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魔法少女のドラグーン

作者: 暗黒黙示録

登場人物

ハルナ:どこにでもいそうな女の子と見せかけて実は魔法少女。魔法の腕輪“マジカルチェンジャー”を身につけている。

カーター:ハルナのパートナーであるネコのような容姿を持った妖精の男の子。持ち前の明るさと豊富な知識によりハルナの戦いをサポートする。

ミサキ:ハルナの先輩と言える魔法少女。魔法の腕輪“マジカルチェンジャー”を身につけている。

キャサリン:ハルナのパートナーでありカーターの双子の姉に当たる妖精。

 そこは隠された二十四番目の特別区“目白もくしろ区”。そこには竜の伝説がありました。

 遥か昔、人々は一体の竜を見つけ、その竜に戦いを挑みました。その竜は口から赤い炎を吐いて向かい来る人々を攻撃し、さらには人々の住む集落をも焼き払おうとしました。人々もまた当時最先端とされていた武器を用いてその竜と戦い続けました。そして長きにわたる戦いの末、人々はその竜を打ち負かしました。


 時は現代、夜の通りを緋色のパーカーを身に纏った一人の少女が仮面をつけた一人の人物と共に歩いていました。


 とある建物の屋上に一人の魔法少女が妖精と共に佇んでいました。その魔法少女こそハルナです。

「不気味な夜だね。」ハルナがパートナーの妖精であるカーターに言いました。

「うん。」カーターが言いました。

「少し通りを歩いてみようか?」ハルナが言いました。

「そうだね。」カーターが言いました。


 ハルナとカーターはとある通りを歩いていました。

「何だろう?イヤな感じがするな。」ハルナが言いました。

「ボクも感じるよ。」カーターが言いました。「この気配はもしかして……。」

 ハルナ達の前に緋色のパーカーの少女と仮面の人物が姿を現しました。

「あなたは……?」ハルナが警戒しながら言いました。

「フフフ!」その少女が言いました。「ワタシはアカネ。そしてキミは生贄だよ。」

「生贄?」ハルナが言いました。

「変身。」そう言ってアカネは装着していたマジカルチェンジャーに指を当てました。するとマジカルチェンジャーから「Change!」と低い電子音声が鳴り、アカネは魔法少女へと変身しました。

 アカネのマジカルチェンジャーには拡張パーツが取り付けられていました。

「あのアイテムは……?」ハルナがその拡張パーツを見て言いました。

「分からない。」カーターが言いました。「でもきっと恐るべき効果が秘められているハズだ。」

「マジカルアブゾーバーだ。」仮面の人物が言いました。「マジカルアブゾーバーは魔法使い専用の装備アイテム。マジカルアブゾーバーを装備した魔法使いが魔力を持った者を倒した時、倒された者が持っていた元々の魔力分、装備した魔法使いの魔力をアップさせる。」

「何だって!?」カーターが言いました。

「キミの魔力はワタシが貰うよ。」アカネが言いました。

「そうはいかないよ!」そう言ってハルナは身構えました。

「マジカルマスケット!」そう言ってアカネが魔法の小銃“マジカルマスケット”を召喚し、それを構えました。

 アカネがマジカルマスケットを撃ちました。マジカルマスケットの銃口から魔法弾が放たれハルナへ向かって飛んでいきました。

 ハルナは横に動いて飛んできた魔法弾をかわしました。

「マジカルブラスター!」そう言ってハルナが魔法の拳銃“マジカルブラスター”を召喚し、それを構えました。

 マジカルマスケットの銃口の下部に輝く魔法の刃が生成されました。

「ハアッ!」ハルナがマジカルブラスターを撃ちました。

「フッ!」アカネは魔法の刃でハルナの放った魔法弾を弾きました。

「ハアーッ!」アカネがハルナに向かって走り出しました。そして魔法の刃がついたマジカルマスケットを振り回してハルナを攻撃しました。ハルナはアカネの攻撃をかわし続けました。

 ハルナが反撃を行おうとマジカルブラスターを構えました。その瞬間、アカネが魔法の刃でハルナを切りつけました。

「うわあっ!」ハルナはアカネの攻撃を受けて転倒しました。

「フフフ!」アカネが魔法の刃をハルナに向けました。

「ハルナ!」カーターが叫びました。

「くうっ!」ハルナが言いました。その時ハルナには為す術がありませんでした。

「そこまでよ!」そこへミサキがキャサリンと共に姿を現しました。

「お前は……?」仮面の人物が言いました。

「変身!」そう言ってミサキがマジカルチェンジャーに指をあてると、マジカルチェンジャーより“Change!”の電子音声が鳴り、ミサキは魔法少女へと変身しました。

「ほう、新たな魔法使いが現れたか。」仮面の人物が言いました。

「ワタシはキミに決めたから……。」アカネがハルナに言いました。「キミを生贄にして得た力でこの世界を消しちゃうよ!」

「えっ?」ハルナが言いました。

「でも、それをジャマする人がいるなら、ソイツから倒す。」そう言ってアカネはマジカルマスケットをミサキに向けました。

「ハルナちゃんをあなたの好きにはさせないわ!」ミサキがそう言って魔法の杖“マジカルロッド”を召喚しました。召喚されたマジカルロッドはミサキの周囲を回った後にミサキの手に収まりました。

 アカネがマジカルマスケットを撃ちました。ミサキは飛んできた魔法弾をマジカルロッドで弾くとアカネに向かって走り出しました。そしてミサキとアカネはお互いの武器を激しくぶつけ合って戦いました。

「ハアッ!」ミサキがアカネをマジカルロッドで突き飛ばしました。アカネはミサキの攻撃を受けて後退しました。

「マジカルバレット!」体勢を立て直したアカネがマジカルマスケットからより強力な魔法弾を発射してアカネを攻撃しました。

「キャアッ!」アカネの攻撃を受けてミサキが怯みながら後退しました。

 アカネがマジカルマスケットを構え直してミサキに向かって走り出しました。

「マジカルスラッシュ!」アカネが魔法の刃でミサキを切りつけようとしました。しかしその瞬間、一発の魔法弾がアカネに直撃してアカネが怯みました。

「何?」仮面の人物が言いました。

 立ち上がったハルナがマジカルブラスターを構えていました。

「フフ!」アカネが言いました。

「終わらせるわよ!」そう言ってミサキがマジカルロッドを構え直しました。

 次の瞬間、仮面の人物が仮面から火炎弾を放ってミサキを攻撃しました。

「キャアッ!」仮面の人物が放った火炎弾を受けてミサキが転倒しました。

「ミサキ!」キャサリンが言いました。

「大丈夫よ、ケイト。」ミサキがゆっくりと立ち上がりながら言いました。

「アイツは一体……?」カーターが仮面の人物を見ながら言いました。

「今日のところはこの辺にしておくとしよう。」仮面の人物が言いました。「行くぞ、アカネ。」

「うん。」アカネが言いました。

 次の瞬間、仮面の人物の目が赤く輝き、アカネと仮面の人物の周囲が燃え上がりました。

「フフフ。ワタシ、キミに決めたから……。」アカネがハルナに言いました。「楽しみにしてるよ、もう一度キミと会う時を。」

 アカネと仮面の人物は炎と共に姿を消しました。

「一体何が始まろうとしているの?」ハルナが言いました。


 ハルナ達はミサキの部屋で話をすることにしました。

「あの子、ハルナちゃんの知り合いなの?」ミサキが言いました。

「違います。あの子と会ったのは今日が初めてのハズです。」ハルナが言いました。

「アカネ……。ハルナを生贄に世界を滅ぼすって言ってたけど……。」カーターが言いました。

「生贄って……?」キャサリンが言いました。

「どうやら彼女がハルナを倒すことで彼女の装備している魔法のアイテム、マジカルアブゾーバーの効果が発動し、ハルナの元々の魔力の分だけ彼女の魔力がアップするらしいんだ。」カーターが言いました。

「ハルナちゃんの魔力……。」ミサキが言いました。

「要するに、その力で世界を滅ぼそうってワケね。」キャサリンが言いました。

「そんなに簡単に世界を滅ぼせるものなのかな?」ハルナが言いました。

「ハルナの持つ魔力がどれくらいのものなのかはボクにも分からない。でも、彼女達には一定の魔力を使って世界を滅ぼす為の何らかの手段があると見て間違いないんじゃないかな?」カーターが言いました。

「その手段が気になるわね。」キャサリンが言いました。

「気になると言えば、アカネちゃんはどうしてこの世界を滅ぼそうとしているのかな?」ハルナが言いました。

「それにあの子と一緒にいるあの仮面の人物は一体何者なのかしら?」ミサキが言いました。「彼もまた魔法使いに見えるけど……。」

「ボクが一番気になるのは、アカネにマジカルチェンジャーを渡した人物についてだよ。」カーターが言いました。「アカネに力を貸している妖精がいるハズだ。アカネはソイツに唆されて世界を滅ぼそうとしているのかも知れない。」

「次に彼女達と会った時にはそこら辺の話も伺ってみたいところよね。」キャサリンが言いました。


 アカネと仮面の人物はとある暗い部屋の中にいました。

 アカネは一人物思いに耽っていました。

「また昔を思い出しているのか、アカネ?」仮面の人物が言いました。

「うん。」アカネが言いました。

「辛いだろう。」仮面の人物が言いました。

「いいや。」アカネが言いました。「ドランの苦しみに比べれば、どうってこと無いよ。」

「いや、きっとお前は私と同じくらいの苦しみを味わった筈だ。」アカネがドランと呼んだその人物が言いました。「お前には私と同じ絶望が見える。」

「そんなワケ無いよ。」アカネが言いました。「ワタシの過去を話しても、きっと誰も同情なんかしてくれない。ただ見下すだけに決まってる。」

「私も同じだ。」ドランが言いました。

「うん。」アカネが言いました。

「明日奴らを誘い出す。その時こそこの世界の終焉を以って我々の過去に決着をつけよう。」ドランが言いました。

「うん!」アカネが言いました。


 次の日、ハルナはカーターと共に部屋にいました。

 カーターが何かを感じ取りました。

「ヤツだ!」カーターが言いました。

「えっ?」ハルナが言いました。

「ヤツがボクらを呼んでいる!」カーターが言いました。

「アカネちゃん達が……?」ハルナが言いました。

「うん!」カーターが言いました。

「急いで行ってみよう!」ハルナが言いました。「アカネちゃんと会ってもっと話をしなくちゃ!」

「そうだね、ハルナ!」カーターが言いました。


 誰もいないとある交差点の真ん中でアカネとドランがハルナ達を待っていました。

 そこへハルナ達が駆けつけました。

「アカネちゃん!」ハルナが言いました。

「フフ!やっと来たね!」アカネが言いました。

「教えて、アカネちゃん!」ハルナが言いました。「どうして世界を滅ぼそうと考えているの?」

「こんな世界なんて私には必要無いからだよ。」アカネが言いました。

「どうして……?」ハルナが言いました。

「この世界に私の居場所なんて無いんだもん。」アカネが言いました。

「アカネちゃんの居場所……?」ハルナが言いました。

「そうだよ。」アカネが言いました。「だから私はこの世界を滅ぼすんだよ。私にはそうするしかない。」

「よく分からないよ!」ハルナが言いました。「一体どうしてハルナちゃんはこの世界に自分の居場所が無いなんて思うの!?」

「キミ、ワタシを説得ようと思ってるでしょ?」アカネが言いました。

「えっ?」ハルナが言いました。

「ワタシのことをよく知れば、ワタシを説得してワタシがこの世界を消すのを止めさせられるかも知れないって思ってるんだよね?」アカネが言いました。

「それは……。」ハルナが言いました。

「ムリだよ、そんなこと。」アカネが言いました。

「何で……?」ハルナが言いました。

「だってもう、決めちゃったから……。」アカネが言いました。「ワタシはこの世界を消すって決めちゃったんだ。だからキミが何を言ってもこの世界を消しちゃうよ!」

「アカネちゃん!」ハルナが言いました。

「変身!」アカネが変身しました。

 そこへミサキとキャサリンが駆けつけました。

「ハルナちゃん!」ミサキが言いました。「変身!」

「フッ。」ドランがミサキの前に立ちはだかりました。

「あなた……!」ミサキが言いました。

「お前の相手は私がしよう。」ドランが言いました。

 次の瞬間、ドランの目が光り、ミサキとキャサリンとドランが炎と共に姿を消しました。

「ミサキさん……!」ハルナが言いました。


 ミサキ達はとある建物の屋上に立っていました。

「ここは……?」ミサキが言いました。

「ここが私達の戦いの地だ。」ドランが言いました。

「あなたは一体何者なの!?」キャサリンが言いました。

「この私を倒すことが出来れば自ずとその答えも知ることが出来るだろう。」ドランが言いました。

「どうやら戦うしか無いようね。」そう言ってミサキがマジカルロッドを構えました。

「だが、そう簡単にこの私に勝つことが出来るとは思わないことだ。」ドランが言いました。


 その交差点ではハルナとアカネが向き合っていました。

「キミがどうしてもワタシの過去を知りたいって言うなら別に話してあげても良いよ。」アカネが言いました。「でも、ワタシは早くキミと戦いたい。もっとキミと戦いたい!フッフッフッフッ!」

「どうにも今は説得が出来る状況じゃ無さそうだよ!」カーターが言いました。

「分かったよ。」ハルナが言いました。「アカネちゃんが私との戦いを望むなら、戦ってアカネちゃんを阻止してみせるよ、世界の平和を守る魔法使いとして!」

「うん!」アカネが言いました。

「変身!」そう言ってハルナがマジカルチェンジャーに指を当てました。“Change”の電子音声と共にハルナは魔法少女へと変身しました。

「マジカルブラスター!ハアッ!」ハルナがマジカルブラスターを撃ってアカネに攻撃を仕掛けました。アカネはハルナの攻撃をかわすとマジカルマスケットを構えました。

 ハルナとアカネは通りを走りながら撃ち合いました。


 その屋上ではミサキとドランが戦いを繰り広げていました。

「マジカルボール!」ミサキがマジカルロッドの先端から魔法弾を放ってドランに攻撃を仕掛けました。

 ドランが魔法弾を受けて怯みました。

「良いわよ、ミサキ!」キャサリンが言いました。

「フッ。なかなかやるな。」ドランが言いました。「だが、この程度の痛み、どうということはない!」

 ドランが火炎弾を放ちました。ミサキは横に転がって火炎弾をかわしましたが、ドランはさらに連続して火炎弾を放ちました。

「キャアアアッ!」ミサキの周囲で火炎弾が次々と爆発を起こし、ミサキが怯みました。

「ミサキ!」キャサリンが言いました。

「ううっ!」ミサキが地面に膝をつきました。「なんて凄まじい攻撃力なのかしら!」


「マジカルショット!」ハルナが魔法散弾を放ちました。

「うあっ!」アカネが魔法散弾の一部を受けて怯みました。

「ハアーッ!」ハルナがアカネに向かって走り出しました。

「ハアッ!」アカネがマジカルマスケットを撃ちました。

「うわあっ!」ハルナが魔法弾を受けて怯みました。

「なかなかやるね!」ハルナが体勢を立て直しながら言いました。

「うん!」アカネが言いました。「キミも……。今、とっても楽しいよ!」

「そうかな?」ハルナが言いました。「私は全然楽しい気持ちにはなれないけど……。」

「そっか。それはザンネン。」そう言ってアカネがマジカルマスケットを撃ちました。

「うわああっ!」魔法弾を受けてハルナが転倒しました。

「ハルナ!」ハルナ達を追いかけてきたカーターが言いました。

 ハルナが地面に倒れ込んだままマジカルブラスターを撃ちました。

「うっ!」アカネが転倒しました。

 ハルナが立ち上がりました。

「ううっ!」アカネがよろめきながら立ち上がりました。

「痛い……。」アカネが言いました。「凄く痛いよ。」

「もうこんな戦いは止めよう。辛いだけだよ。」ハルナが言いました。

「ううん。」アカネが言いました。「痛ければ痛い分だけ私のココロはラクになるよ!だからもっと戦っていたい!そしてこの戦いが終わったら、この世界を消すんだ!アッハッハッハッハッハッハッハッ!」

「アカネちゃん。」ハルナが言いました。

「なんだか可哀想だね。」カーターが言いました。

「さあ、行くよ!」そう言ってアカネがマジカルマスケットを構え直しました。

「これで終わらせる!マジカルバレット!」アカネがより強力な魔法弾を放ちました。

「うわああああああっ!」ハルナがふっ飛びました。

「ハルナ!」カーターが叫びました。


 ミサキはドランの前で地面に膝をついたまま動けずにいました。

「終わりだ。」そう言ってドランがより大きな火炎弾を放ちました。

「ミサキ!」キャサリンが言いました。

 次の瞬間、火炎弾により爆発が起こりました。

「フッ。」ドランが言いました。

 爆発が収まり、煙の中からミサキが姿を現しました。

「何?」ドランが言いました。「今の攻撃を受けて生きているだと?」

「ええ。」ミサキが言いました。「あなたの攻撃が直撃する寸前、私は特殊能力を発動させて貰ったわ。」

「特殊能力……?」ドランが言いました。

「そうよ。」ミサキが言いました。

「ミサキには魔力を使うことで一時的にこの世界から自身の存在を消す特殊能力があるの。その特殊能力によってあなたの攻撃はミサキには当たらなかったんだわ。」キャサリンが言いました。

「一時的に自らを消し去る能力を持った魔法使いだと!?」ドランが言いました。

「どうやらあなたはミサキのことを少々甘く見ていたようね。」キャサリンが言いました。

「だが、いかに驚異的な特殊能力を持っていたところで、攻撃力は私の方が上だ!」ドランが言いました。「こちらの方が攻撃力で上回っている以上、お前に私を倒すことは不可能だ!」

「それはどうかしら?」ミサキが言いました。

「何?」ドランが言いました。

「見せてやりなさい、ミサキ、最上級魔法少女の力を!」キャサリンが言いました。

「ええ!」そう言ってミサキがマジカルロッドを構えました。

「特殊魔法攻撃!マジカル・アイス・ストリーム!」ミサキがマジカルロッドの先端から冷たい魔法線を放ちました。

「うあああああああっ!」ドランがミサキの攻撃を受けて叫びました。


 アカネの前でハルナが仰向けになっていました。

「うう。」ハルナが呻き声を上げました。

「もう、終わりだね。」アカネが言いました。「キミの魔力がゼロになって、キミは消滅する。そしてワタシはこの世界を消すんだ!」

「そうはいかないよ!」ハルナがよろめきながら立ち上がりました。

「そんな……!」アカネが言いました。「アレだけの攻撃を受けてまだ魔力が残っているなんて……!」

「ハルナ……。」カーターが言いました。

「どうやら私の魔力をゼロにするには攻撃力が足りなかったみたいだね。」ハルナが言いました。

「フッフフッ!さすがはワタシが見込んだコ。キミ程の魔力の持ち主なら最高の生贄になれるよ!」アカネが言いました。

「でもあなたは私には勝てない。」ハルナが言いました。

「どうして?」アカネが言いました。

「私にはダメージを受ける度に攻撃力がアップする隠された能力がある。さっきの攻撃で私の攻撃力は大幅にアップしているよ。もうアカネちゃんに勝ち目は無い。ハアッ!」そう言ってハルナがマジカルブラスターを撃ちました。

「うわああああああっ!」アカネが魔法弾を受けてふっ飛ばされ、背後の建物の壁にめり込みました。

「ううっ!」アカネが地面に膝をつきました。

「諦めて、アカネちゃん。」ハルナが言いました。「あなたの過去に何があったのか未だ私には分からないけど、きっとこれからは良いことがあるよ。私が見つけてあげる。」

「フフフ!」アカネが立ち上がりました。「説得は無意味だって言ったハズだよ。ワタシは希望なんて信じないから……。この世界を消すことが私の望みだよ!」

「アカネちゃん……!」ハルナが言いました。


 ドランがミサキの前で地面に膝をつきました。

「バカな。この私が……!」ドランが言いました。

「この勝負、私の勝ちね。」そう言ってミサキがマジカルロッドを構えました。

「フッ!」ドランが仮面の下で笑みを浮かべました。

「何が可笑しいって言うの?」キャサリンが言いました。

 ドランが立ち上がりました。

「この私をここまで追い詰めたことは褒めてやろう。」ドランが言いました。「だが、お前達は私の真の力をまだ知らない。」

「真の力?」ミサキが言いました。

「そう。お前達は知っているか、嘗てこの地に存在したドラゴンの伝説を?」ドランが言いました。

「伝説って……?」ミサキが言いました。

「遠い昔、一体の妖精が人間達に襲われたのよ。」キャサリンが言いました。

「妖精が人間に……?」ミサキが言いました。

「そう。その妖精は山奥の洞窟でひっそりと暮らしていたんだけど、ある日人間に見つかって……。人間達はその妖精を危険な存在と見做して殺そうとしたわ。そしてその妖精も生き残る為に人間達を攻撃して……。」キャサリンが言いました。

「そう。」ドランが言いました。「そして後にドラゴンとして語り継がれることになったその妖精は人間との戦いで傷つきながらも、人間の姿に身をやつすことで死を免れて生きてきたのだ。」

「まさかその妖精って……!」ミサキが言いました。

「そう、この私だ!」ドランが言いました。

「そんな!」キャサリンが言いました。

「私は許せなかった、人間達の仕打ちが。そして人間達への復讐を誓ったのだ。」ドランが言いました。

「それであの子を利用して、世界を滅ぼす計画を立てたの!?」キャサリンが言いました。

「ああ。アカネは現代における人間達の価値基準において劣等であるとされており、それが心の闇となっていた。私は孤独の中で自ら死を選ぼうとする彼女を見つけ、彼女の持つ力を利用することにした。」ドランが言いました。

「あの子の持つ力……?」ミサキが言いました。

「ああ。」ドランが言いました。「アカネには私と共に世界を滅ぼす力がある!それこそが私がアカネと共にいる理由なのだ!」

「あなた……!」キャサリンが言いました。

「今こそ見せてやろう、この私の真の姿を!」ドランが言いました。

 次の瞬間、ドランが巨大な竜のような姿へと変わりました。

「アレが彼の真の姿!」ミサキが言いました。

「さあ、人間共よ!再び私がこの地に姿を現したぞ!今こそ嘗ての戦いの決着の時だ!」ドランが言いました。

 ドランが口から炎を吐いてミサキ達のいる建物を攻撃しました。

「キャアアアアアアアッ!」その建物が崩れ、ミサキはキャサリンと共に地面へと落下していきました。

「ハッハッハッハッハッハッハッハッ!」そう言ってドランは次から次に建物を破壊していきました。


 ハルナ達がドランを見上げました。

「ドラゴン!?」ハルナが言いました。

「フフ!とうとう本当の姿になったんだ、ドラン。」アカネが言いました。

「ドラン?」ハルナが言いました。

「アイツがアカネを利用している妖精!?」カーターが言いました。

「そうだよ!」アカネが言いました。「ワタシはドランの為に戦ってるんだ!そしてこの世界を消す!」

「そうはさせない!」ハルナがマジカルブラスターを撃ちました。

 アカネが飛んできた魔法弾をかわしました。

「フッフッフッ!どれだけ攻撃力がアップしてても、攻撃を受けなければ平気だよ。」アカネが言いました。「キミの魔力ももうそんなには残ってないよね?このままだと私に勝つことは出来ないんじゃないかな?」

「うう。」ハルナが言いました。

「あの妖精がこの街を破壊し尽くすまであまり時間が無い。ミサキがアイツを止められない以上ハルナが何とかするしか無いことになるけど、ハルナの魔力は後どれくらい残っているんだろう?残り少ない魔力でアカネを倒し、アイツも倒すにはどうすれば……?」カーターが言いました。「考えるんだ!相手の手を読むことで残された魔力でハルナの取るべき行動も自ずと決まってくる。」

 ハルナとアカネは睨み合っていました。

「ここまでの戦いにおいてまだアカネは隠された能力を発動していない。」カーターが言いました。

「アカネちゃんの隠された能力……。」ハルナが言いました。「アカネちゃんは私を倒すことで得られる魔力でこの世界を滅ぼそうとしている。魔力を使ってアカネちゃんがこの世界を滅ぼす方法……。」

 ドランが炎を吐いてさらに別の建物を破壊しました。

「もしかして……!」カーターが言いました。「アカネに隠された能力は、自身の魔力をパートナーの妖精に渡す能力じゃ……!」

「そっか!」ハルナが言いました。「ドラゴンなら魔力を使ってこの世界を滅ぼすことも出来るハズだよね!」

「フフフフ!」アカネが言いました。「良い読みだね。キミ達の読みは大体当たってるよ。」

「やっぱり……!」ハルナが言いました。

「こっちへ来て、ドラン!」アカネが叫びました。

 ドランがハルナ達の傍へと飛んできました。

「これがアカネちゃんのパートナーの妖精……!?」ハルナがドランを間近で見て言いました。

「近くで見ると凄い迫力だ。」カーターが言いました。

「そして今こそ私の特殊能力を発動するよ!」アカネが言いました。

「まさか!」カーターが言いました。「まだマジカルアブゾーバーで魔力を得ていないこの段階で、隠された能力を発動するというのか!?」

「フッフッフッフッフッフッフッフッ!」その瞬間、アカネの体が炎となって上空へと移動し、ドランの額に融合しました。

「これは……!?」ハルナが言いました。

「私の特殊能力、それは魔法少女と妖精の融合!」アカネが言いました。

「妖精との融合!?」カーターが言いました。

「よくその目に焼きつけて!これこそこの世界を滅ぼすモンスターの姿だよ!」アカネが言いました。「フッフッフッフッフッフッフッフッ!アッハッハッハッハッハッハッハッ!」

「アカネちゃん……!」ハルナが言いました。

「あの妖精と融合したことでアカネの攻撃力は大幅にアップしている。今のハルナの攻撃力を以ってしてもあの怪物を倒すことは出来ないだろうね。」カーターが言いました。

「でも、こっちにもまだ対抗手段はある。」ハルナが言いました。

「うん。」カーターが言いました。「マジカンダーを召喚するんだ!」

「今更何をしたところで無意味だよ。キミじゃワタシには勝てない。」アカネが言いました。

「それはどうかな?」ハルナが言いました。

「えっ?」アカネが言いました。

「私達には秘密兵器があるんだよ。」ハルナが言いました。

「秘密兵器……?」アカネが言いました。

「その秘密兵器を召喚は巨大な敵と対峙している時しか行えない。でも、今、その条件は満たされている!」ハルナが言いました。「マジカンダー召喚!」

 次の瞬間、巨大ロボット“マジカンダー”が召喚されました。

「まさか……!」アカネが言いました。

 ハルナはマジカンダーのコックピットへとワープしました。

「これが私達の秘密兵器だよ、アカネちゃん!」ハルナが言いました。

「まさかキミが巨大ロボットの所有者だったなんて……。」アカネが言いました。「全くキミはどこまでも楽しませてくれるんだね。」

「うん!」ハルナが言いました。

 ハルナの操縦するマジカンダーとドランと融合したアカネが対峙しました。

 アカネがドランの口から炎を吐いてマジカンダーを攻撃しました。

「うわああっ!」ハルナが叫びました。マジカンダーはアカネの吐く炎を受けて怯みながら後退しました。

「何という攻撃力だ!」カーターが言いました。

「マジカルアブゾーバーの効果が無くても、こんな街の一つや二つ、簡単に消せちゃうよ!フッフッフッフッ!」アカネが言いました。「さあ、どうする?」

「リストバルカン!」そう言いながらハルナが操縦桿を動かしました。するとマジカンダーが右腕に内蔵された機関砲でアカネを攻撃しました。

「アッハッハッハッ!」アカネがマジカンダーの右腕から放たれる機関砲を受けながら言いました。「そんなモノ効かないよ!」

「まだまだ!」そう言ってハルナがまた操縦桿を動かしました。今度はマジカンダーが左腕に内蔵された機関砲でアカネを攻撃しました。

「ムダだよ!」アカネが言いました。「その程度の攻撃じゃあこの私は倒せない!」


 瓦礫の中からミサキが這い出しました。

「ケイト!ケイト!」ミサキがキャサリンを探しました。

「ここよ、ミサキ。」キャサリンが瓦礫の中から姿を現しました。

「良かったわ、ケイト!」ミサキが言いました。

「この程度でやられたりはしないわ。」キャサリンが言いました。

 ミサキ達はマジカンダーとアカネの戦いに目を向けました。

「ハルナちゃん……。」ミサキが言いました。

「ミサキ!」キャサリンが言いました。

「ええ!」ミサキが言いました。「マジカリオン召喚!」


 アカネが炎を吐いてマジカンダーを攻撃しました。マジカンダーが炎を受けて後退しました。

「アッハッハッハッハッハッハッハッ!」攻撃を終えたアカネが笑い声を上げました。

「このままじゃあやられる!」カーターが言いました。

 そこへミサキの操縦する巨大ロボット“マジカリオン”が歩いてきました。

「ん?」アカネが言いました。

「リストブレード!」そう言ってミサキが操縦桿を動かすと、マジカリオンが右腕に内蔵された刃を展開してアカネに向かっていきました。

「ミサキさん!」ハルナが言いました。

「何が来ようと結果は変わらないよ!」そう言ってアカネが炎を吐きました。

 マジカリオンはアカネの吐いた炎を左手に持った盾で防ぎながら歩き続けました。

 マジカリオンが右腕の刃でアカネを切りつけようとしましたが、アカネはドランの左腕でマジカリオンの刃を受け止めると、ドランの右手の鉤爪でマジカリオンを引っ掻きました。アカネの攻撃を受けたマジカリオンは後退しました。

「ハアッ!」アカネが炎を吐いてマジカリオンを攻撃しました。

「キャアッ!」マジカリオンは炎をまともに受けて怯みました。

「ミサキさん!」ハルナが言いました。

「これ以上は耐えられない!」ミサキはマジカリオンから脱出しました。

 マジカリオンは機能を停止し、落下したミサキは地面に倒れ込みました。

「ハルナちゃん……!」地面に倒れ込みながらミサキが言いました。

「さあ、今度こそキミにトドメを刺してあげる!」アカネがハルナに言いました。「そしてこの世界は消えて無くなるんだ!」

「くうっ!」ハルナが言いました。

「マジカル・ドラゴン・バースト!」アカネが火炎を放ってマジカンダーを攻撃しました。

「うわああああああっ!」マジカンダーが火炎に包まれ、ハルナが叫び声を上げました。

「ハルナ!」カーターが叫びました。

 さらに次の瞬間、大きな爆発が起こりました。

「マジカンダーが……!?」キャサリンが言いました。

「ハルナちゃん!」ミサキが言いました。

「アハハハハハハハッ!アッハッハッハッハッハッハッハッ!」攻撃を終えたアカネが笑い声を上げました。

「ハルナ!ハルナーッ!」カーターが叫びました。

 次の瞬間、炎の中からマジカンダーが姿を現しました。

「はっ!」アカネが驚きの表情を見せました。「今の攻撃を耐えるなんて……!今度は一体どんな魔法を使ったの!?」

「気合いだよ!」ハルナが言いました。

「気合い?」アカネが言いました。

「気合いで耐えたんだよ!」ハルナが言いました。「私はゼッタイにこの世界を守ってみせる!だからあなたには負けられない!」

「ハルナ……!」カーターが言いました。

「こんなコト有り得ない!」アカネが言いました。

「アカネちゃん。あなたは希望なんか信じないって言った。でも、どんなに絶望を積み上げたところでそれはあなたの力にはならないよ!」ハルナが言いました。

「えっ?」アカネが言いました。

「人は希望と共に強くなれる!どんなに辛い状況でも私は希望を探し続ける!希望を持たないあなたの攻撃ではこの私を倒すことなんて出来ないよ!」ハルナが言いました。

「そんなのウソだ!」アカネが言いました。「希望なんて要らないよ!この世界が消えちゃえばそれで良いんだ!ワタシはキミを倒してこの世界を消し去ってみせる!」

「残念だけどそれは不可能だよ!」ハルナが言いました。「さっきの攻撃で私の攻撃力はさらにアップしてる!これで今度こそあなたを倒せる!」

「ダメージを受ける度に攻撃力がアップする、それがキミの特殊能力!」アカネが言いました。「こちらの方が圧倒的に攻撃力が高かったあの状況からキミは希望を手にした!?」

「うん!そしてこれが私の勝利へのラスト・アタックだよ!」そう言ってハルナが操縦桿を動かしました。「ラスティング・バースト!」

 マジカンダーの両腕の機関砲から魔法弾が次々と撃ち出されました。

「うわああああああ……!」マジカンダーの両腕から絶え間無く放たれる魔法弾を受けてアカネが叫びました。

「ああああああああっ!」マジカンダーの攻撃を受け続け、アカネは爆発しました。


 ハルナ達は瓦礫の山の上で合流しました。

「終わったわね。」キャサリンが言いました。

「ええ。」ミサキが言いました。

「アカネの計画を阻止したことで世界の平和は保たれたよ。」カーターが言いました。「でも、今回の戦いでこの街はこれまでに無い痛手を被ったね。」

「そうだね。」ハルナは言いました。「でも、私達は決して希望を捨てたりはしない。どれ程辛い状況に追い込まれてもその中で希望を見つけ、明日を作っていくんだ。そしてこれからも私はこの世界の平和を守り続けていくよ。」

 こうしてハルナはミサキと共に世界の平和を守ったのでした。

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