4/70
偶然に
翌日、咲は学校の帰宅途中、あのお店のお兄さんを見かけた。
(声かけてみようかな……)
「あのっ、もしかして」
戸惑いながらも声をかけてみることにした。
「ん? あっ! 君、こんなところで偶然だね」
「はい! あれ、今日はお店……」
「んーと、今日は用事があって午前中で終わったんだ。それより、君の名前まだ聞いてなかったよね」
「そうだったんですか。あっ、私は立川咲って言います。あなたの名前は?」
「咲ちゃんだね、俺は佐山優真。偶然会ったし、よかったら何処かでお話しでもしない? いきなり、ごめんね。でも、怪しくはないから大丈夫だよ」
「優真さんですね。はい。って、え!」
突然の誘いに、咲は顔を真っ赤にして優真を見た。
優真は微笑んでいた。
(ど、どうしよう。これって……こうなったら!)
「いいですね、お話ししましょう」
「おっ! じゃあ、行こうか」
「はい!」
そして、二人は近くの喫茶店に入っていた。