全てのはじまり
僕の名前は アレックス。村一番の力自慢のお父さんと、綺麗で優しいお母さんの三人でここクリアウォルト村に住んでいます。
田舎だけれど、自然豊かな美しい村では僕たちは平凡だけれど幸せに暮らしていました。
けれどもある夜、畑仕事から帰ってきたお父さんはいつもと違う神妙な顔でした。
僕はお父さんに「どうしたの?」と尋ねたら、お父さんは僕に気づいて笑顔で、「アレックス、何でもないよ。今日は夜遅いから寝なさい。」そう優しく答えた。
僕は不思議に思いながらお父さんに言われるまま、
寝床へ行き眠りについた。
これが僕がお父さんを見た最後の日だった。
朝 お母さんの叫び声と共に、知らない男の人の怒号で目が覚めた。
僕は二階から降りると、全身黒い鎧姿の人達が家の玄関にいた。
「創造主の鍵はどこだ?この家の主フィリップが持っているはずだ!」 黒い鎧姿の人達は激しい口調で言った。
お母さんは「主人は昨日畑仕事から戻って用があると出ていってまだ帰っておりません。そのようなものも知りません」と震えながら言った。
「この家の主であるフィリップが、創造主の鍵を手に入れたという情報を手に入れている。あくまで隠すということだな?」黒い鎧姿の人は静かに、強い口調で言った。
僕はお母さんの所に行こうとしたけれど、お母さんと目が合い二階へ行くよう合図をされた。
その時黒い鎧の人が、不気味な装飾の剣を素早く抜きお母さんを貫いた。
「帝国軍の名において、この者を処分する。」
お母さんから剣を抜き、黒い鎧の人は冷たく言った。僕は何が起こったのか分からなくてただ立ち尽くしていた。
「村はいかがいたしましょうか?」他の黒い鎧の人が言った。
「焼き払え。」黒い鎧の人は即座に答えた。
僕は二階に音を立てないように上がり、家の近くのきにとびうつり外に出た。夢中ではしる。黒い鎧の人達が村を火で焼き、逃げる村の皆を次々とてにかけていく。
僕はただ夢中で、今起こったことが夢であると言い聞かせるように走った。
クリアウォルト村付近のノシブ山から村が赤い火に包まれるのを眺めていた。
突然の恐ろしい出来事に、現実感が無かったけれど、あの美しいクリアウォルト村の惨状を目の辺りにして初めて今日起こったこと現実だと理解した。
「お父さん、どうしていなくなっちゃったの?」
「お母さん、村の皆助けてあげられなくてごめんね。」
僕はただ泣くしか無かった。何もできない自分が悔しかった。
黒い鎧達への復讐、お父さんの行方、そして黒い鎧達が言った創造主の鍵。全て繋がっている。僕は必ず力をつけてみせる。
村を覆う火を眺めながら、僕の心も憎しみという炎が燃え上がった。
5年後。
クリアウォルト村跡地。1人の男が凄まじい斬撃で黒衣の男達をなますのように切り裂いていく。
残り最後となった時、凶剣の主は初めて口を開いた。
「久しぶりだな。」
「だ、誰だお前は?」最後となった男は恐怖で立つこともままならない様子だった。
「帝国軍の軍人が随分とみっともないな?」凶剣の主は冷たく言った。
「俺はアレックス。クリアウォルト村の生き残りで、お前らが探していたフィリップの一人息子だ。」
「クリアウォルト村だと?あの任務でフィリップを逃した俺は地位を剥奪されこんな田舎の跡地に追いやられたんだ。」
アレックスは剣を男の首筋に当て言った。
「創造主の鍵とは何だ?」
「頼む。命は助けてくれ。」男は哀願した。
「答えれば助けてやる。」
「創造主の鍵はその昔、神が世界の創造の際に使用したとされる神具だ。伝説とされた物だったがどういう訳かお前の父親が発見し行方をくらませた。俺達は皇帝陛下の命を受けクリアウォルト村に来たって訳だ。どうだ、これで・・。」
男の腹部にはアレックスの剣が突き刺さっていた。
「てめえ、話が・・。」
「黙れ。」アレックスは男の腹部から剣を抜き、男の首を両断した。
「母さん、皆敵はとったよ。」
この五年間復讐を胸に、この瞬間のために血の滲む鍛練を続けてきた。
今日でそれも終わった。
数日後。ノシブ山クリアウォルト村墓地。
「母さん、皆敵はとったよ。全部終わったんだ。」墓に花を添えながら穏やかに言った。
突然辺りが霧で包まれた。
真っ白で辺りが見えないが、アレックスは次第に1人の人影を確認した。
「誰だ?姿を見せろ!」
人影は静かに答えた。
「貴方の使命はこれで終わりではありません。現在創造主の鍵が悪しきもの手に落ちようとしています。そしてこれより人間界において唯一創造主の鍵の正統な使用者とされる勇者が生まれようとしています。貴方は守護者ガーディアンとして、幼き勇者を見つけ、守らねばなりません。」
「何を訳の分からないことを・・。」言いたいことを言う前に辺り一面の霧は消え、人影も消えた。
クリアウォルト村 アレックス ガーディアンとしての長い旅がこの日より始まった。




