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帰り道 咲side
咲は、本当は今日は何もなかった。
(私、もうお見舞いに行けないよ……)
「咲? 何、ぼーっと歩いてるのよ」
俯いて歩いてると突然誰かに声を掛けられる。
「え? 藍姉!? 何で?」
声を掛けてきたのは藍だった。
「何でって学校に決まってるじゃん。終わって帰ろうと思ってたら咲が歩いてるのを見かけたって訳よ」
「あ、うん」再び俯く咲。
「受験生は2月学校なくて羨ましいわ。って何、どうしたの?」
「藍姉、もし……もしだよ。気になってる人が居なくなったらどう思う?」
藍に率直に問う咲。
「えっ!? どした、どした? ん、居なくなったらそりゃ悲しくなるかな。ってもしかして前言ってた好きな人のこと?」
「言ってない!」
「分かってるんだからもう隠さなくていいよ」と藍は咲の額にデコピンした。
「何かあったらいいなね! あたしは咲の姉よ」
「痛っ。もういきなり何するの……。でも、ありがとう。私、藍が姉で良かった」
咲はまだ少し痛むおでこを抑えながら言う。
そして、二人は夕焼けに当たりながら微笑み合った。




