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過去編2 母との約束
始業式の帰り、拓弥は途中で桜の木を見上げている優真を見た。満開の桜が見事に咲いていた。
拓弥はふと優真が何故長い間桜を見ているのか不思議に思った。
(あいつ何してんだ?)
「おーい、転入生! 何してるんだ?」
近寄って、声を掛けてみる拓弥。
「!? あ、」
拓弥に気づいて優真は振り向く。
「青山くん?」
「あっ、拓弥でいい。 確か優真、だったけ?」
「ん、分かった。そうだ。改めて、俺は佐山優真」と優しく微笑む優真。
「何で、こんなところにいるんだ?」
「桜の木で母さんと約束したんだ」
「約束?」
「俺が生まれるとき、母さんは居なくなったんだ。父さんが言ってた。母さんは桜の木で待ってるって、」
「そう、なのか。すまん、俺何も知らずに」
「いいんだ」
優真はそう言うと、暫く桜の木を眺めていた。
「綺麗だな」
つられて拓弥は桜の木を見上げて呟く。
「母さんに会えるといいな」
「絶対会えるって!」
「そうだな。もうすぐ会える。後、三年後に……」
独り言を言い、どこか寂しげな表情する優真だが、拓弥はその意味が分からなかった。




