男装騎士の不憫な日々
受験生だがやってしまった
よく来たな!読者よ
このアレクサンドラ様と会えるのは頭が高いぞ?
ま、待ってください!
すみませんでした、お願いですからページを閉じないでください。一生のお願いです!
久しぶりに話がわかる相手と話せると興奮し過ぎました。深夜テンションってヤツですよ!
あ、聞いてくれますか?
本当にありがとうございます。あなたはまるで天使のような優しい方です。
有り難や有り難や
拝むな、なんか違うって?
細かいことは気にしないんです。長生きできませんよ?
はは、聞いてくれるのでしたら早速語らせて下さい。
えーと、先ずは無難に自己紹介をしましょうか。
先ほども申し上げましたが私は
アレクサンドラ・グランチャールと申します。16年前にアルフォード王国のグランチャール公爵家の長女としてこの世に生を授けられました。
我がグランチャール公爵家は我が国の筆頭貴族と呼ばれるほど由緒ある家だと認識しています。
そのため私のフルネームもかつてのヨーロッパの貴族のように長ったらしいものなのですが、自分でも全部覚えていないので省略させていただきました。
ええ、適当なんです。
父であるグランチャール公爵も叔父上である陛下も人前では偉そうなのですが、実際はすごく適当なので、そういう遺伝なのかもしれません。
もちろん私も人前ではきちんとしていますよ?
「白薔薇姫」だとか「白銀の騎士」だと社交界の皆様に呼ばれているくらいです。
凄いでしょ?えっへん
あ、ごめんなさい。無視しないで下さい。
それより二つの呼び名の差が激しすぎるって?
良いところに目をつけましたね!
知りたいですか?知りたいですよね?知るべきです!
じ つ は〜〜禁則事項です☆
あ、はい、ごめんなさい打たないで下さい。もう焦らしません。
「白薔薇姫」とはそのまんま私の容姿からつけられた呼び名です。
残念ながらあなたにはお見せする方法がないのですが、王族特有のプラチナブロンドに日焼けをしたことがない白い肌、淡い水色の瞳からそう呼ばれています。
はい。いつも外ではネコをかぶっています。社交界って華やかですけど言ってしまえばたぬきときつねの化かしあいの場なので、いつボロ出すか心配な私は病弱ということにして滅多に社交界に出ません。まあ、デビュタントがつい半年前ですから一回しかでていません。
そこから「白銀の騎士」と呼ばれるのはおかしいことになりますが、ここが最大……でもないけど私の大事な秘密なのです。あなただけに特別教えてあげます。
っていうほど大層なことでもないのですが、男装をして騎士団に勤めています。
私実は一人っ子なんです。
女性は爵位を継げられない
なんていうことはこの国にはありません。
ですが、せっかく高位貴族の娘として生まれたのならば、男装の麗人……少女歌劇団に憧れを抱かずにはいられません。
シチュエーションは最高でした。女は継げられないなんていうことはなくても、多くは嫡男が継ぎますし、男性には女人禁制な紳士の社交場がありますから、男装をしたほうが便利です。
などと適当な理由をでっち上げて、お父様と叔父上を説き伏せました。
まあ、意外と適当で割と溺愛してくれる二人はあっさりと許可してくれました。
そして14の年に魔法騎士団に配属され、一年前の戦役で功をあげ、近衛騎士団に昇進しました。
ここで、大事なのは私が次期公爵としてではなく「アレク」と言う名の平民として騎士をやっていることです。
裏で叔父上達の手引きがあるかもしれませんが、自力でのし上がったのです。
まあ、さっきの説得が如何に適当だったのかもわかったと思いますが。
あ、そう言えばさっきのさらっと言ってしまいましたが、私には前世といえる記憶があります。
そうです、あなたと同じ日本に住んでいた記憶です。
とはいっても前世で読んだ小説などでよくあるように、この記憶は偽りかも知れないので、あまり気にしないようにしています。
この記憶が影響したのは精々男装したことと魔法の使い方ぐらいです。
あと、平民として騎士になったのもそうです。
前世の小説知識によると為政者が嘘をつくと心が離れてしまうらしいので、叔父上にそんな危険を冒させる訳にはいかなにのです。
私が今いるこの世界の名前は知りませんが、魔法騎士団が存在するように、魔法があります。
所謂剣と魔法の世界です。
だから、私が功をあげた戦役も他国との戦争ではありません。
不思議と存在している魔物との戦いです。
魔物にはFからSSSまでのランクがありますが、私はその中でも強いSランクの飛龍を単身で討ち取りました。
なんだ、SSSじゃないのか。と落胆しているあなた!
それは間違いです。この世界は割と平和です。たぬきときつねの化かしあいが出来るほどには平和なのです。
SSSランクなんてそうそう出ません。Sランクでも10年に一度ていうくらいでしか現れませんから凄いと思いませんか?
そもそも高位の魔物ともなれば知性が生まれ、人間に友好だという例も多く、この場合魔族と呼ばれます。
そう考えれば私が討ち取ったようは飛龍なんて100年に一体現れることがあれば多い方です。
同様に、定番に魔王を倒すために勇者を召喚なんて有り得ません。
魔王もいるのですが、ここ数代のは穏便で、我が国にも友好的です。
ということで、異性に目がなかったり、無駄に強かったりする勇者を召喚するなんて有り得ないのです。
だから、私は思わず今耳にしたことを聞き返したいまいました。
あーあ、騎士の時はクールを気取っていたのに。
「もう一度言おう、アザールが勇者を召喚した。至急アザールに行き、勇者を連れて来い!」
アザールは隣国の歴史だけが古い末期ガンのような大国です。
王侯貴族だけが蜜を吸い、庶民は前世の社畜並みに働かされ、社畜以下の収入ですら税として巻き上げられるような国です。
前世の記憶は高校生の記憶までしかないので、社畜になったことも、知り合いにいたこともありませんから、異なるかも知れませんが、そこはご容赦ください。
貴族は平民を人間だと思っていないような国に行くのはとても億劫です。騎士な私は平民ですから。
しかし、騎士として任務を遂行しなければいけません。
こうして勇者のハーレムメンバーに気に入られ、勇者に目の敵にされたり、勝手にギルドで帝などいう不遜な称号を作ったりする勇者の後始末をしたり、王宮の舞踏会で勇者に馬鹿にされたりと私の不憫な日々が始まったのです。
チーレム勇者爆発しろ!!!
ついでに全世界のリア充とイケメンも爆発しろ!!
飽かずにお読みいただきありがとうございます。
時間が出来たら続きを書きます。
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