表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

横歩きが主流である異世界

作者: 僧侶A

俺はトラックに当たり異世界に転生した。しかし何故か日本にいる。しかも自分の家だ。


自分のであろうパソコンを開いてみるも全て同じ。完全に元の世界と同じだった。


夢だったんだと安心した俺はテレビをつけた。


放送されていたのは食べ歩きの番組だった。食べること自体は別に好きではないが面白いから見ている。


そんな番組の違和感に気づいた。歩き方が明らかにおかしいのだ。1人だけならともかく、全員が横に歩くいわゆる横歩きをしていたのだ。


芸人だけならともかく、絶対にふざけないであろう大御所の方々ですらそうなのだ。


俺は俺の頭がおかしくなったのかと思いひとまず寝ることにした。


翌朝俺は外に出た。すると昨日と変わらない摩訶不思議な光景が広がっていた。老若男女全ての人類が横歩きをしていた。


前に向かって歩いている俺の常識をひっくり返すほどの光景だった。


器用なもので、横歩きで上手いこと進んでいる。それも俺たちの歩き方とそこまで変わらないスピードだ。


2人で歩いている人たちはお互いに正面を向き合って歩いていた。


顔を常に見て話せると考えれば良い歩き方とも言えるのか⋯⋯?


そんなことを思いつつも俺は他の人に紛れるために横歩きをしていた。


歩き方に関しては明らかにおかしいために違う世界だということは分かった。


しかしそれ以外は同じだったので横歩きが大変なこと以外は特に何事もなかった。


そんな時、俺に重大な危機が訪れた。


体育の授業である。


日常生活であれば多少ぎこちなくても特に問題なく生きていくことが出来る。しかし体育という身体能力をフルに活かさねばならない場だと問題がある。


横歩き歴が短い俺にとって運動は不利。経験の差による圧倒的マウントがとられているのだ。


そんな地獄の時間が始まる。


今日の競技は長距離走とありみんな嫌そうにしているが俺はその比ではない。


出来るのならば走って帰りたい。正面向いて普通に走って。


そんな俺の気持ちは虚しく、そのまま授業は始まった。


横歩きなのにやたら早いスピードで進むクラスのみんな。


なんでこんなふざけた走り方で早いんだよ⋯⋯


そんなことを思いながら走っている中、ついに一周遅れになった。


やたらと遅い俺に対して馬鹿にする声が聞こえてきた。真面目に走れと。


俺は真面目にやっているんだ。ただこんな走り方なんてしたことがねえんだよ。


そう文句を心に抑えようとしたが無理だった。


もう我慢ならない。俺は横歩きはやめて正面向いて普通に走ることにした。


人の目なんて気にするものか。


いつも通りのペースで走り始めた俺は横歩きとかいう効率の悪い走り方をしている人々をいとも容易く抜き去った。


そして結果1番でゴールした。


しばらくした後、俺の歩き方が評判になったようでスポーツ界においてよく使われることになった。


マラソンなどの走る競技においては今まで主流だった横歩きではなく前向いて普通に走ることが主流になった。


今まで横歩きが主流な世界だったが、スポーツに取り入れられたことにより普通に歩くことが変なことではなくなった。


これでようやくふざけた歩き方をしなくて済む。

読んでいただきありがとうございます。よろしければ他の作品もご覧ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ