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アルターエゴ  作者: 売豆紀
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アルターエゴ

───プロローグ───


午前11時半、目を覚ます

ふと考えた


俺は誰だ・・・俺は一体なんなんだ・・・?

なんで俺はここにいるんだ・・・ここはどこだ・・・?

どうして俺は生まれてきたんだ・・・?



別に名前を忘れたわけでも、ここがどこか知らないわけでもない

高橋正樹、25歳、半ニート、自宅のベッドで起床

多重人格や精神異常でもなく、異世界に飛ばされたわけでもないことは自分でもよくわかっている

ただ・・・生まれてきた理由はわからない

むしろそこ以外はただの茶番である

自分が何者なのかというのを考えている自分がかっこいいと思いたいがために、記憶をなくしたような台詞が頭の中で反芻しているのだ

と、ここまで客観視できている自分がかっこいいと思えるまでがセットである

と、ここまで客観視できている自分がかっこいいと自虐っぽく思えるのがかっこいいと思えるまでがセットである

無限ループって怖くね?と思いつつ、ベッドから起き上がり服を着た


今日こそは何かしなくてはと思いつつ、パソコンを立ち上げてネットサーフィンの後ゲームというここ最近の非常に素晴らしいルーティンを履行する

最近のゲームはなかなかに面白い!

趣味がゲームだとお金がかからなくてこんなに楽しめる!!

家から出る必要もないし、オンラインで知らない人と気軽に遊べる!!!

・・・普通に働いていたらこんな物悲しい気持ちにならないのだろうなと思うと余計に悲しくなる


こんなことを思うようになったのはいつからだろうか

大学受験に失敗して、そのまま3浪して、大学受験を諦めて、半ニートの状態を続けている

親には大学諦めて就職すると言ったが、結果的にそれは嘘になってしまった

その話をしている時は本気で就職しようと思っていたのだが・・・いざやるとなるとなかなか踏み出せないでいる

「きっと皆もこういう経験あるだろう」と、自分だけが悪いのではないと思いたくて仕方がない

こういう生活をしていく上で自分を守るため、逃げるために屁理屈をこねくり回す能力は格段に向上している気がする

と自覚するだけでもマシな方なのかどうなのか・・・


人生終わったなと悲観的に思う反面、自分には凄い力があるんだと楽観的に捉える自分もいる

悲観的に思う事には事実が伴い凄い説得力があるのに対し、楽観的に思うことには事実どころか根拠が一切ない上に具体的なものが何も見えてこない

どういう力、能力があるかという設定を考える事すらしない

ただ自分は凄いんだ、きっとわかってくれる人がいるんだ、と自分でさえどこに価値があるかわからないものを権力を持った誰かが見つけてくれると信じている

ある意味幸せであるのだろうか

と客観視できている自分が凄いと思ってしまうのが、ある意味自分の凄いところなんじゃないだろうか

客観視することで気持ちよくなっているだけで、それはもう客観視できているといえない気がしてきた

客観視とはなんなのか・・・客観的とはいったい・・・

いつもはここでめんどくさくなってゲームをやり始める

だが、今回は違う

諸事情により切羽詰まっているのだ・・・

切羽詰まっている時にこんなことを考えたところでどうにもならないのはわかっているが、きっと逃げたいからなんだと思う

こういうことを考えている間は、この世界と隔離されている気がするから

なぜなら、自分の存在すら否定する思考であり、この世界の常識やルールをすべて無視して、完全に超越した目線から考える事ができるからだ

ただ無意義な思考を張り巡らせているだけということに気づかずに・・・。

いや、もしかしたら気づいているのかもしれない

気づいていながら、やめることができないのだ

それ故に高橋正樹は凄く人間らしい人間なのだ。

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