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朝食に出されたチョコレートまみれの、分厚いトースト。
私の隣で、むしゃむしゃと音がしそうな食べ方で
手元にある菓子パンを頬張る妹。
目の前の皿には、様々なお菓子が小分けにされていて。
一体お前は何なんだ、と言いたくなるような妹の朝食。
斜め前で朝のひと時を過ごす姉の前には、様々な薬。サプリメントだとか何とか。
一日中、カップ一杯分はあるだろう薬を摂取している。
漢方だ、ビタミンだ...と。お前も、一体何なんだ。
健康でありたいなら、しっかりと食べろ。しっかり寝ろ。
トーストを丁度食べ終わった頃に、気づけば姉の姿はなく
空になったプラスチックの、薬が詰められていたケースだけが
ただ、ここに姉が居た事だけを物語っていた。
「ねえ」
「....なに」
「それだけでお腹すかねーの」
「...空かねーの。それ言うなら、アネ―のが空くでしょう」
「あー。アレは論外。ミッコと同じく、依存してんじゃん」
そう言いながら、机の上に置かれた薬ケースを手に取ると
器用にゴミ箱の中へとさようならさせてしまった。
それを眺めていた母親はニコニコと笑い
手をパチパチ、と鳴らしながら何やら呟いて。
「また私が怒られちゃうわあ」
とか何とか。それが分かってるなら、この娘の手癖の悪さを
アンタは怒るべきではないか。
そんな事はどうでもいいので
妹がごみの処理を行ったように、私も朝の出来事など、ごみ箱にさようならした。
さようなら、違和感だらけのツマラナイ食卓。
あ、でも一つ。お義母さん。また間違えてますよ。
私が朝食に食べるのはチョコまみれのトーストではなくて。
熱々のコーンスープ、カップ一杯です。
チョコレートまみれのトーストはかつての、アネ―さんの朝食で。
..あぁ。今は彼女が、「カップ一杯分」を独占中だから間違えているのか。
まあ、明日もその次もその次もその次も..。
変わることはない、朝食なのでしょうけどね。
毎朝、お疲れさまです、お義母さん。