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精一杯の力

律の店では、拓弥と咲がちょうど来ていた。

「咲ちゃん、最近元気ないように見えるけど何かあったら言うんだよ」

咲の様子を見て律は心配そうな顔を浮かべながら、声を掛ける。


「はい、」


「優真くんがあんな状態だから元気だせないと思うけど、あの子は必死に生きようとしてるからね」

律は重ねて優しく咲に言う。


「そうだぜ、あいつはまだ大丈夫だ」

それに続いて拓弥も咲を元気づける。


暫くして、店に一本の電話が入る。

『トゥルルル』


「はい、○○店です」と律は電話に出る。


『佐山真次です。律さん、優真の容態がまた、もしかしたらこれが最後になるかもしれません。女の子と拓弥君を連れて今すぐ病院来れますか?』

真次の声だったが、その声はどこか震えていた。


「何だって!? また優真くんが、もちろん行きます。ちょうど拓弥くんと咲ちゃんが一緒に居るので連れてきます」


『よ、よろしくお願いします。それじゃ、』

そこで電話は切れた。



数時間後、律・拓弥・咲は病院に着いた。


既に医師の治療は終わっていたが、三人がいつもの受付に来ると面会謝絶になっていた。

「面会謝絶ってどういう事だよ!?」

拓弥が大声を出して受付の人に怒鳴っていた。


しかし、その声を聞いたのか真次が三人達を見つける。

「律さん、こっちです」

少し遠くで手招きをして待っていた。


真っ先に気付いた律は咲と目があってから咲と一緒に手招きする真次のところに向かった。

拓弥だけは行かなかった。なぜか。それは、まだ受付の人に怒鳴っていたからだった。


「拓弥くん、行くよ」

律はそう言って拓弥の腕を引っ張って無理矢理連れていった。

「なっ、なんすか!? あ、」

いきなり律に腕を引っ張られて驚いた拓弥だったが、真次を見付けると黙って引っ張られるがままについていった。


数分後、真次を含む四人は優真が眠っている集中治療室の前に辿り着いた。

しかし、中には入れない。


すると、中から医師が出てきた。

「ちょうど、優真くんは目を覚ましています。しかし、これが最後になるかもしれません。面会謝絶ですが、優真くんが話しがあるみたいです。優真くんが望んでいるので特別に中に入る事を許可します」

「!?」


これが最後になるかもしれないと医師から告げられた言葉にそれぞれ驚きの表情を見せた。ただ真次を除いて。

四人は優真がいる集中治療室に入る。目を覚ました優真がいるが、横になって苦しそうな表情を浮かべているように見えた。

「優真さん……」

咲は名前を呟く。


すると、気付いた優真がゆっくりと振り向く。、

「もう、俺、無理、みたい、だ」

弱々しいが、精一杯の声を振り絞ってゆっくりと話し始めた。


「!?」

優真の言葉に皆が驚いた。

優真は、自分が死ぬことを察していたのだろうか。


その場が一瞬にして凍りつくように静まった。


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