」
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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