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小さな約束
何分経っただろうか。あれから、頼んでいたミルクティーが来たのにも関わらず、依然として二人の間には無言が続いていた。
しかし、次の瞬間、断ち切られる。その空気を断ち切ったのは、優真だった。
「俺から誘っといて、言葉がなくてごめんね」と頬を掻き、苦笑いしながら言った。
「あっ、いえ、大丈夫ですから……」と優真を見つめながら咲は言葉を返した。
「ん、もう出ようっか?」
「えっ、わかりました。優真さんが言うなら出ましょう」
「嗚呼。奢るからださなくていいよ」
優真はそう言いながら立ち上がった。
「あっ、ありがとうございます! 次あるときはおごりますからね」と大きな声でお礼を言った。
「無理しなくていいよ。咲ちゃん学生だしさ」
「そんな理由でおごらないってことないんですから!」
「そう? ありがとう。じゃ、約束ね」
二人はお互いに微笑みながら、店を出てそれぞれ帰っていった。